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「クルマ離れが起きている」はウソ

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みんな自動車に乗らなくなっている、クルマ離れが深刻である、

新聞やネットを見ていると、そんな論調が目につくような気がします。

実際、そんな社会的な変化が起こっているのでしょうか?

都内で暮らしていると、クルマやめましたとか、そもそもクルマなんて要らないよね、という話をよく聞くこともあります。
また、地方は自動車が生活必需品であるという一方で従来家庭に2台持ち、3台持ちだったのが1台に集約されて、という話も。


調べてみました。


財団法人自動車登録検査情報協会による自動車保有台数の推移 を見ると乗用車の保有台数はわずかながらではありますが増加を続けています。

これをざっくり見てみると1991年の乗用車保有台数は、35,151,831台、これが2011年になると58,139,471台です。
2001年でも52,449,354台。

クルマが売れない売れないというのに、どうしてこうなっているのかというということで、今度は平均車齢を見てみましょう。

1991年の4.54年に対し、7.74年。
同様に2001年では6.04年。

このことから明らかになるのは、クルマ離れは起きていないということ。
ただし、新車離れは起きている。

ということです。


さらに、別の調査を見ると若者のクルマ離れもウソ。

増加しているシニア層に較べて保有率が減少しているのは事実だとしても、20代30代で顕著に自家用車保有率が下がっているわけではない。

ただし、普通乗用車が顕著に低下している一方で軽自動車がそれをカバーしている構図が見て取れます。

これは、若年層の所得水準が低下しているという、そもそもクルマに費やせる資金が減少しているということではあろうかと考えられます。しかし、だからといってクルマを持っていないということではないのです。

メーカーの目線だと、新車が売れない=クルマ離れ、自動車雑誌の目線だと、スポーツカーが売れない=若者のクルマ離れ、かもしれませんが、厳密には車からは離れてない。

ちなみに、一般社団法人日本自動車販売協会連合会による 乗用車の新車登録台数の推移を見てみると、2003年の3,168,195台に対し2011年には2,386,036となっています。


いずれにせよ、趣味として、あるいはステータスシンボルとして自家用車を捉える人は減ってきているかもしれませんが、自動車が生活の中で果たす役割は決して減っているわけではなさそう。


「クルマ離れ」をどう定義するかによっては、離れている、離れていないの議論は分かれるかもしれませんが、

少なくとも、クルマは減っていないという事実を見落としてしまうと、自動車をとりまく産業、都市開発、それこそ商店街の活性化、学校や商業施設の立地というような社会の課題解決を考えるにあたって、うっかり間違いを犯しかねません。


ニュース斜め読みでステレオタイプな理解に陥ってしまうのではなく、統計をひもといてみることで見えてくることがあるはずです。

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