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『大廃業時代を迎える日本の中小企業。さて防ぐ手立ては?』~廃業?それともM&A?そのために必要なこととは?~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は中小企業の事業の存続についてです。
廃業?それともM&A? そのために必要なこととは?

■大廃業時代を迎える日本の中小企業

日本の企業の99%を占める中小企業。全国各地の中小企業の発展こそが日本経済の発展といっても過言ではないわけですが、中には黒字であるにも関わらず存続の危機にある中小企業が多く存在します。その理由は...こちらです。

<大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社>
(2017年10月6日付 日本経済新聞)
『中小企業の廃業が増えている。後継者難から会社をたたむケースが多く、廃業する会社のおよそ5割が経常黒字という異様な状況だ。2025年に6割以上の経営者が70歳を超えるが、経済産業省の分析では現状で中小127万社が後継者不在の状態にある。優良技術の伝承へ事業承継を急がないと、日本の産業基盤は劣化する。』

多くの中小企業が、「後継者がいない」ことを主たる理由として廃業が増えているとのことです。2025年には日本の中小企業経営者の約6割にあたる245万人が65歳以上になります。そのうち約半数にあたる127万人の経営者には後継者がいないのだそうです。

今、廃業している企業のおよそ半数は黒字。「赤字企業の廃業はやむなしとしても、黒字企業の廃業は経済全体の効率を下げる」とのことで、経済産業省では、「この状況を放置して2025年を迎えると、約650万人の雇用と22兆円のGDPが失われる」と試算しているそうです。

「政府は大廃業回避へ5年程度で集中的に対策を講じる構えだ。」と記事は結んでいます。

この、経営者の高齢化と後継者不足による黒字中小企業の廃業について政府が対策に乗り出すということです。さてどんな対策をするのでしょうか。

■黒字企業の廃業は異様なのか?

政府は開業率と廃業率の向上を目指しています。
政府目標は開業率、廃業率ともに先進各国とおなじレベルの10%です。現状は開業率も廃業率も4%程度ですが、狙いは時代に合わなくなった古い企業の市場からの退出と、新しい企業の参入を促して経済を活性化させようという狙いですね。経済には常に新陳代謝が必要という考えですね。私も賛同します。

ただ、赤字企業の廃業はいいけど黒字企業の廃業は問題だというのはいまひとつピンときません。記事では「黒字企業の廃業は異様」と表現していますが、一般的には「廃業するなら黒字のうちに」というのは常識です。会社が黒字で自己資本も十分に残っているうちに廃業しないと、社員にも退職金を渡すことができないし、銀行にも借入金を返済できません。取引業者に未払金を残すこともなく、きれいに債務を清算して誰にも迷惑をかけずに会社を畳むのは経営者としての最後の責務と言えます。

逆に赤字になってどうしようもなくなってからの廃業は大変です。資産より負債の方が大きくなってしまうと債務を清算することが出来なくなり、周りに迷惑がかかるから辞めるに辞められなくなってしまいます。そうしてぐずぐずしているうちに会社の状態はどんどん悪くなり、最悪のケースは経営者が自己破産せざるを得なくなってしまいます。

黒字のうちに廃業するのは経営者として極めて賢明なことです。ただし、決して簡単なことではありません。後継者がいない高齢の経営者の多くは、どうしたらベストなタイミングで廃業できるか、ということを考えていますので、「黒字なのに廃業?」というのは私には特段の違和感はありません。

■海外企業からのM&Aが増えるような環境整備を

ずっと中小企業のままで大きく成長させることが出来なかった、そして後継者が名乗り出ることも事業譲渡の申し出もなかった、というような会社はたとえ今は黒字であっても将来性がないということでしょうから、元気なうちに廃業の道を選ぶことは経営者としてひとつの英断です。

ただ、本当にすごい技術やノウハウがあって、顧客からの支持や需要も強いような企業が経営者の高齢化とともに世の中からなくなってしまうのは確かに経済的にも社会的にも損失でしょう。

そのために政府が対策をすべきことがあるとすれば、日本の中小企業のM&A市場の整備でしょう。企業の合併・買収・事業譲渡などが活発に行われるための法律や税制を含めた環境を整えることです。
必要なのは中小企業を保護することではなく、客観的な企業価値算定技術を向上させることとスコアリングのようなわかりやすい査定基準を導入すること、そして世界に向けて広く情報を公開することだと思います。

本当に社会的価値の高い商品や技術を持っている会社なら、「買いたい」という会社や投資家が必ず現われるはずです。

ただ、日本の中小企業の経営者は、自分の会社が売りに出ているというような情報は隠したがるものなので、日本ではとにかくM&A情報は厳密に管理されます。買収先へのアプローチも企業価値算定も交渉も秘密裡に行われます。

だから価値ある企業の買収に関心があったとしてもなかなかその情報にアクセスできないのです。日本の特に中小企業はその傾向が強いと感じます。

特に海外企業からの買収が非常に少ないのは日本の課題でもあります。
外国企業からの対内直接投資のGDP比は、イギリス63%、フランス39%、アメリカ29%、韓国14%、中国10%なのに対して、日本はわずかに3.8%。
M&Aも含めた日本企業への投資は、年間17.9兆円しかないのです。(2014年時点ジェトロ調べ)

日本は昔から、「人件費などのコストが高い」とか「コミュニケーションが難しい」、「日本市場には独特の慣行がある」、というような理由で海外企業からの投資が増えませんでした。
しかし、今や人件費もオフィスの賃料も世界的に見ると日本は全然高くありません。観光客も爆発的に増加しているし、比較的円安でもあります。外国企業からみて昔と比べたら非常に投資しやすくはなっているはずです。

しかも、後継者を求めている優れた中小企業がわんさかいるのです。

これはもう情報公開するしかないですね。
外資の導入はデメリットばかりではありません。総じて日本企業よりも生産性は高いし利益率も高い。海外の新技術・新サービスを導入することができるなどプラスの効果もあります。

優秀な企業が存続することで雇用も取引先も守られる、というなら広く情報を公開して、国内だけでなく、海外からも投資を呼び込むことを推進するのは、情報を閉ざして企業を保護しようとすることよりも価値があると思います。

■競争力が高く収益性の高い会社なら必ず買い手はつく

戦後まもなくの頃の開業率は20%ほどもあったそうです。そのころに起業した商店も町工場の中で大企業に成長した会社もありますが、多くは時代の流れにともなって、淘汰されたり集約されたりしたことでしょう。例えば、今も残っている町工場のほとんどはすでに競争力がありません。

そういう企業がM&Aの情報公開をしてもどこからも買い手が現れないということもあるでしょう。しかしそれは残念ではありますが、そこまでの会社であったということでしょう。

政府は後継者難の中小企業へ何らかの対策をすると言っていますが、古き良き日本の企業を守ろうというようなノスタルジックな雰囲気の中での過剰な保護などはしない方がいいでしょう。基本的に保護よりも解放する方が企業は強くなりますから。

ジェトロによると、対日投資における日本企業の一番の課題は、「収益性の低さ」ということです。グローバル化している現代の経済では、資本が分散しているより、資本集約して経営効率を上げた方が競争力も利益率も上がるでしょう。

人口が減っているのだから企業の数はいずれ減っていきます。しかし、会社の数よりも一社あたりの収益性を上げることの方が大事かもしれません。そのためにも収益性の源泉である競争力ある技術や商品・サービスを活かすことが出来る「後継者」を広く内外から受け入れることが出来る環境を整えていきたいものです。ボーダーレスで生産性を高める時代ですからね。

今回は以上です。 次回もお楽しみに。

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