明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『個人版民事再生が13%増加!金融機関の審査は大丈夫か?』
~個人の破たんの問題は、「借りすぎ」ではなく、「貸しすぎ」~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は、借入についてです。皆さん、借りすぎには注意しましょう。

■民事再生手続きや自己破産がまた増えている

10年くらい前によく聞いた「ローン破たん」とか「自己破産」という言葉、最近あまり耳にしなくなったと思いませんか?
実は、個人の借入過多による破たんはこの10年間で激減しました。その理由は後述しますが、その個人の破たんがまたじわじわと増えてきたようです。

<個人版民事再生、昨年13%増  家手放さず債務減 借りすぎ顕在化>

(2017年7月4日付 日本経済新聞)

『破産せずに借金を大幅に減らせる「個人版民事再生手続き」の利用者が増えている。最高裁判所によると2016年は前年比13%増の9,602件と2年連続で増えた。住宅を手放さずに他の借金を減らせる仕組みで、住宅ローンを抱えた人が多く利用しているとみられる。昨年は自己破産も13年ぶりに増加に転じており、借金に苦しむ個人がじわり増えている。』

住宅ローンを組む時に、「こんな大きな借金はしたことがないから怖い」とびくびくされる方は少なくないのですが、今は住宅ローンだけで家計が破たんする人は以前に比べてかなり減っています。しかし、住宅ローンに加えて色んな借入を重ねてしまう、いわゆる「多重債務」の状態になってしまうと家計は一気に厳しくなります。この住宅ローン以外の債務を圧縮して、家計を困窮状態から救う手続きのことを「個人版民事再生手続き」といいます。

多額の借金で、もうどうしようもない状態になると「自己破産」を選ばざるをえなくなります。自己破産すると借金はなくなりますが、自分の財産もすべて失ってしまいます。苦労して手に入れたマイホームも手放さないといけません。しかし、まだ安定した収入はあって、住宅ローン以外の借金を払える範囲に圧縮すればなんとかやっていけるという人は個人版民事再生を利用することができます。自己破産の手前で多重債務状態から解放されます。自己破産と違ってマイホームに住み続けながら再生することが出来るのがポイントです。

■個人の破たんが減ってきた3つの要因とは?

家計が破たんするというのは大きな悲劇です。社会的には無くしていかねばならないことです。
しかし、実は自己破産や個人版民事再生手続きはこの10年でかなり減りました。

過去のピークは平成15年。この年には25万件も自己破産の申し立てがありました。しかしその後、年々減り続けて平成26年には6万5千件にまで減少しました。自己破産の一歩手前の個人再生手続きも平成16年には2万6千件だったのが、平成26年には7,668件にまで減りました。自己破産も民事再生手続きもこの10年間でおよそ3分の1にまで減少したことになります。

この要因は大きく3つあると思います。

ひとつはこの10年で緩やかに景気が回復してきていること。途中にリーマンショックなどもありましたがここ数年の景気指標は明らかに良くなってきています。

2つめは、リーマンショック後にローン困窮者を救うための法律として平成21年に施行された「金融円滑化法」の影響です。金融円滑化法は、経済の激変緩和措置として返済猶予などの条件見直しに金融機関が応じることを求めた法律です。金融円滑化法はすでに終わっていますが、金融機関は今も条件見直しにはちゃんと対応してくれます。この、今では当たり前になりつつある金融機関が住宅ローンの借入期間の延長とか金利の引き下げとかの条件変更に応じる姿勢はこの金融円滑化法以降のことです。かつては銀行にローン返済条件変更の相談に行ってもほぼ門前払いが普通でした。その頃は、会社の倒産や解雇、給与削減などの不測の事態で住宅ローン返済が厳しくなると、もう自己破産して自宅は競売という事態が多かったことを考えると大きな変化です。

3つめは、平成22年に施行された貸金業の総量規制です。貸金総量規制とは個人の借入総額は原則として年収の3分の1までしか貸してはいけないというものです。総量規制以前は、消費者金融業者などが個人の返済能力など無関係に貸付を行っていました。高金利な借入を年収を上回るくらいにしてしまうと当然のことながらあっという間に返済不可能になり自己破産に追い込まれてしまいます。しかし、借入に総量規制がかかったことで自己破産に至るようなレベルの多額の債務を抱えるケースが減ったわけです。

■問題は「借りすぎ」ではなく、「貸しすぎ」

企業はリスクを取る必要がありますので、経営に失敗した時に破たんすることは致し方がないとは思いますが、個人が破たんすることは限りなくゼロに近いレベルで無くしていかねばならないと私は思っています。そしてそれはそれほど難しいことではないとも思っています。

そもそも金融機関はその業務上の責任において、返済できそうにないお金は貸すべきではありません。

個人でも子供の学費とか家族の病気とかお父さんの失業とか、突発的にお金が必要になるときはあります。そのためのセーフティネットは必要です。金融円滑化法以降の銀行の条件見直し姿勢とか民事再生手続きなどはそれにあたりますね。
ただ、一般の人は借入について知識も経験もそれほどないのです。どれくらい借りたらいいのか、返済はどうなるのか、金利が上がったらどうなるのか、というようなことが実はよくわかっていない人が多いのです。ましてやすでに多重債務状態になっているような人はもう返済という感覚すらなく、自分の置かれている状況がわからなくなっています。借りられるなら借りられるだけ借りようとします。
だから金融機関がモラルを持って貸出に臨むべきなのです。そうすれば個人の破たんは無くすことができるはず。よく借りすぎが問題になりますが、本当の問題は貸しすぎなのです。

銀行以外のノンバンクとか消費者金融が社会で一定の役割を果たしているのは理解しています。銀行が貸すことが難しい業種とか資金使途はあります。あまりに短い期間の融資もしません。
ただ、金利10%前後のローンはあっても良いですが、以前のような29%とかなると明らかに行き過ぎです。企業も個人もまず返済できません。

個人でいうと、住宅ローンを含めたすべての借入の年間元利返済総額が世帯年収の40%を超えてくると、普通レベルの収入では非常に家計のやりくりが厳しくなります。

■審査が再び緩むことのないように

グレーゾーン金利の撤廃や貸金総量規制以降、多くの大手消費者金融は金融機関の傘下に入りました。仄聞するところによると審査も厳しくなっているようです。審査が厳しいことは悪いことではありません。なぜなら破たんは不幸なことだからです。

しかしながら、冒頭の記事によると平成15年以降ずっと減ってきた自己破産や民事再生手続きがまた増えているとのことです。

冒頭の記事にはこうあります。
『住宅ローンを抱えている人が、他にも借金を抱えて返済に行き詰まる構図が浮かび上がる。銀行が住宅ローンの借り換え客に対し、カードローンの契約をセットで勧めている例もあるという。個人再生の増加は一定の財産を持っている層でも借り過ぎ問題が徐々に顕在化していることを示す。』(日本経済新聞)

カードローンは総量規制の対象外です。だからといって審査が緩くなっているとしたらそこはぜひ引き締めてもらいたいですね。

せっかく上限金利が下がり、総量規制も始まったのに再び緩むことがないようにしてもらいたいものです。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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