明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『日本の平均給与は420万円。さて、平均ってどこの誰のこと?』
~統計は詳しく見ないとわからない~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は統計データの見方についてです。「平均」が一番わかりにくいかも。

■日本の平均給与420万円。だから家が売れない?

先日、前提となる認識を合わせないとちゃんとした話にならないな、ということがありました。

ある地方の住宅会社の社長さんと雑談をしていた時のことです。

私 「日本の景気は良くなっているみたいですね。社長のところはいかがですか?」
社長 「いや地方は厳しいですよ。景気は全然良くないですよ。日本経済はむしろ停滞していますよ。」

自分は市場をよく分析していると自認していらっしゃる社長はこう続けます。

「川瀬さん知っていますか?日本の平均給与は420万円ですよ。最近少し上がってきてはいるもののまだリーマンショック前にまだ戻っていませんしね。ウチのターゲット層である30代から40代は本当に厳しいですよ。だから自社の住宅ももっと価格を安くしないと売れない。今、1000万円くらいのローコスト住宅をやろうかと思っているくらいです。」

という話でした。

私は「(ちょっと認識が違うな...)」と思いつつ、「最近の若い人は質にこだわる層も増えていますから、安かろう悪かろうではダメではないでしょうか?」というような話をしましたが、結局最後までかみ合わないままでした。

■統計は詳しく見ないとわからない

どういう商品をどういう層に向けて提供するかというのは、マーケティング戦略の話ですので、企業ごとの特性とか競合との関係性とか地方独特の事情などもあるかと思います。だからそれはそれでいいのですが、私が引っ掛かったのは最初に社長がおっしゃった「日本の平均給与が420万円。だから30代40代はローコストしか買えない。」というところです。

恐らくここは統計の捉え方が違うのではないかな?と思います。

社長が認識している「平均給与420万円」のデータは恐らく国税庁が出している「民間給与実態統計調査」からだと思います。国税庁のホームページで調べてみますと、確かに平成27年度の平均給与は420万円。リーマンショック前年の平成20年度が429万円です。社長の言う通り、確かにまだ戻っていません。

しかし、同じページをもう少し詳しく見てみますとまた違った状況が見えてきます。
平均給与は420万円ですが、男女別に見ますと男性520万円に対して女性は276万円です。

また正規雇用と非正規雇用でも大きな差があります。
正規 485万円、非正規 171万円です。

さらに業種でも差があります。
一番高い「電気・ガス供給業」で715万円。
次の「金融・保険業」で639万円。
一番低い「飲食・サービス業」は236万円です。

「民間給与実態統計調査」は、全国の老若男女すべての給与所得者の平均です。こうしてみると平均を下げているのは、「女性」、「非正規雇用」、「サービス業」というワードが見えてきます。恐らくここに「高齢者」も入ってくるでしょう。

さて、問題の30代40代の年収ですが、これは総務省統計局の「家計調査年報」がわかりやすいと思います。家を建てる方はほぼ結婚されていると思いますので、「二人以上の勤労世帯」のデータを見てみます。(2016年度 家計調査年報 二人以上勤労世帯より)

40代の平均世帯年収は733万円となっています。40代未満では611万円。こちらは4年連続で増加しています。

世帯年収が600万以上あれば、十分住宅ローンも組めるのではないでしょうか。

■有効求人倍率でも?

若者はお金がないとよく言われます。でも、大卒の初任給も昔よりは上がっています。私が大学を出た1990年の初任給の平均は16.9万円だったのが、2012年には20.2万円になっています。

こういう数字を色々眺めていると見えてくるものが変わってきませんか?

冒頭の社長さんは「価格を下げないと家が売れない」と言われていましたが、現実には、マンションも戸建も住宅価格は上がっています。人工代が上がっていますし、建物の性能も向上していますからね。
また、購買層は年々若年化しているとも言われています。実は年収が上がっている上に住宅ローン金利が低いなどの理由があるからでしょうね。

何事も詳しく見ないと本当のところが見えてこないということだと思うのです。

有効求人倍率でも同じような話があります。
今の求人倍率は1.3倍を超えていて、産業界はかなりの人手不足だと言われていますが、それでも「仕事がない」「就職できない」という方はいます。こういう方は、「全然人手不足じゃない!」と憤っておられるかもしれません。こういう方は恐らくですが、「事務職の正社員」を希望しているのでしょう。
これも求人状況を詳しく見るとわかります。
一番求人倍率が高いのがサービス業で、3倍を超えています。しかし、一般事務職は0.36倍。58万人の求職者に対して20万件しか求人がありません。またパートなどの非正規の求人が1.5倍を超えているのに対して、正社員は1倍を切っています。(職業安定業務統計より)

■変わりつつある日本、平均化することで見えなくなることも

日本は今大きな変化の時にあります。様々なところで差が大きくなっています。このように変化して差が大きくなりつつある社会においては、「平均」だけでは物事の本当のところが見えなくなってしまう可能性があります。

地方と都市部。正規と非正規。男性と女性。大企業と中小企業。若者と高齢者...。
これら状況がまったく違うものを「平均化」して本質がわからなくならないように、何事も詳しく見ていくことを心掛けたいと思います。

今回は以上です。 次回もお楽しみに。

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