明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『好調な住宅業界住宅業界が今考えるべき「その時」のこととは?』 ~マイホーム購入にとっては「今」、住宅会社は2~3年後の「その時」、どうするか?

»

こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

今回はマイホームについてです。
住消費者の皆さんにはチャンスですが、住宅会社にとっては別の懸念もありますね。

■住宅着工は好調

世の中、景気が良いのか悪いのかよくわからない状況ですが、住宅の着工は好調のようです。

<8月の住宅着工2.5%増 アパート好調で貸家は9.9%増>
(2016年9月30日付 日本経済新聞)
『国土交通省が30日発表した8月の新設住宅着工戸数は、前年同月比2.5%増の8万2242戸だった。
プラスは2カ月連続。相続税の課税強化を背景にアパート建設が好調で、
貸家は9.9%増の3万6784戸となった。br> 新設着工の年率換算値(季節調整済み)は前月比4.9%減の95万6千戸。』

住宅着工は、賃貸住宅が前年同月比で9.9%も増加していて、これで10か月連続の増加です。
持ち家も前年同期比4.3%の増加で、こちらも7か月連続の増加となっています。
住宅業界は現在「活況」であると言えるでしょうね。

■価格上昇でも住宅が買いやすくなっているのはなぜ?

ご存知の通り日本はすでに人口が減り始めています。
そして実は、住宅価格は上がってきています。
これは住宅の断熱や耐震などの性能向上にともなう部材価格の上昇や、工事をする職人さんの労務費などが上がっているからです。
一方で購入サイドの住宅購入世代の所得が劇的に増えているわけでもない中、マイホームは買いにくくなっていても不思議ではありませんよね。

それなのに、なぜ新築の住宅着工は増えているのでしょう?

ニッセイ基礎研究所のレポートによると、
2008年と2015年の東京のマンションの平均価格を比較すると、
5,993万円→6,779万円と786万円も上昇しています。
しかし、住宅ローンを含めた住宅購入のための支払い総額は、
8,920万円→8,450万円と逆に469万円も少なくなっています。

これは住宅ローンの金利が低くなったからですね。
住宅ローン利息額の平均は2008年が2,927万円だったのに対して、2015年は1,671万円と大幅に減っています。
金利差を計算するとおよそ1%以上も下がっていることになります。

これはつまり、2015年の人の方が2008年にマイホームを購入した人よりも、「より良い家」を「より安く買えている」と言えます。
この金利低下は今マイホーム需要を押し上げている要因のひとつであることは間違いないと思います。

■低金利+ローン減税で家計はプラスに

実際、住宅ローン金利は今とてつもなく低くなっています。
昨日、2016年10月の適用金利の発表が相次ぎましたが、今月も引き続き低いようです。

<住宅ローン、大手行動かず 10月は金利据え置き>
(2016年10月1日付 日本経済新聞)
『メガバンクなど主要5行は30日までに、10月適用分の住宅ローン金利の据え置きを決定した。
日銀が長期金利を0%程度に誘導する目標を決めたが、足元ではなお低水準にあり、変更の必要はないと判断した。
固定型10年の最優遇金利は、みずほ銀行が年0.70%、りそな銀行が0.75%、三井住友銀行が0.80%といずれも9月と同水準。
三井住友信託銀行は0.45%、三菱東京UFJ銀行は0.60%で、大手行はマイナス金利導入後の低水準を維持する。』

10年固定の金利が0.45%って凄すぎですね。全期間固定のフラット35でも1%を下回っているものがあります。

「マイナス金利」という言葉が広まっています。
マイナス金利ということは、「預金をしたらお金が減って、借金をしたらお金が増えるの?」という話ですが、さすがにそんなことはありません。
ただし、「住宅ローン」においては、一定の期間、実質的にマイナス金利状態になる人がいます。
これは以前も書きましたが、「住宅ローン減税」のことです。
住宅ローン減税は当初10年間、住宅ローン残高の1%を上限として支払っている税金が戻ってきます。

例えば、年収600万円の人が、3,500万円の住宅ローンを30年借りたとします。
そして当初10年間の平均利金利が0.9%だったとしましょう。
そうしますと、当初10年間のローン利息の支払い総額は、約268万円で、住宅ローン控除で戻ってくる還付金は、約292万円です。差し引き24万円のプラスですね。
今は、「ローンを借りた方が、家計が潤う」というケースもあるのです。
これはちょっと異常な状態だと思いますけどね。

■マイホーム購入にとっては「今」、住宅会社は2~3年後の「その時」、どうするか?

このように、マイホーム購入を検討している人にとっては、「今でしょ!」感がすごくあります(ちょっと古いですが)。
そして住宅業界もこの好況の恩恵を受けているわけです。
しかしこの先のことを考えると...住宅業界に身を置く者としてはちょっと恐ろしくもありますね。
「今が良い」ということは状況が変わったらお客様がいなくなる可能性があるわけです。
しかもその動きは意外と一気にやってくるのではないかと思っています。

ここからは私の勝手な思い込みです。
私は今、実は景気はそこそこ良いと感じています。
日銀は消費者物価指数が安定的に2%のインフレになることを目指しています。
その物価がなかなかプラスにならないことで消費は回復していない、つまり景気は良くなっていない、と言われています。
しかし世間を見ると結構みんな消費行動そのものは以前と変わらずしているように感じます。
世間は賑やかだし、新幹線も飛行機も混んでいるし、ホテルは満室です。失業者もほぼいません。
もし消費機会は増えているのに、消費総額が増えていないとすると、それはつまり単価が下がり続けているということになります。
これはその通りで、モノやサービスの単価は下がり続けています。
その要因は様々ですが、ひとつは、ネット取引の普及と物流の合理化でダイレクト取引が増えて、中間コストが削減されていること。
衣料品や家電製品などが顕著な例ですね。これは社会構造が効率的に転換しているわけです。
その効率化の犠牲になる業者もいるでしょうが、総じて決して悪いことではありません。
もうひとつは、よく言われているように原油価格が下がっていることと円安傾向にあったこと。
こちらはもしかしたらもう間もなく終わるかもしれません。
すでに、1ドル100円前後の円高傾向になっていますし、原油についても先日OPECで生産調整の合意がなされました。
これから原油は緩やかに価格が戻っていくかもしれません。
そうなると、日銀と安倍政権念願の物価が上がってくるかもしれません。
物価が上がってくると、今の異常な金融緩和も出口を模索しながら緩やかに終息に向かうことになるでしょう。
金利の上昇のタイミングですね。
そして2019年10月には消費増税の時期が来ます。
さらに2020年には東京オリンピックと住宅の省エネ性能義務化です。

今は、実は景気はまあまあ良いところに異常なまでの低金利が続いているから住宅業界は好調なわけですが、
これから2~3年の間に、金利上昇、増税、労務費と部材価格の上昇といったマイホーム購入においては逆風となるような状況が立て続けにやってくる可能性もあるわけです。

こうなると、現在のように誰もがマイホームを買えなくなります。
「その時」、住宅メーカーや工務店、不動産会社はどうすればよいのでしょうか?

そこには色々な可能性と方向性があるはずです。
「その時」に向けた住宅業界各社の戦略的な取り組みはよく見ておきたいと思います。

今回は以上です。
次回もお楽しみに。

-------------------------
今回の記事はいかがでしたか?
「ハッピーリッチ・アカデミー」の「カワセ君のコラム」 では、過去のバックナンバーをご覧頂けます。
また、ハッピーリッチ・アカデミー会員に登録して頂くと隔週でメールマガジンにてお届けします。
Comment(0)

コメント

コメントを投稿する