明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『日銀が実施したマイナス金利の狙いと影響とは?』 ~私たちの生活ですでにマイナス金利になっているものとは?~

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

今回は今話題の「マイナス金利」についてです。

私たちの生活にも影響はあるのでしょうか?

■日銀が実施した「マイナス金利」の狙いとは?

先週末に金融市場では大きなニュースがありましたね。

そう、「マイナス金利」です。

<日銀、マイナス金利導入を決定 異次元緩和に転換点>

(2016年1月29日付 日本経済新聞)

『日銀は29日開いた金融政策決定会合で、マイナス金利政策の導入を5対4の賛成多数で決めた。原油価格の下落や中国経済への不安で世界経済の先行き懸念が強まり、国内の景気や物価に悪影響が及ぶリスクが高まったためだ。銀行が日銀に預けるお金(当座預金)の一部に2月からマイナス0.1%の金利を適用する。2013年4月に導入した量的・質的金融緩和(異次元緩和)は大きな転換点を迎えた。』

「マイナス金利」ってなじみがないですよね。

普通は当然「プラス金利」です。預金をすれば金利相当分の利息がもらえます。借入をすれば金利相当分の利息を支払います。

「マイナス金利」の場合、預金をすると逆にお金を支払わないといけません。借入をするとお金がもらえます。変な感じですね。

このニュースを聞いて、「これでは預金しているお金が減ってしまう」と慌てたお年寄りがいたとかいう話がありましたが、今回のマイナス金利で直ちに預金が減ったり、ローン利息がなくなったりすることはありません。今回のマイナス金利は中央銀行である日本銀行に民間銀行が置いている当座預金に対して適用されます。民間銀行はすぐに使わないお金を日銀に預けてありますが、これまではその当座預金に0.1%の「プラス金利」が付いていました。これからは新たに積み増した分に対して0.1%の「マイナス金利」を付けることになります。

狙いは、銀行はお金を遊ばしておくのではなく、もっと民間企業への融資や住宅ローンや有価証券の購入に振り向けて、世の中にお金を回して経済を活性化させましょう、ということですね。

■マイナス金利、さてその影響は?

半年ほど前にも金融緩和とマイナス金利について書きました。少し引用します。

「ハッピーリッチ・アカデミー 第227号 『さらなる金融緩和は有効か?』~銀行貸出にみる今のお金の回り方とは?~」 (2015年9月29日)

http://www.happyrich.jp/columns/227.html

『日銀当座預金の残高は、金融緩和が本格化して2015年8月末にはなんと231兆円もの残高になっています。前年同月比で52%もの増加です。民間銀行が日銀に置いておかないといけない「法定準備預金」というのがありますが、その金額は民間銀行合計で大体8.7兆円くらいです。

8.7兆円を超える額(約222兆円くらいですか)は、世の中に出してもらいたいのに出て行っていないお金ということになります。この1年だけでも日銀の供給マネーが52%、およそ80兆円も増えているのに、民間銀行貸出は2.8%、およそ14兆円しか増えていません。全然足りていませんね。

(中略)

EUは「マイナス金利」です。ECB(欧州中央銀行)は、余っているECB当座預金残高に対し「金利を徴収する」という政策を採っています。これだと銀行はお金を使わざるを得ない方向に向かうでしょう。

しかし、日本の日銀当座預金には0.1%のプラス金利が付いています。2008年までは日銀当座預金は金利ゼロだったのですが、金融緩和をするにあたり、銀行が国債を買い入れて日銀に売りやすくするために金利を付けた、という事情があります。これだと、EUとは違って「余っているお金を貸出に使わないと」という強烈なモチベーションはかからないですよね。』

...と、このように書きました。

日本経済はなかなかデフレから完全に脱却することが出来ません。年初からは中国の人民元安や原油安などでリスクを嫌うマネーが円に向かい円高が進んでしまいました。本来なら、米国はすでに利上げに向かっているのですから円安ドル高になるはずだったのに...。お蔭で企業業績の先行きも不透明になってしまい株価も下がりました。これが今回の日銀のマイナス金利の導入でまた円安の流れに戻りました。それに応じて株価も戻ってくると思います。

ただ、民間銀行の収益が圧迫されるのではないかという懸念があって、事実金融機関の株価は下落しました。現実にはマイナス金利はこれまでの日銀当座預金すべてにではなくて、これから積み増される部分に対して段階的に少しずつ適用していくようですから、すぐに銀行経営に悪影響が出るわけでもなさそうです。

だから実は今回の「マイナス金利導入」はそれほど実体経済に強い影響を与えるわけではないのです。ただアナウンス効果は絶大でしたね。日銀の「デフレ脱却まで金融緩和はやめない」という強い意志が感じられました。なにより「マイナス金利」という日本金融史上初めてのワードが強烈でしたね。

■大事なのは民間資金需要が回復するかどうか

それでも結局、民間銀行がお金を回す行動に出ないと事態は変わらないわけです。今、銀行は「貸したくでも貸すところがない」という状況です。企業はまだまだ積極的な事業拡大には慎重で、雇用も賃上げも設備投資も在庫積み増しも、恐る恐るやっています。

今回の「マイナス金利」は、近いうちに預金金利や貸出金利の低下につながってくると思います。そうなったときに、消費や投資が増えて、預金が減ったり、貸出が増えたりするかどうか、具体的には、日銀当座預金残高がこれ以上積み上がっていかないかどうかと、民間金融機関の貸出残高が増えるかどうか。こうなってはじめて今回のマイナス金利がうまく機能したかどうかということが評価されるでしょう。

■住宅ローンはすでにマイナス金利?

ところで...、実は、住宅ローンはすでにちょっと前から実質的にほぼマイナス金利になっているのはご存知でしたか?

...というと驚かれるかもしれませんね。正確に言うと、「借りる人の収入条件次第で、当初10年間だけ」ですけれども、住宅ローンで支払う利息よりも多くのお金が家計に戻ってくる場合があります。

はい、それは「住宅ローン控除」とか「すまい給付金」といった住宅購入支援の仕組みがあるからですね。

今、ローン金利は大変な低金利です。変動金利ではネット系金融機関では0.5~0.8%くらい。10年固定金利でも1%前後ですから当初10年間の平均金利が1%を切っても不思議ではありません。

そして、住宅ローン減税は当初10年間、住宅ローン残高の1%を上限として支払っている税金が戻ってきます。

計算してみましょう。

例えば、年収600万円の人が、3,500万円の住宅ローンを30年借りたとします。そして当初10年間の平均利金利が0.9%だったとしましょう。

そうしますと、当初10年間のローン利息の支払い総額は、約268万円です。

そして住宅ローン控除で戻ってくる還付金は、約292万円です。

差し引き24万円のプラスですね。

これは住宅ローン控除が適用される当初10年間だけですし、還付額(支払っている所得税・地方税の戻り)は収入額によっても変わります。また変動金利は文字通り変動します。あくまで条件次第ですので「今、すべての住宅ローンはマイナス金利」というわけではありません。でもそれくらい異次元な低金利であることは間違いありません。

今回のマイナス金利の影響もあって、昨日(平成28年2月1日)、長期金利の代表的な指標である新発10年物国債金利が史上最低の0.05%をつけました。恐らく、近々に住宅ローン金利もさらに下がって過去最低水準を更新すると思います。

「ローンは銀行に支払う利息がもったいないから嫌だ」という人は少なくありません。でも今なら利息負担が限りなくゼロに近いくらい低いのです。

金利動向は住宅購入を検討されている方にとっては気になる情報ですよね。要注視です!

今回は以上です。

次回もお楽しみに!

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