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『経営改善できない企業が延命されている。そのツケを払うのは?』~大きな社会構造の変化に対応するためには?~

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こんにちは!

明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、ハッピーな人生を送るための情報を提供する「ハッピーリッチ・アカデミー」管理人の川瀬です。

今回は企業経営についてです。経営再建企業とそれに対する国の方針について考えてみます。

■経営改善できない企業が延命されている?

2009年に金融円滑化法が施行されたときに懸念されたことが今、現実になっています。
この現実に対して、経営者と地方の金融機関、そして国はどう向き合うべきなのでしょうか。

<返済猶予の効果乏しく 中小の6割、4年以上改善せず>
(2016年10月26日付 日本経済新聞)
『地方銀行など106行が返済猶予など融資条件の変更に応じた中小企業のうち6割強が、4年以上たっても経営改善していないことが金融庁の調査で分かった。銀行が再建計画作りなどで継続的に支援をしている割合も半分弱にとどまる。』

企業の活動にはお金が必要です。
製造業が製品を生み出すための工場を作ったり、設備を更新したり、卸売業が商品販売のために在庫を増やしたり、小売業が店舗を新設したりするときには売上よりも投資などの支出が先行します。売上が上がるまでの間の資金は銀行から融資を受けることが多いのですが、これは企業経営のために必要な健全な資金です。
しかし、急激な事業環境の変化があった時に一時的に売上がストップしたりしてお金が入ってこなくなる時があります。その時には銀行は事情をよく審査した上で、当初の返済条件を変更して対応したりします。
これが国の政策として大々的に行われたのが、2009年12月の「中小企業金融円滑化法」です。
2009年のリーマンショックの時、「100年に一度」と言われるほどの景気の落ち込みがあったため、緊急措置として「中小企業から債務の返済猶予の申し込みがあった時、金融機関はできる限り応じなければならない」、とした法律です。
本来、融資条件の変更はあくまでも経営が再生することが前提です。しかし、現実には金融円滑化法施行から7年経った今も経営改善がなされていない会社が多く存在しています。
記事では、『地銀が返済猶予に応じている企業が2015年9月末時点で約10万9千社もあり、そのうち実に64%が、4年以上も経営状態が上向かないまま』であるとして、もっと銀行が経営改善に関与すべきである、という金融庁の見解を最後に伝えています。

■企業は生き延びようとするし地銀は放置する。そのツケは国民に。

確かに中小企業の経営改善指導は銀行が果たすべき重要な機能のひとつではあります。ただ、地銀がそこへ強い関与が出来ず、実質放置状態になる事情もよくわかります。
条件変更が続いている融資の多くは「保証協会付き融資」と言って国の保証が付いています。保証が付いているから銀行にとっては返済不能になったとしても損失にはなりません。それに保証協会融資は金額も小さいので元利の返済が再開したところで得られる利息収入は小さいし、そもそもそういう企業の経営再建はとても難しいわけです。
地方の中小企業の多くは弱っています。だからそこへ融資をしている地銀の経営も大変なのです。
企業の再建に尽力しない、と地銀を責めるよりも、冷たい言い方をするようですが、本来は国がそういう再生見込みの厳しい企業に対しては「廃業」を促すべきだと思います。
経営者は地域社会や従業員のために、どんなことがあっても最後まで生き延びようと頑張ります。ただそのために国民が経済的に負担を強いられることもあります。
例えば、競争力を失った企業が何とか売り上げを上げるために値引き販売をしたりすることがよくあります。値引きでは利益が出ないので経営再生にはつながりません。それどころか、市場の適正な価格形成のバランスを崩すことになるので健全な企業の経営まで悪化させ、ひいては地域経済そのものに打撃を与えます。
そういう状況への対応が遅れれば遅れるほど地域経済全体の損失は膨らんでいき、公的負担も大きくなります。保証協会融資などは公的資金である以上、経営再建には期限が必要で、期限までに再建が果たせなかった企業は、残念ではありますが市場から退出してもらうべきです。

■対応できないほどの社会環境の変化が今起きている

金融庁は地銀に対して「支援せよ」と言っていますが、実は内閣府では「廃業」を促しています。
内閣府が打ち出している「日本産業再興プラン」では、「開業率・廃業率10%台を目指す」としています。
日本の開業率と廃業率は、どちらも5%弱程度で、これは国際的にみてもかなり低い水準です。
開業率と廃業率を高めて「産業の新陳代謝」を進めることで、ヒト・モノ・カネの経営資源が必要なところに回るようになり、産業構造の転換が促進される、結果として日本経済の成長力を押し上げる効果が期待されています。起業などの開業だけでなく、市場からの退出(廃業)も同時に進めることが経済活動を活性化させるためには重要、ということです。
私も、廃業率を適度に高めることは必要だと思います。
こういうことを言うと「弱者切り捨て」とか「地方経済軽視」とか「格差拡大論者」とか言われるかもしれません。
ただ、企業がやっていけなくなる要因は様々で、決して不景気だけが原因ではありません。
例えば、地方の小売店や町工場の経営が厳しいのは景気が回復しないからだけではなく、「人口減少」、「少子高齢化」、「経済のグローバル化」、「IT化の進展」など様々な社会環境の変化の影響を強く受けています。
例えば、「グローバル化」。
今、簡単な仕事は海を越えます。そういう仕事はどんどん海外に移転し、国内から消えていきます。国内に残るのはより付加価値の高い仕事だけになっていきます。付加価値の高い仕事をしている企業や人のところにはより資本が集まるし、一方で海外に持っていかれるような仕事をしている企業や人からは仕事がなくなります。これは格差が生じる一因です。
「IT化」もそうですね。ITの進化によって多くの仕事が無くなりました。例えば、アマゾンなどのインターネット通販の影響を受けている地域の小売店舗は世界的にみても膨大です。
では、グローバル化やIT化は止められるのでしょうか?
これはもう良いとか悪いとかいう話ではありません。大きな川の流れのようなもので止めることが出来ません。この流れに逆らうことは不可能だし、競争から取り残されるだけです。
一方で、グローバル化したお陰で世界から貧困が減少しつつあるという事実があります。世界銀行のリポートによると、「1日1.9ドル未満で暮らす極度の貧困層は2013年時点で世界人口の1割強の7.7億人で、前年より1億人あまり減った。」(日本経済新聞より引用)そうです。
世界的にみると先進国と後進国の格差は縮小しています。
先進国の国内での格差の拡大は、世界の格差の縮小につながっているという側面もあるのです。

■国は廃業と再チャレンジにこそ手厚い支援を

時代の流れに取り残されないこと。これは中小企業だけではなく、大企業にとっても同じことです。
私たちは時代に合わせて、ビジネスモデルや技術分野でイノベーションを起こし、付加価値の高い仕事に集中していくしかありません。
100年に一度の経済危機に対して、金融円滑化法が与えた時間的猶予は「経営体質の改善のため」です。今までの事業が時代のニーズに合わない場合には思い切って業態転換や新商品開発、新規事業の立ち上げが必要です。ただ社会構造的変化の影響を受けて再生が難しくなっている企業は少なくありません。もし、そういう企業が新たに手を打つことをせずに支援を頼っているだけならば、もう公的資金を使ってまで延命させるべきではありません。国としては、そういう経営者やそこで働く従業員が少しでも痛みを伴うことなく事業を閉鎖することが出来、また新しいチャレンジが出来るような支援にこそお金をかけるべきだと思うのです。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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