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『相続関連民法改正へ 相続で自宅を手放す妻がいなくなる?』~事前に備えて、遺言を残すことが当たり前の社会に~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

  ■相続関連民法改正へ ポイントは?

高齢化社会の本格到来を迎えて、相続関連法制も変わっていきます。

「相続でもめるなんて、ウチにはそれほど資産はないから関係ないよ」と考えている方は少なくありません。

しかし、相続税がかかる、かからないにかかわらず相続、すなわち財産の承継は起きます。そのときに特にもめやすいのが自宅の扱いです。
分けられないひとつの不動産に対して相続人が複数存在する、そんなときには残された配偶者が住み慣れた自宅を売却してその売却代金でもって遺産分割をせざるを得ないこともあります。

大事な配偶者と同時に自分の住まいも失ってしまうことを出来るだけ避けるような法整備がなされるようです。

<相続、配偶者に厚く 法制審答申> (2018年2月17日付 日本経済新聞) 『法制審議会は16日、民法の相続分野を見直す改正要綱を上川陽子法相に答申した。残された配偶者の保護を手厚くするのが柱だ。配偶者が、自身が亡くなるまで今の住居に住める配偶者居住権を新設し、婚姻期間20年以上の夫婦の場合は遺産分割で配偶者を優遇する規定をつくる。政府は今国会に民法改正案など関連法案を提出する方針だ。』

相続に関する民法改正が検討されています。早ければ今国会で成立する見通しです。

この記事にある「改正要綱」を見ると、今回の改正のポイントとなりそうなものは以下の3点です。

1)配偶者の居住権の保護
2)自宅を遺産分割の対象から外す
3)法務局で遺言を管理
(平成30年1月16日『民法(相続関係)等の改正に関する要綱(案)』資料26-1より)

まだまだ未確定な部分は多くありますが、これは相続実務の現場にもかなり大きな影響を与える変更になると思います。

では順に確認していきましょう。

  ■1)配偶者の居住権の保護

夫が亡くなって際に、残された妻が慣れ親しんだ自宅に住み続けられるように、妻が亡くなるまで今の住居に住むことができる「配偶者居住権」を新設します。

例えば、遺産が自宅(評価額2,000万円)と預金(3,000万円)の合計5,000万円だったとします。
相続人は、妻とひとり息子の2人。
夫が遺言を残さなかったとして、法定相続だと妻と息子はそれぞれ2分の1の2,500万円ずつを相続します。妻が自宅に住み続けるために自宅の所有権を得ると、得られる預金は500万円。そして息子が残りの預金2,500万円を相続することになります。 そうすると妻は、自宅は得られるものの老後を過ごすための資金が不足しがちになります。

こんなケースの時に、自宅は息子が相続して、妻には居住権を与えます。居住権の評価がどうなるかはまだわかりませんが、所有権よりは低くなるでしょうから妻の預金の取り分が増えることになりますね。

現実には、相続人が妻と息子の場合はそれほどもめるケースはないのですが、問題は夫婦に子がいないときです。
子がいない夫婦で遺言を残さずに夫が亡くなり、法定相続人が妻と夫の兄弟姉妹になるようなケースですね。夫の兄弟姉妹が相続分の権利を主張してきたときには、財産を分けるために泣く泣く自宅を売却してその代金を分けないといけません。結果、妻は住まいを失うことになります。

居住権の成立要件のひとつは遺言に記すことです。
遺言で、「自宅は妻に渡す」とか、もしくは「妻に自宅の居住権を与える」とか書いていくことで奥様は安心して自宅に住み続けることが出来るようになるわけです。

  ■2)自宅を遺産分割の対象から外す

婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、遺言で妻へ贈与の意思を示せば自宅は遺産分割の対象から外れることになります。

これまでは生前贈与などで自宅を妻に渡しても実際に相続が起きた時には、その自宅分は相続財産に戻した上で遺産分割を行っていました。これを「持戻し(もちもどし)」と言います。これを婚姻期間20年以上の夫婦の場合には生前贈与の場合でも遺贈の場合でも、持戻しをしないということになります。

自宅はまず妻のものとなり、残りの現預金や不動産などの財産を相続人で分けます。実質的に配偶者の取り分は増えることになりますね。

  ■3)法務局で遺言を管理

生前に書く「自筆証書遺言」を全国の法務局で保管できる制度もつくられます。
これまで自筆証書遺言はその所在や真正性、効力などでもめることがありましたが、法務局で管理することで相続人も遺言があるかを簡単に調べられるようになります。

法務局に預けた場合は、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容確認する「検認」の手続きが不要になります。
また自筆ではなくてパソコンでの作成も可能になります。遺言は一回書いて終わりではなくて何度も修正する可能性があることを考えますと自筆でなくても良いのは利便性が高まります。

また法務局管理の場合は、公正証書遺言で必要になる証人も不要です。
検認も不要だし、証人も不要。遺言が一人で手軽に作成できるようになりますね。

1)の居住権も、2)の遺産分割についても成立要件は遺言に残すことです。
手軽に正当な遺言が残せるようになることはとても重要ですね。

  ■事前に備え、遺言を残すことが当たり前の社会に

相続トラブルがなぜ起きるのか、というと結局のところ「備えていないから」ということに尽きます。
裁判までもつれる相続トラブルは年間15,000件以上。年々増え続けています。

この先、日本は、人口は減りますが高齢者は増え続けます。それにつれて相続件数も増加します。日本の人口構成で一番多い世代は「団塊の世代」、そしてその次が「団塊世代ジュニア」です。団塊世代が平均寿命に達する頃、すなわち今から10年~15年くらい先の頃に、日本は一番相続件数が増える時期を迎えることになります。

それまでに相続についてお父さんお母さん世代も子供さん世代は、しっかり備えておくことが大事になります。まずは話し合うこと。そしてその内容を遺言に残しておくことが大事です。

遺言を書いて相続に備えているという人は全体の1割程度しかいないと言われています。今回の民法改正を機に遺言を残して相続に備えることが当たり前の社会になり、日本から相続トラブルがなくなっていくといいですね。

今回は以上です。 次回もお楽しみに。

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