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映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』から学ぶべきこと~感じることをまず始めに~

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今週の土曜、20日から公開される『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』の特別ワークショップの講師の一員として、一昨日、新宿でワークショップを開催してきました。ITコンサルタント、役者、ダンサー、パフォーマー、演劇評論家、デザイナー、など色々な分野の方々に参加して頂きました。一夜明けて二夜目に入ってもあの熱気が忘れられないくらいの盛り上がりでした。

ワークショップの内容については記事が上がっていますので、ご覧いただき、今日はピーター・ブルックの教えを日常に生かすにはどうすれば良いのかを考えていきたいと思います。

下記はVeritaのワークショップレポートです。

 

映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』 特別ワークショップ開催レポート

 

ピータ・ブルックは世界的に有名で歴史的にも名を残す稀代の演出家です。彼の演出の手法は、台本ありきではなく、まずその場で生きる、感じる、雰囲気をまず役者に作らせる、しかもその場で躍動する雰囲気を、生きた空間を作らせます。

その生きた空間を作るために余計なセットは組まずに、役者の想像力で創り上げた世界の中で演技をさせます。その後で、台詞、台本が入ってくるわけです。普通は稽古の始めと言えば、台本が先に渡されて、本読みから始まり、立ち稽古をして、そこから世界観や雰囲気を演出を加えながら作っていき、そこからようやく、セリフや演出ありきで生々しくどのように表現出来るかを考えていきます。ピーター・ブルックの演出方法はその逆だと思ってください。

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日常生活に、これを置き換えると、スクリプトがありロールプレイングをする過程を思い出してみてください。皆さんも人生に、一度や二度は経験があるのではないでしょうか。まずはスクリプトを読み合わせしますよね、

お客さん役、店員役などで。その後で、2人組で実際に立って臨場感を持ってやってみる。その後、そのスクリプトを覚えて、またロールプレイングしながら一連のマニュアル対応を覚えていきますよね。

ピーター・ブルック流でいくと、例えばクレーム対応という設定にします。スクリプトを先に渡さずに、お互いに喋らないで、一人はクレームを言う側で凄く怒っている、店員はそれを受けて申し訳なさそうにしている、

その雰囲気を先に感じさせ、どう対応するべきか考えさせるわけです。その後、即興で喋ったりしながらお互いの役を演じていきます。店員役の人はスクリプトがないので相手に必死に集中し謝り、相手に集中し傾聴する姿勢を身につけた状態で、ようやくスクリプトを渡し、始めてここでスクリプトを読んでいく過程に入ります。

雰囲気作りや傾聴のトレーニングをするためには即興のトレーニングが最適です。ピーター・ブルックが取り入れている即興のトレーニングはこの映画の中で幾つか出てきます。この映画に出てくる即興のトレーニングのメインはタイトロープ(架空の綱渡り)です。

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今回のワークショップでの一番の盛り上がりは、やはり映画でもメインとなっているタイトロープ(架空の綱渡り)でした。実際に綱はないのですが、架空の綱を自ら創造し、それを感じながら渡ります。今回はウォームアップとして感覚を呼び起こすエクササイズを十分にしてから、始めは一人で、最後はシチュエーションを決めて、1~4人で綱渡りを行いました。

興味深いのは役者やダンサーの表現者の方が、演技経験のない方々の綱渡りが、あまりにもリアルで釘付けになっていたことです。演技経験のない方々は表現する技術が乏しいので、ただひたらすら、綱渡りの状況を感じているのです。綱の感触を、綱のたわみを、恐怖を、自分の思い通りにならない身体感覚を、ただひたすら感じながら綱を渡っているのです。

ピーター・ブルックは映画の中で、ある役者が腕を水平に上げバランスを取る表現だけで綱渡りをしていると、すかさず、

『表現しないで、綱を感じて』

とアドバイスを入れます。なかなか表現方法を覚えてしまうと、まず感じるということがおざなりになってしまいます。

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表現するのが悪いのではなく、順序が間違っていると教えてくれています。台本や、マニュアルがある中で、毎日のルーティーンワークの中で、自分や相手、周りの空間をしっかり感じることから入りましょうと提案してくれています。

映画の中でピーター・ブルックは綱渡りは役者の技量を丸裸にする訓練だと言っていますが、役者だけでなく、人を裸にし、人生の教訓が詰まった素晴らしいエクササイズだと実感させられました。

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