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スマートメータの次の新キーワード:MDM (Meter Data Management) ⇒ 市場規模は2014年まで$2.21億ドル規模に、とGTM Researchが予測

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アメリカのエネルギー省(Department of Energy)の様々な助成金や投資を通して、スマートグリッドの市場は急速な立ち上がりを見せ、本当にこの一年の間にかなり一般的に知られるようなキーワードになったが、政府が投入した資金の多くは、スマートメータの各家庭への実装に流入しているのが現状。  そのため、スマートメータのベンダーやスマートメータ間を繋げるAMI(Advanced Metering Infrastraucture)のベンダーの急成長が見られた。 

さて、数百万台、という大量のスマートメータが世界中に設置されたその次に何が起きるのか?

当然、設置したからには、それを使わない事には意味が無い。 しかしながら、実際には本来の機能を十分に活かした使い方を行っている電力会社はあまりいないのが現状である。 

これだけの数のスマートメータが各家庭ので電力消費情報を収集し始めると、膨大な量のデータになり、それをうまく管理できるシステムとネットワークがまだ導入されていない、というのが大きな理由の一つである。

データ量はどれくらいになるのか、というと、様々な方面から試算されている。  数字にかなりばらつきがあるのが現実であるが、大方、2019年までに設置される、と想定されている米国全体のスマートメータ(約1億台)から、数百ペタバイト、という規模のデータが生成される、と試算されている。

さらに、このデータ、単に貯めこむのではなく、実際に分析に使って電力料金の変動システムに連携させたりするなど、さまざな分析に使われる上、セキュリティの保全性も確保する必要や、故障するデバイスの保守等にも広く、このデータは使われる。 


この大きな課題を解決するソリューションとして、Meter Data Managementと呼ばれる新しいキーワードキーワードが話題を集めている。
GTM Research社、という調査会社がこのキーワードに関する"The Emergence of Meter Data Management (MDM): A Smart Grid Information Strategy Report"という名前のレポートを発行し、今後この市場が2014年までに300%伸びる、と予測している。
市場規模的には、現在$5400万ドルある市場の大きさが$2.21億ドルまでに成長する、という計算である。
そ もそも、MDMとは何か、というと、各家庭やビルに設置されたスマートメータから発生する大量の電力消費情報を収集し、管理、分析する機能を提供するソフ トウェアシステムの事を指す。取り扱うデータは非構造型のデータで、非常に大きいデータベースになるため、次のような技術が有用なものとして注目されてい る。
  • Hadoop等の大規模データセット管理技術
  • 超高速な並列処理アーキテクチャ
  • 長高速なデータ通信機能
  • CEP(Complex Event Management)等の大規模データ検索技術
  • データウェアハウジング等の大量データ管理システム技術
  • クラウドストレージ等の大量のデータ管理インフラ
  • 高度な機能を持つData Anaytics機能
  • 顧客サービス向けのWebポータル構築技術
これだけ並ぶと、まるで金融システムに近いシステムをイメージするが、基本的に近いものがある、という事が出来る。強いて言えば、その違いはデータの発生元が大量のノードであるという事と、それに伴う生成データ量が非常に多い、という事である。
業界には結構の数のベンダーが存在しており、それぞれ特徴のある技術をベースにビジネスを展開している。このレポートにおいては、eMeter社、 Aclara社、Itron社、Ecologic Analytics社、EnergyICT社、Hansen Technology社、NorthStar Utilities Solutions社、Oracle社、OSIsoft社、SAP社のMDUS、Telvent社、等について紹介されている。
MDM ベンダーにとって重要なのは、ユーティリティ事業者のニーズの把握と、技術的にそれに対応出来る能力である。上記に列挙している技術コンポーネントの価値 を明確にする事はもちろんであるが、それをどのように組み合わせれば、導入元であるユーティリティ事業者の抱えている課題を解決出来るか、というITノウ ハウとユーティリティ事業者のノウハウの両方を把握している必要がある。
意外と両方を兼ね備えているベンダーでというのは少ないものである。

"Accelerated deployment of smart meters is driving demand for meter data management systems,"
と、GTM Research社のアナリストであるChet Geschickter氏が述べている。スマートメータの導入速度が非常に早くなっており、それが全体を管理するMDMにニーズに直結している、としている。

"MDM creates an opportunity for utilities to build intelligent applications across the enterprise, but they need to adopt modern system designs including service oriented architectures in order to do this."

また更に、MDMの導入はスケーラビリティやセキュリティ、等IT市場独特の要件を満足する必要があり、それに十分対応出来る技術として、Enterprise Integration技術や、データ管理技術屋、等の先進技術を採用する必要がある。
レポートによると、eMeter社を最も進んでいるベンダーでとしてランキングしている。テキサス州や、カナダ・オンタリオにて、合計650万台のスマートメータを対象にMDMシステムを導入している実績が評価されている。

筆者は以前からスマートグリッドは電力事業中心の市場から、IT中心の市場に移行する、と予測していたが、今回のような動きはその一つの現われだ、と見ている。  思ったより早く登場し始めているなぁ、というのが正直な感想。  IT関連市場が久しぶりに見る、大規模なシステム要件の登場であるゆえ、北米の大手のIT業者はかなり戦略的な動きに出る事は容易に想像出来る。  上記のレポートで登場しているMDMベンダーはほんの始まりで、もっと大々的な動きがこれから俄に立ち上がる、とさらに予測をしたい。 

日本のシステムベンダーも負けてはいられない。
データ管理システムは基幹システム事業で実績とノウハウはいっぱいある筈である。
あとは、アイディアでそれをスマートグリッドに持っていくだけである。 
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