明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『路線価8年ぶりの上昇 資産デフレは終息へ』 ~さて日本経済はどうなる?あと英EU離脱の影響は?~

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

今回は不動産の値上がりについてです。

■路線価、8年ぶりに上昇

先日、2016年分の路線価が発表されました。
都市部を中心として上昇していますが、全国平均でもリーマンショック以来8年ぶりにプラスになったようです。

<路線価 8年ぶりプラス 全国0.2%、都市・地方で二極化 16年分>
(平成28年7月1日付 日本経済新聞)
『国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2016年分の路線価を発表した。
約32万8千地点の標準宅地の評価額は、全国平均で前年比0.2%のプラスとなり、リーマンショック前の08年以来、8年ぶりに上昇に転じた。
東京、大阪、愛知など14都道府県(前年は10都府県)で上昇した。』

都市部の地価上昇はもう数年前から始まっています。大阪では3年連続、愛知では4年連続の上昇です。
他にも京都や金沢、福岡なども上がっています。
東京都心部ではオフィス需要が強く、ビルの空室率はかなり低下しています。
それに伴い賃料も上がってきています。
都市部では地価上昇は住宅地にも広がっています。
一方で、下落したのは33県。下落率は縮小しているものの、大都市圏と地方との二極化は続いているようです。


■土地デフレは終息、バブルには要注意

8年前のリーマンショック以降、ずっと続いてきた土地デフレがいよいよ終息したと言えそうです。
要因としては、訪日客の増加と不動産市場への資金流入があげられています。
過去最高を更新し続けている訪日客の増加で、東京や大阪の商業地ではブランド店などの出店が相次いでいます。
また全国的にホテル需要もひっ迫しており、新たなホテル用地の取得の動きは全国に広がっています。

そこに行き場を失っている低金利の資金が大量に入り込んでいます。
日銀によりますと、2015年の銀行の不動産向け新規融資は10兆6730億円(前年比6.1%増)。
これはバブル期だった1989年(10兆4400億円)を超えて過去最高です。
不動産向け新規融資は3年前に日銀が量的金融緩和に踏み切った後、約3割増加しています。
不動産向けの融資残高は15年末で65兆7102億円。国内金融機関の融資の14%を占めています。この水準も過去最高です。

個人向けでも住宅ローンを中心に融資残高は増加しています。2015年末の住宅ローン残高は117兆6760億円と過去最高を更新しています。
今や、メガバンクまでが住宅ローンの金利引き下げ競争に入ってきており、今後ますます住宅ローンは増加していきそうです。

そうなりますと、心配になるのが不動産バブルですね。
実は、2015年の後半には首都圏のマンションは価格の割高感からすでにピークアウトしたと言われていました。
それが今年に入って、日銀がマイナス金利政策を打ち出したことでREIT(不動産投資信託)の価格が急上昇するなど不動産市場が再び活性化しました。
今も質的・量的金融緩和が続く中、金融機関は運用しなければならない資金を大量に持て余しています。
この緩和マネーが不動産市場に流れ込んでいるわけですが、今後さらに地価の上昇期待が高まっていくと、取引価格が実態価格とかい離していく、いわゆる「バブルな状態」になるかもしれません。
すでに東京のオフィスや商業用地、そしてマンション投資などには物件の品薄感が漂っています。
外国人や富裕層による節税や投資目的の購入がマンション価格を押し上げています(利回りは低下)。

今のところはまだ価格が急騰するほどの過熱感はありませんが、マイナス金利の状態が続くといつどうなるかはわかりませんね。

不動産バブルが怖いのは崩壊後の急激な資産デフレ(値下がり)です。
1990年以降のバブル崩壊のきっかけとなったのは前年の1989年に出された不動産融資への総量規制です。
不動産向けの新規融資を制限したことで一気に不動産価格が値下がりしました。
バブルの崩壊は国民の財産を棄損させました。
金融機関はバブル後の不良債権処理に多大な時間を費やし、長きにわたって金融システムを正常な状態に回復させることが出来ませんでした。

今も続く日銀のマイナス金利政策は住宅投資などを後押ししています。不動産価格は上昇への期待感が高まると上方へ振れやすいだけに注意が必要だと思います。


■不動産は実需の支えがあってこそ

今はまだ資産デフレから資産インフレに転じたところです。地価が上がったといっても全国平均ではまだ0.2%ほどの上昇にすぎません。
都市部では上昇していますが、需要の少ない地域では下がっています。
今回の資産インフレがいいのは、実需に基づいた投資が中心であることです。
訪日客増加による商業地のスクラップ・アンド・ビルドや宿泊施設の新設は盛り上がっている需要に対応した投資です。
REITもその性格上、値上がり期待ではなく、期待収益率に基づいて投資が行われるので市場利回りからかい離してどこまでも値上がりし続けることはありません。

不動産は実需の支えがあってこそ、です。
この基本がぶれなければ、不動産価格の適度なインフレは景気を刺激しますので歓迎できます。
都市部ではもっと商業地やビジネス環境を整備して、国内だけでなく海外からの投資を呼び込んでいくチャンスに変えていきたいところです。


■英EU離脱問題が与える影響は?

路線価は、1月1日時点のものが半年遅れて発表される「遅行指数」です。
今年の1月からの半年間で世界経済は激動しています。
中国市場の混乱もありましたし、最近でも英国のEU離脱で金融市場は混乱しました。
今後の日本の不動産マーケットが順調に拡大していくかどうかは不透明な状況にあります。
金融市場の混乱で資産を減らした投資家が売却に走るなどの調整が入る可能性はあるでしょう。

ただ、今回のEU問題がリーマンショックの時のような状況にまで至るかというと、個人的にはそういう事態にはならないと思います。
今回がリーマンショックの時と違うのは世界の金融システムが正常に機能していることです。
リーマンショックの時には世界中に大量のサブプライムの不良資産を抱え込んだ金融機関がいて、金融システムが実質的にマヒしてしまいました。
今回はその反省から各国が即座に流動性の確保に動いています。
先行きの不透明さが不安感を高めてはいますが、深刻な金融パニックになるようなことはないと思います。

日本への影響は、今のところ円高とそれに伴う株安が重たくのしかかっています。
ただ、この円高も構造的なデフレによるものではなく、一時的な外的要因です。
日本経済が踏ん張ってインフレ期待を維持することが条件ですが、いずれ円高はもう少し和らいでいくはずだと思います。

しかし、これで明らかになったのは「低金利はまだ相当期間続くだろう」ということです。
今マイナス金利なのは日本とユーロ圏ですが、ユーロは当分金融緩和が続くと思います。

<超低金利 英離脱で新次元に 米国版編集長 ジリアン・テット氏>
(2016年7月3日付 フィナンシャルタイムズ 日本経済新聞版)
『将来の歴史家が、英国のEU離脱決定が世界に与えた衝撃について振り返ったとき、この金利見通しの変化を最も深刻な波及効果の一つだったと位置付けるかもしれない。
6月29日、英米系格付け会社フィッチ・レーティングスは、世界市場には現在、名目金利がマイナスの国債が11兆7000億ドル(約1200兆円)分あると試算した。(中略)
このマイナス金利の国債の大半は、日本とユーロ圏に存在している。だが、英米の金利上昇期待はほぼ後退している。
例えば、米国債市場は現在、今後10年間でわずか1.25%の利上げしか見込んでおらず、今後2年間はほとんど利上げがないと見ている。
実際、米国最大級の規模を誇るヘッジファンドは今、顧客に「市場全体が、先進国全域で10年間にわたり金融引き締めが事実上ないことを織り込みつつある」と注意を喚起している。』


さて、低金利が10年は続くというこの予測は当たるのでしょうか。
そして、だからといって、低金利→不動産投機→バブル、とならないように注意はしましょう。
今回は以上です。
次回もお楽しみに。

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