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クラウド戦役をZガンダム視点でわかりやすく解説するブログ+時々書評。

祝ヱヴァ「破」発売。「モード反転。裏コード、ザ・ビースト」とマリがリミッターを解除するクラウドサービスはどれか?

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今日、5月26日はガンダムエースの発売日!だけでなく、「新劇場版ヱヴァンゲリヲン:破」
DVD&BlueRay発売日でもあり、帰宅後の時間の使い方が悩ましい。

いつもはガンダム世界のメタファで Azure を中心としたマイクロソフトのクラウド話を展開して
いるのだが、今日は「ヱヴァ:破」の発売を記念してヱヴァ世界のメタファでの解説を試みる。

そのアプローチは、新劇場版に登場する汎用ヒト型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン
各機に、マイクロソフトが展開する各種クラウドサービスをなぞらえることで、そのポジションや
今後の展開を推察してゆく方法をとりたいと思う。一部作品のネタバレ的な要素を含むので、
まだ見てないという方は先にDVDかBlueRayでご覧いただいた方がよいかもしれない。

序破急+1の4部作で展開される新劇場版のエヴァにおいて、公開されている破までに
登場したエヴァンゲリオンは計7機。これに、We're all in. というメッセージのもと、
マイクロソフトがクラウドサービスとして展開しているものの中から、アプリを動かす
プラットフォーム的な要素を持つものを抽出してマッピングしてゆく。SaaS的な要素を
含めてしまうと話が散逸してしまいがちなので、PaaS的なものに絞らせていただく。

■汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 試験初号機

劇中、碇シンジが搭乗し、ストーリーの中心的存在となる初号機は、マイクロソフトの
クラウド戦略においてPaaS的側面の中核をなす Windows Azure Platform。すでに先行事例
各社における実証実験の後、実戦運用にシフトしており、コスト削減や新しいビジネスモデル
の創出などに貢献し、多くの戦果を残している。

第10使徒に取り込まれた綾波レイを助けるべく、この初号機が擬似シン化第1覚醒形態に
覚醒したのと同じように、Windows Azureもまた、次の段階へと進むいくつかの大きな改変が
予定されている。オンプレミスとの互換性をより高めて浸透率を高めるVMroleのようなものも
もちろんあるが、存在がオープンになっているプロジェクトだけをみても、分散キャッシュ
VelocityやSQLAzure DataSyncなど、クラウドならではの使い方ができるテクノロジーも
順次追加されてゆくことになる。

さらに、ビジネス面ではPinPointとDallasというコード名がついているアプリやサービス、
データなどのマーケットプレイスの展開も予定されており、エコシステムに参画してくださる
個人の開発者やパートナー各社に、グローバル進出を行いやすくする新たなビジネス機会を
提供できると思われる。収益補完計画あるいはビジネスモデル補完計画とでも言うべきか。

「アプリの実行環境を提供するマイクロソフトのクラウドサービスってAzureだけじゃないの?」
という方も少なくないと思われるが、15年以上にわたるインターネットサービス提供を通じて
実はいろいろなものが存在するに至っているのでここで解説しておきたい。

■汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 試作零号機(改)

エヴァ建造計画の初期から存在している零号機にあたるのは、先駆的な無料メールサービス
hotmailにはじまる長い歴史をもつWindows Live。というと、「コンシューマー向けサービスで
アプリ基盤じゃないだろ!」というご指摘も聞こえてきそうだが、APIやSDKを利用することで
これらサービスに対してプログラマブルにアクセスすることも可能なのである。
中でもLiveIDによる認証サービスやMessengerの組み込みは実績が多い。もちろん、
Azureでホストするアプリにこれらのサービスを追加することも可能だ。

TV版、新劇場版ともにヤシマ作戦で損壊した零号機は改修が施されているが、
Windows Liveも同様に(損壊したわけではないが)改修が施されており、近々新バージョン
(社内ではWave4と呼ばれている)としてお目見えする予定だ。詳しくはまだお伝えできないが
メッセンジャーまわりを中心に大幅な機能強化が行われ、一部で待望されていた某APIも
より広い範囲で使っていただけるよう解放されることになると思われる。

綾波萌えではないのだが、使徒に捕食されないことを切に願う。

■汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 正規実用型 2号機(先行量産機)

新劇場版で名前が変わった式波・アスカ・ラングレーが空中戦をやってのける2号機。
多様な武装が特長のこの機体に相当するのは、SharePoint Onlineが適切だろう。
Lotus Notesの置き換えなど企業内の情報基盤として導入がものすごい勢いで
進んでいるSharePointもマイクロソフトがクラウドサービスとして提供している。

SharePointとメールサーバー+αであるExchangeをオンラインで利用する場合、
低コストのS型と自由度の高いD型が選択できるようになっており、さらにオンプレミス版や
パートナー各社のホスティングサービスとあわせ、機能/非機能要件に応じて最適な
導入形態が選べるようになっている。電子会議のLiveMeetingをも含むオンライン版は、
各種サービスを総称してBPOS(びーぽす)と呼ばれている。

この2号機、本作「破」ではアスカが戦線を離脱した後、マヤが勝手に凍結を解除して
第10使徒に立ち向かうのだが、その際、裏コード「ザ・ビースト」を入力することで、
拘束具をパージしてリミッターを解除した「獣化第2形態」が起動する。

好評を博しているSharePointのオンラインサービスも、実は今のオンライン版の提供形態
ではその持てる力の多くを封印した状態になっている。機能の拡充や自由度の向上より、
低コストで安定稼働させることを優先しているためである。

そしてもうひとつ、現在SharePointのオンラインサービスはSharePoint2007で提供して
いるのだが、今年の秋口を目処に、最新版のSharePoint2010に切り替わる予定である。
このバージョンアップは、単に画面がきれいになるとか、機能が増えてるという話ではなく、
開発者の生産性が大幅に向上している点に着眼していただきたい。

すなわち、SharePointの画面構成や文書管理、検索などの基本要素を利用したカスタム
アプリが格段に作りやすく、動かしやすくなるのである。開発からアプリのデプロイまでの
工程数は当社比2/27と劇的に簡素化され、SharePoint上で動かすアプリに対する制約も
大幅に緩和されている。特定用途に特化した分野での高い開発生産性を謳うForce.comに
とってSharePoint2010は脅威になると思われる。私が反対の立場なら相当嫌な存在だ。
誤解を恐れず簡素化するならば、Force.com vs SharePoint Online、VMforce vs Azure の
構図で考えるのがわかりやすいと思われる。

使徒にのっとられたり、事故で消滅したり、大破の後処理された下記の各機については
公の場でコメントするのは避けさせていただく。ビジョンやコンセプト段階の開発計画や
事業計画に、似たような事象はつきものである。

■汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 正規実用型 3号機
■汎用ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオン 次世代試験 4号機
■封印監視特化型限定兵器 人造人間エヴァンゲリオン 局地仕様 仮設5号機

そして最後に、月面のタブハベースで建造していた機体を忘れてはならない。

■EVANGELION Mark.06(6号機)

ゼーレが本命として用意していたエヴァンゲリオン。従来型とは違う方法で建造されている。
渚カヲルが搭乗してネルフ本部上空に飛来、サードインパクトを起こしかけた初号機に
対しロンギヌスの槍を使ってサードインパクトを防ぐ。

Mark.06に相当するであろうマイクロソフトのクラウドサービスは、Bing。
以前このブログでもその持てるポテンシャルの一部をご紹介したとおり、Bingはただの
テキスト検索エンジンではない。Bingブランドには地図や翻訳サービスなども含まれており
開発者はAPIやSDKを利用することで実にクラウドらしいアプリを作ることができる
アプリケーション基盤でもある。

例えば、Bingの機能を利用して完成を目指しているソーシャルアグリゲーションサービス
Spindex。現在はまだコンセプトで謳うすべての機能を提供しているわけではなく、
クローズドベータというステータスなのだが、今後の発展が楽しみなサービスのひとつである。
ちなみに、Spindexはcloudapp.netのドメイン名からもおわかりの通り、Azureで動いている。

Spindex02

レイ・オジーが「今後はソーシャル」という話をする機会が増えつつある昨今、
FacebookにOfficeのWeb版を提供したり、ソーシャルな領域にマイクロソフトも手を出しつつ
あるのだが、Bing自体の広告ビジネスとしての対Google戦もさることながら、個人的には
どちらかというとBingの持つ機能やアセットを利用してどのようなサービスを提供するのか
といった展開の方がワクワクするものがある。

続編Quickeningのストーリーがさっぱりわからない中、自社製品をエヴァ各機に割り当てて
みるというのは、正直ちょっとドキドキではあるのだが、「マイクロソフトのクラウドサービスにも
いろんなものがあるのね」「なんとなくキャラというか、位置づけがわかったよ」という感想を
もっていただける方が少しでも増えれば幸いである。

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