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ソフトバンクのARM買収にみる強力なレバレッジ経営

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今週は、予想通りポケモンGO旋風が巻き起こっていて、あまり話題に出なくなっていますが、ソフトバンクがARMを約3.3兆円で買収することを発表したのは、つい先週の月曜日のことです。そこで、今回はソフトバンクのレバレッジ経営について考察してみました。

ソフトバンクによるARM買収提案のプレスリリース
http://www.softbank.jp/corp/d/sbg_press/list/20160718_01/pdf/20160718_01.pdf

電力事業、Pepper君ときて、今度はチップ設計の会社を買収したので、もはや(とっくに)通信事業者の枠を超えていますが、Appleがiphone用のカスタムチップを自社設計していることを考えると、それほど突飛な買収ではないとも思います。すでに色々な方がコメントされていますが、IOT時代に向けて新しい事、面白い事を考えるとすると、ハードウェアから工夫する必要が出てくるのでしょう。

この買収にあたり、ソフトバンクはみずほ銀行から約1兆円の短期融資(2年間)を締結しています。

ARM買収に関わるブリッジローン契約締結のプレスリリース
http://www.softbank.jp/corp/d/sbg_press/list/20160718_02/pdf/20160718_02.pdf

今回の買収後には、2013年のスプリント買収から膨らんできた有利子負債が、なんと約12兆円に達しています。今週は都知事選の選挙戦が佳境ですが、東京都の予算が13兆円規模ですから借入額の大きさがわかります。

有利子負債の推移(ソフトバンク株式会社 経営指標の推移より
http://www.softbank.jp/corp/irinfo/financials/results/highlights/)

有利子負債.png

一方で、ローン返済の目安となる営業キャッシュフロー(入ってくる現金)を見てみましょう。2014年から2015年にかけては、キャッシュフローが悪くなっていますが、それでも、1兆円弱のキャッシュフローがあります。また、手元の資金は2兆円を超えるとのこと。

キャッシュフローの推移(ソフトバンク株式会社 経営指標の推移より
http://www.softbank.jp/corp/irinfo/financials/results/highlights/)キャッシュフロー.png

あまりにも金額が大きすぎて分かりにくいかもしれませんので、もしも年収1000万円の人が住宅を購入するとしたら、、、という前提に置き換えて資金計画を考えてみると、下記のようになりますので、借入額が大きくて怖いですが、気合いで無理をすれば買える範囲ですね。

年収1000万円、自己資金2000万円、住宅ローン1億2000万

当然、住宅ローンだと長期ローンで、政府からの優遇があるので一概に同じとは言えませんが、この金額の借り入れを銀行からできることや、UKのEU離脱でポンド安になったタイミングでの買収成立は、さすがだと思います。

ARMの買収のシナジーをどう生み出して行くか、というポイントも興味深いですが、ソフトバンクの資金調達も面白いので、引き続き注目していきたいと思います。

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