明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『平成29年度 税制改正大綱発表 抜本的な改革は先送り』
~働き方改革につながる所得税改革は今後どうなっていくのか?~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

年末恒例の与党税制改正の大綱が発表されましたね。
来年以降の税制はどういう方向性になっていくのでしょうか?

■平成29年度 税制改正大綱はどういう内容?

税制改正大綱が発表されました。
今年は全体的に小粒というか目玉がないというか...。ちょっと中途半端な印象です。
その原因はやはり「配偶者控除の見直し」の腰が折れてしまったからでしょうね。

<所得税の抜本改革先送り 与党大綱決定>
(2016年12月8日付 日本経済新聞)
『自民、公明両党は8日、2017年度税制改正大綱を決めた。
所得税の配偶者控除は配偶者(妻)の年収上限を103万円から150万円に事実上引き上げ、パート主婦がより長く働きやすくする。
働き方を左右しない中立な税制の実現に向けて半歩前進したものの、所得税改革は来年度以降に抜本的な見直しを先送りした。』

全体でみると今回の改正は増税と減税がほぼ中立でどちらかというと少しだけ減税の方向です。
試算によると、今回の税制改正が十分に浸透した時でおよそ300億円の減税となるようです。

中でも、特に減税が多いのが法人向けです。
企業活動を後押しするような税制改正になりますので、景気対策にもなりますね。
給与を増やした企業や研究開発投資をした企業は法人税が一定割合減税になります。
企業の利益を内部留保ではなくて、賃上げや投資に使ってもらうための措置ですね。
特に大企業に比べて遅れている中小企業の賃上げには効果がありそうです。

■さて、配偶者控除の見直しは?

さて、問題の「所得税の配偶者控除の見直し」です。

このテーマについては今年の9月にもここで書きました。

<「103万円の壁」は崩れるか?どうなる配偶者控除>
(2016年9月20日付 ハッピーリッチ・アカデミー252号)
 https://www.happyrich.jp/columns/252.html 
『政府はかなり本腰を入れて日本の社会構造を変えようとしているように感じます。
所得税の「103万円の壁」の次は社会保障の「130万円の壁」が来るでしょうし、専業主婦の年金制度である第三号被保険者にも手が入るでしょう。
所得税の基礎控除の見直しや最高税率の引き上げなども続くと思います。
配偶者控除の廃止はこれまでの税と社会保障のモデルを変える第一歩になるかもしれません。』

...と、まぁ私はそれなりに期待していました。

しかし、与党内で反対論が出てあっという間に尻すぼみ。
結局、今回の大綱では2018年1月から38万円の所得控除を受けられる配偶者の年収の上限を今の103万円から150万円に引き上げるだけ、ということになりました。
確かに今、年収を103万円以下に抑えようと就業を調整している人たちにとってはもう少し働くことが出来るようになります。
これで新たに300万世帯が実質減税になるとのことです。
この減税のための財源は高所得の専業主婦世帯への増税で調整するようです。

しかしこれは単に「103万円の壁」が「150万円の壁」になっただけですね。
所得税改革を働き方改革までつなげていくという当初の理念からは程遠い結果となってしまいましたね。

■社会構造の変化への対応よりも選挙対応?

前回も書きましたが、今回の配偶者控除の改正案は増税が狙いなのではありません。
税収としては中立でした。
そうではなく、所得税制を社会構造の変化に対応させ、「働き方改革」への道筋をつけることだったと思います。

日本の世帯構成はこの30年間ほどで大きく変化しています。
1980年には専業主婦世帯は1,114万世帯だったのに対して、共働き世帯は614万世帯でした。
しかし、今や専業主婦世帯が720万世帯に減り、共働き世帯は1,077万世帯に増えました(2014年時点)。

今、主婦層に働く意欲があって、社会的にも働き手が不足しているにも関わらず、働き方に制限をかけるような制度が残っているわけです。
専業主婦の方がはるかに多かった1961年に制定された配偶者控除制度はすでに時代の変化に合わなくなっていると言えます。

政府の税制調査会は、専業主婦世帯だけを優遇する配偶者控除を廃止して、広く共働きの世帯をも対象とした「夫婦控除」の創設を考えていました。
これで税制としては増減税中立です。

しかし、本当にあっという間に反対論が出て夫婦控除の案は消え去りました。
報道によると、与党内からも「こんな専業主婦世帯が反発するような政策を取ったら選挙に影響する」という意見が強かったようです。
結果、103万円を150万円にするという...、なんと言いますか、まったく働き方改革にもつながらないお茶を濁したような形になりました。

本当に日本って改革が難しい国ですね。

■日本が変われない国にならないように

税制調査会も恐らく悔しいのでしょう。
その悔しさがにじみ出たように、大綱の中で今後の所得税改革の方向性を示し、今回はまずその一歩だというような表現しています。
所得税改革は数年かけてやると。

その通りで、時代の変化に伴って今の社会の実態に合わなくなっているのは配偶者控除だけでありません。
フリーランスの人への給与所得控除とか、給与と同じく壁がある社会保険料の扱い、など対処しないといけない課題はまだまだ多くあります。

税制を変えるということは常にその改正によって減税になる人と増税になる人が出ます。
そこに意見の対立が生まれます。
極力配慮は必要なものの、すべての人が納得する「ベスト」な制度は現実的には存在しませんね。
その時に大事なのは大きな視点だと思います。
大局的見地に立って、日本の将来を見通したときにこうする、それは「ベスト」ではないかもしれないが、「ベター」である、ということを多くの人が理解できることが大事だと思います。
それが政治の仕事ですよね。

これだけ変化の激しい時代です。
変わるリスクよりも変わらないことへのリスクの方が大きくなっているように感じます。日本が硬直した変われない国になりませんように。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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