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10年間苦しんだ口腔乾燥が、薬を塗って軽減しました。

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Yさん(70代女性)の悩みは深刻でした。

多岐にわたる症状が10年以上も続き、大学病院でも原因が特定できず、軟膏を塗って経過観察をするだけだったとのこと。


▼何もしなくても入れ歯が痛い

▼食事の時に外れる

▼就寝時に入れ歯を入れていられない

▼舌が入れ歯にこすれて気になる

▼入れ歯を入れるとしゃべりにくい

▼薄い入れ歯なのに厚さが気になる
 

一体どこから治せばいいのか。
そもそも私の実力で治せるものなのか考えてしまった症例です。
何か手がかりがあるといいのですが。

カルテを見て、ふとある事に気がつきました。
高血圧のため降圧剤を日常的に服用しています。

降圧剤の中には口の中が乾燥するドライマウスと呼ばれる副作用を持つものがあります。

前述の症状がドライマウスによって起こっているとしたら、治療としては口の中を湿らせること。

これには良い薬があります。
「オーラルバランス」(ティーアンドケー株式会社)という人工唾液です。

ペースト状の薬を上あご等に塗って寝ると湿った状態が長持ちして乾燥を防ぐことができます。


1週間後にいらしたYさんは「今までにないくらい入れ歯がラクになりました」と明るい表情に変わった。

10年以上も悩んでいた症状が1週間で治った。
歯科医師になって本当に良かったと思った瞬間でした。

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