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注目されていたコロラド州、ボルダー市のスマートグリッドプロジェクト、期待に反して大幅予算超過の原因

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コロラド州、ボルダー市はスマートグリッドの実証試験をいち早く採用した北米の街として一躍脚光を浴びた所である。SmartGridCityと称したこのプロジェクトは、電力会社の大手であるXCel Energy社が手がけた事や、GridPoint, Accenture, Current Group, SmartSynch, Ventyx, OSISoft等の企業が参画した事でも話題を集め、エネルギー省からの助成金を受ける街がスマートグリッドプロジェクトを開始する中、独自資金を持って 構築されるスマートシティプロジェクトとして各界から注目を浴びていた。
このボルダー市のプロジェクト、予算の大幅な超過でプロジェクト中断の危機に貧している、という噂が飛び交っている。関係書類によると、コスト管理の不備が大きな要因である、という指摘を受けている。
当初、今年の2月の時点で$1530万ドルかかる、と想定されていたプロジェクト予算は今現在は、SmartGridNews誌によると$4480万ドルの費用がかかる、と軌道修正されている。
プ ロジェクトの推進社であるXCel Energy社によると、SmartGridCityプロジェクトのバックボーンの通信インフラである光ファイバーネットワークを構築するコストが予想以 上に膨れ上がった事が原因である、としている。  この工事を請け負ったのはCurrent Groupとよばれる会社であるが、2009年の5月に発行した報告書によると、当初の想定以上の回線が必要だった事と、工事にかかるコストが大幅に予算 を大幅に超過超過した、という点が原因であるとしている。
しかし、真の問題は、関係している各社が、厳正なる費対効果の分析を行っていなかった事である、とSmartGridNews誌が指摘している。厳密には、このプロジェクト開始前にXCel Energy社がPUC(Public Utility Commission)に対して"Certificate of Public Convenience and Necessity,"とよばれる申請を怠っていた、という問題を指摘している。 この申請をする事により、プロジェクトの予算超過をPUCが防止する事ができるはずだったのに、XCel Energy社は"申請は必要ない、と思っていた"、と判断していた、との事。
結果的には、予算の大幅な超過が進み、2009年にはXCelがコスト回収の為に電気料金の引き上げをPUCに対して申請する結果となった。同年の12月には$1100万ドルの料金引き上げを承認したが、その条件として、CPCNと呼ばれる、料金引き上げの詳細な理由を説明するレポートの提出を要求している。
この辺の情報が公開され初めてから、ボルダー市のプロジェクトの問題が市場に露見し始め、メディアに注目され始める結果となっている。
現時点において、プロジェクトはほぼ終了段階を迎えながらも、今だ43%の住民しかスマートメータを設置されていない上、当初の期待に沿った効果をあげていない、という状況である。
当初、ボルダー市のプロジェクトは正にスマートグリッドの達成できる効果を発揮する事例として、最もメディアに注目されているものの一つのだった、と言える。 ボルダー市が選ばれたのも、大学関係者等、スマートグリッドに対する意識が高い住民が多い事もあり、成功の確率が高い、という期待もあった様である。
スマートグリッドが、電力事業者だけのノウハウだけでは解決できない、複雑な技術を要求するテーマである、という事がこういった事件を通して露見する、というのは非常に残念な事であり、複数業界に渡って総合的に監修できる組織の必要性が必要なのでは、という分析ができる。

スマートグリッド自体、まだコンシューマの世界では殆ど知られていないキーワードであるのが現実で、それを街全体に施行する事自体に無理あるのでは、という声も多くなってきている。 ボルダー市意外にも、Maryland州、Baltimore市、Hawaii州でのスマートグリッドプロジェクトも非常に難航している中、全てに共通しているのは、コンシューマに対して明確な説明を行ない、さらにコンシューマのメリットが何であるかをハッキリさせることが成功への重要な要件になっている、という事。 

複数の業界の企業が一緒にコラボすると、意外とこういう簡単な事が疎かになってしまうのかもしれない。 失敗を繰り返さないためにも、多いに参考にしたい話である。
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