明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『年金抑制法案はそれほど悪い法案なのか?』
~年金は国民の一大関心事 不安をかきたてるのではなく丁寧な説明を~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、
ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は年金法案をめぐる政治とマスコミのありかたについてです。

■年金カット法案?強行採決?

先週、「強行採決反対!」、「年金カット反対!」と書かれたビラが掲げられて大荒れだった衆院厚生労働員会の映像をニュースなどでご覧になられた方も多かったと思います。

その時の朝日新聞の記事がこちらです。

<年金抑制法案 採決強行>

(平成28年11月26日付 朝日新聞)

『公的年金の支給額を引き下げる新しいルールを盛り込んだ年金制度改革法案は25日の衆院厚生労働委員会で自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決された。
民進、共産両党は審議継続を求めたが、与党が採決を強行した。(中略) 
蓮舫民進党代表は「首相の思うがままに立法府は動くと勘違いしている。
政権のおごり、上から目線が非常に残念だ。乱暴な採決の是非を国民に問いたい。
社会保障は常に争点だ。」と語った。』

審議されたのは年金制度改革法案です。
しかし、ニュース映像やこの記事を見るとその審議内容よりも採決が強行されたという非難がメインになっていますね。

朝日新聞は続いて、『今の自民党は数の力にまかせ、野党の背後にもいる多くの国民の存在を忘れているようだ。』とこの記事をまとめています。

なにやら私たち国民にとって、ものすごく悪い法案を強引に通してしまったようですね。
さて、一体どんな法案なのでしょうか?

■年金法案の内容はとても重要

今回の法案は年金制度の一部を変えるものです。
いくつかの変更点があるのですが、今回争点となったのは大きくいうと次の2点です。

  1. 物価が上がって賃金が下がった場合、現在は年金額を据え置いているが、新ルールでは賃金に合わせて減額する。
    物価より賃金の下落幅が大きい場合は物価に合わせているのを改め、賃金に合わせる。(これを2021年度から施行)
  2. 年金額の伸びを賃金や物価の上昇分より1%程度抑える「マクロ経済スライド」を強化。 現在は物価上昇時にしか適用しないが、デフレで実施できなかった分は翌年度以降に持ち越し、物価上昇時にまとめて差し引けるようにする。
    (これを2018年度から施行)

以前は物価が上がるとそれに応じて年金給付額も上昇していました。
ただ、今は低成長時代で物価も上がりません。
もし、デフレで物価や賃金が下がっているのにそれを年金支給額に反映させなければ、給付額が高止まりしてしまい将来の年金財政が厳しくなります。

日本の年金制度は、「賦課方式」と言って、現役世代が支払っている保険料を高齢の年金受給世代が受け取る世代間負担の仕組みになっています。
この先、少子高齢化が進む中、長期間にわたって世代間で負担と受給のバランスを取っていくことは年金制度を維持していく上で避けて通れないことです。

今回の年金制度改革法案は、年金給付額が高止まりするのを防ぐことで年金財政を適正に維持して、将来の年金水準を低くなりすぎないようにするのが狙いです。
私は、他に対案がない以上、致し方のない措置だと思いますし、実施が遅れれば遅れるほど世代間ギャップが広がるので早い方がいいとも思っています。

■他紙はどのように書いているか

ただ、緩やかではありますが年金が抑制されるわけですので、年金受給に近い世代の人たちは面白くはないでしょうね。

日本経済新聞の調べ(平成28年11月28日付)によると、今回の年金法案への賛否は、反対が57%で、賛成は29%。
特に今の内閣を支持しない層では反対は73%だったそうです。
ただし、年代別にみると、20代は賛成が6割超で、30代では4割超が賛成でした。
若い世代にとっては「物価も賃金も下がっているのに年金が高止まりして自分たちの負担だけが増すのは困る」と考えているのでしょう。

実際、朝日新聞以外の全国紙では今回の年金制度改正法案については、賛成とまではいかずとも概ね「必要な措置」というトーンです。

<社説 年金改革法案 持続可能にする論議を>

(平成28年10月31日付 毎日新聞)
『デフレで物価や賃金が下がったとき、それを年金に反映させなければ、給付額は高水準のままとなり、将来の財源が苦しくなる。
長期的に年金を持続可能にすることを考えると、改革案は必要な措置ではある。』

<社説 年金抑制法案 若者世代にツケは回せぬ>

(平成28年11月7日付 産経新聞)
『年代によっては不満もあろうが、子や孫世代の「老後」に対する配慮の必要性は理解されるはずだ。
限られた財源を有効活用するには、すべての世代で「痛み」を我慢し合うしかない。』

誰もが年金制度は無くなってほしくないと思っているはずです。
「年金制度が無くなるかも」などという不安があると若い世代の年金未払い者が増えてしまうかもしれません。未払い者が増えると、それこそ年金制度が維持できなくなりますね。

■年金は国民の一大関心事 不安をかきたてるのではなく丁寧な説明を

朝日新聞が一面大見出しで、<年金抑制法案 採決強行>とした11月26日、日本経済新聞は<年金法案 衆院委で可決>と淡々と事実を伝えています。

毎日新聞はもう少し突っ込んで、
<年金法案採決 与党迅速、批判封じ 野党は「強行」演出>としています。
『野党が「強行採決」と印象づける「演出」にこだわったのは、早期の衆院解散を警戒しているためだ。
民進党の蓮舫代表は25日、所属議員に「解散風はビュンビュン吹いている。台風だ」と漏らした。
採決後は記者団に「あまりにも乱暴で立法府を軽視した採決の是非を問わせていただきたい」と次期衆院選で争点化する考えを示した』(毎日新聞 同記事より)

「年金」はすべての国民に関係する一大関心事です。
そのくせ計算が複雑でとてもわかりにくい。だから政治のテーマとして使われやすいのです。

確かに今の年金制度には色々な問題点はあります。
ただ、日本の年金制度は限りのある財源を今と将来の高齢者が分かち合うものです。
大事なのは世代間の信頼です。
政治やマスコミが最も避けなければならないのは国民の不安をかきたてて、世代間対立をあおることです。

そんな大事なテーマを政争の道具にはしないでもらいたいと思いますね。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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