明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『しぼむ住宅ローン市場、今、住宅業界はどうなっているか?』
~2019年、10%への消費増税時に駆け込み需要はあるか?~

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こんにちは!

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「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は住宅市場についてです。

住宅ローン申し込みにブレーキがかかったようです。今後どうなるのでしょうね。



■良いものをより安く買えるのは、「低金利のお陰」

3か月前にここで「住宅市場は好調」と書きました。
その要因のひとつは間違いなく「金利が低いから」です。
「住宅ローン金利が下がっているから建物の価格は上がっているにも関わらず支払い総額は減少している」つまり、今は以前に比べて、「より良い家をより安く手に入れることができている」と言えます。

<ハッピーリッチ・アカデミー第253号(2016年10月4日付)>
『好調な住宅業界 住宅業界が今考えるべき「その時」のこととは?』
https://www.happyrich.jp/columns/253.html

『住宅着工は、賃貸住宅が前年同月比で9.9%も増加していて、これで10か月連続の増加です。
持ち家も前年同期比4.3%の増加で、こちらも7か月連続の増加となっています。
住宅業界は現在「活況」であると言えるでしょうね。
(中略)ニッセイ基礎研究所のレポートによると、
2008年と2015年の東京のマンションの平均価格を比較すると、
5,993万円→6,779万円と786万円も上昇しています。
しかし、住宅ローンを含めた住宅購入のための支払い総額は、
8,920万円→8,450万円と逆に469万円も少なくなっています。
これは住宅ローンの金利が低くなったからですね。
この間の金利差を計算するとおよそ1%以上も下がっていることになります。
この金利低下は今マイホーム需要を押し上げている要因のひとつであることは間違いないと思います。』(本文より抜粋)



■住宅ローンの申し込みが激減?

その好調な状況もいよいよ終わりに近づいているのでしょうか。
さて、この記事をどう見ますか?

<住宅ローンしぼむ市場 12月申し込み、4.3万件に減少>
(2017年1月19日付 日本経済新聞)
『住宅ローン取引の減速が鮮明になってきた。
主要8行への申込件数は2016年12月に約4.3万件と、
日銀がマイナス金利政策を導入する前の水準まで低下。
米大統領選後の金利上昇を受けて大手行は17年1月から10年固定型の最優遇金利を引き上げており、さらに勢いが鈍る可能性がある。景気への影響も懸念される。』

2016年12月の住宅ローンの申し込みが激減したようです。
この調査は、三菱東京UFJ銀行など3メガバンクと三井住友信託銀行、りそな銀行、
さらに住信SBIネット銀行などインターネット専業3行の取引を集計したものなので、
すべての住宅ローンというわけではありませんが、傾向を見るには十分なものと言えそうです。

恐らくこの要因は「金利が上がってきたから」でしょう。
2016年9月に日銀が金融緩和の姿勢を少し変える方針を出して以降、
11月12月とほんの少しではありますが、各行は住宅ローン金利を引き上げました。
どうやらそれで申込件数が減少傾向に転じたようです。

記事によりますと、『2015年(H27年)に月平均4万件程度で推移していた住宅ローンの申込件数は日銀がマイナス金利政策を導入した直後の2016年(H28年)3月には8万件に倍増した』そうです。
それが2016年(H28年)12月に4万件程度にまで落ちたということですね。

同記事は、『16年4~6月、7~9月の国内総生産(GDP)は住宅投資が大きな下支え役を果たしたが、住宅市況の変調がいよいよはっきりしてくれば投資を控える動きも懸念される。景気への影響が懸念される。』としています。

さて今後どうなるのでしょう。



■景気への影響は、「今のところ」まだ懸念するほどではない

「今のところ」ですが、この住宅ローンの申し込みの落ち込みが急激に景気に悪影響を与えるとは思いません。
減ったのは住宅ローンの申し込みであって、新築の着工棟数ではありません。
国土交通省から毎月発表される新設着工棟数を見ると、
新しく住宅を取得してローンを組む「持ち家」と「分譲住宅」の棟数は、
合わせておおよそ月4.5万戸前後で安定的に推移しています。

新設着工が4.5万戸程度なので、
2016年12月の住宅ローン申し込みが4.3万件になってもそれほど驚きません。
むしろ、住宅ローン申し込み件数がピーク時で8万件もあったことが驚きです。
つまり、これまでの住宅ローン申し込みの半数近くは既存のローンの借り換えだったのです。
この記事が意味するところは、『高い金利から今の低い金利への、
「住宅ローンの借り換えの駆け込み」が終わった』ということです。

住宅ローンを高い金利から低い金利に切り換えただけですから、新たに家が建つわけでも、引っ越ししたり、家電製品を買い替えたりするわけでもありません。
銀行の利息収入が少し減って、その分が家計に回るだけです。
それは恐らく景気やGDPに影響を与えるほどではないでしょう。
つまり、しぼんだのは「住宅ローン市場」であって、「住宅市場」ではないのです。
今のところ、ですが。



■10%への増税時、駆け込みはなく反動減だけがある?

今のところ住宅市場は依然として好調です。
ちょっと好調すぎるくらいです。
ここ数年の新設住宅の着工推移をみますと、
2014年(H26年)4月に8%への消費増税があり、
その前後で駆け込み需要とその反動がありました。
「持ち家」と「分譲住宅」を合わせた着工棟数は、
2013年(H25年)前半には月4.0~4.5万戸程度だったのが、
増税半年前の2013年(H25年)9月には5.5万戸に跳ね上がりました。
これが駆け込み需要ですね。
それが翌年の2014年(H26年)になると、前年同月対比でマイナスの月が続くようになります。
4万戸を割り込んで3万戸台に落ち込む月もありました。これが反動減です。

反動減が終わるのは2015年(H27年)5月です。
「持ち家」と「分譲住宅」がどちらも前年同月比でプラスに転じます。
着工棟数は4.2万戸でした。翌6月には5.2万戸と完全に消費増税前に戻りました。
以降、着工棟数はだいたい月4.5~4.6万戸で安定的に推移しています。

本来なら、今頃(2016年後半)の着工はもっと落ち込んでいただろうと、数年前は予測されていました。
なぜなら、一次取得者層といわれる20代後半から30代後半くらいの層が
人口も世帯数も減少しているからですね。
住宅購入世代の人口が減っているのに着工棟数が落ちていない。
それはつまり今は需要の前倒しが起きているということなのかもしれません。
この後押しをしているのは、間違いなく「低金利」でしょう。
もし金利上昇傾向が今よりももっと鮮明になれば、
逆に今以上の「金利上昇前の駆け込み着工」があるかもしれません。
しかし、その後はどうなるか・・・。
その時、新設着工は大きく落ち込んでいるでしょうね。

消費税は2019年10月に10%に増税することになっています。
住宅業界では、この前の8%への増税の時と同じように次の駆け込み需要は
その半年前の2019年3月頃ではないか、そしてその後は反動減があるのではないか、
と予測する向きもあります。
しかし、今がすでに需要の先食い状態で、
それも「金利上昇駆け込み」で終わってしまうとすると、
2019年には駆け込み需要はなく、ただ反動減があるだけかもしれません。

勝手な予測ではありましたが、
住宅業界はいつか必ずやってくる市場の縮小に備えておかねばならないのは間違いないでしょうね。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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