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テクノロジーに心も仕事も奪われそうな日々を綴ります。

技術は買い叩かれる、売るなら夢か人を

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こんにちは。初夢は実家の近くに飛行機が墜落して爆風に巻き込まれるというものでした。これはなにを占っているのでしょうか。

それはさておき、昨年末くらいからありがたいことに人づてに仕事を依頼されることが続きました。今年はわりとダッシュしていけそうです。

僕は一応 IT 技術者として暮らしているのですが、こうした人づての案件では呼ばれて打ち合わせに行ってから「どんなことができますか?」と聞かれることが多いです。

そして、そういう企業とは金銭的にも人間関係的にも納得のいくおつきあいをさせてもらってきました。

逆にクラウドソーシングでの仕事は、現在は幸運にも良いパートナーに恵まれて仕事をしていますが、仕事の募集内容などを見ていると色々と厳しいと感じます。

単価は安いし、仕事の内容も曖昧だったりという感じのものが多いですね。ただ、何故かこういう技術を使える人が欲しいっていうのははっきりしているんですが。。。

また、「日本の IT 技術者は単価が安い」「企業が IT 技術の価値をわかっていない」といった声を主に Twitter でよく目にします。

こうした経験や、日々 IT 業界をながめていて感じることから、技術者の単価が低いと言われているのはナゼなのかを考察してみます。

あなたは顧客の要求に応えられることを証明できるか

マーケティングの世界で有名な格言に「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」というものがあります。

技術者として生きていると世の中に対して自分の技術力をアピールしたくなる気持ちはよく分かるのですが、技術のアピールでは相手の心は動きません。

顧客を獲得したいなら「その技術を使って最適な穴を開けることができる」ことを証明しなければいけないのです。

いくら高度な技術で複雑な形の穴を開けることができたとしても相手が欲しがっているのがシンプルな丸い穴だったら。

高度な技術なんて意味がありません。

そういうことを考えずに「この技術にはこういう価値があってどうのこうの...」という話をしたところで相手にしてみれば、「それで僕らに何をしてくれるの?」となるわけです。

IT 技術なしではビジネスが成り立たない昨今ではあるけれど、それにあぐらをかいて「技術がどのような価値を生むのか」を伝えるコミュニケーションを疎かにしていれば、IT 技術の価値を低く見積もられても仕方のないことです。

IT 技術者が売るべきものは夢と人

顧客に対して技術を売ったところで、相手は技術の使い方を知らないのだから価値を生めない。価値を生めないのだから価値を認めない。

簡単な話です。

ではどうするかといえば、「この技術を使って顧客の夢をかなえることができる」「自分に任せてもらえればビジネスを円滑に運ぶことができる」そう思わせる必要があります。

技術者というのは技術を売る人間ではないのです。技術と人の間に立つ人なのです。

そういった考えに基づいて相手と対話をすることができれば、相手の心は「自社の目的を達成するためにこの人が必要だ」となるし、相手から「お願いします」と言われるように慣れば単価が上がるのではないでしょうか。

現在、日本よりもアメリカや中国のほうが技術者の単価が高いのは、先人たちが「IT 技術によってどのような未来が訪れるか」を時間をかけて啓蒙し、技術者の必要性を説いてきた結果なんだろうと思います。

未来に向かって

これから先、人工知能の発展で単なる作業は自動的に解決する方向に向かうでしょう。

その未来を待たずとも、Google, Amazon, Microsoft のような巨大な IT 企業によって、誰でも簡単に使える IT サービスを生み、単独の技術の価値をさらに下げていく可能性だってあります。

そういう流れの中で技術者として仕事を続けていくならユーザーに対して目的を叶えるための手助けをすることを優先的に考えていかなければなりません。

自身の技術力を磨くのも大事ですが、ユーザーの体験をより良いものにする。ユーザー体験をコンピュータの外に出すことが必要になってくるのではないかと思います。

そのためには、技術だけでなくコミュニケーション能力を、デザインの力を磨くか、得意な人と組んで働くといったことを考えないといけないのではないでしょうか。

少なくとも「日本の企業は技術の価値をわかっていない」なんて腐っていてもいい方向にはいかないでしょうね。

終わりに

今時の IT 技術環境はウェブの技術をもっていればモバイルアプリを数日の勉強で作れるようになったり、人工知能を小学生でも使える環境があったりとかなり恵まれています。

技術の勉強は必要になれば直ぐにできるような時代なので、まずは人間とのコミュニケーションを優先したほうが仕事を得られる可能性が高いのではないかと感じます。

技術は存在だけで価値を生むものではないのです。顧客の課題を解決する、要求をかなえることで価値が生まれるのです。

課題を持っている、叶えたい要望を持っている人から「あなたに手伝って欲しい」「あなたならなんとかしてくれそう」と思ってもらうえるようになるために、あなたがどのような価値を生むのかを伝え、技術者としての信頼を勝ち取ることが最も必要なことなんじゃないかと思うのです。

技術はその後でも十分獲得できるものだと思います。


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