明るく前向きに自分の財産を築いていこうと頑張るみなさんに、知らないと損する豆知識や社会情勢の変化の個人の生活への影響などを、ファイナンシャルプランニングの視点から発信したいと考えています。住宅・不動産の相談実例を踏まえたテーマの他、政治・経済の時事も興味をもったテーマを取り上げてみたいと思います。

『納付率60% 国民年金はそれほど魅力がないのか?』 ~マネープランはまず公的年金制度への理解から~

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

今回は「国民年金」についてです。

お勤めの皆さんは厚生年金加入者ですが、決して無関係ではありませんよ。

■若い人たちの国民年金の納付率は2~3割

国民年金については3年前にもここで書きました。

(第123号 『国民年金、未納率40.7%!~国民年金って払わなくてもいいの?~』2011年8月16日) 

未納率が40%を超えて過去最悪になったという時ですね。

 

最近はその時よりは良くなってはいるようです。

↓↓↓

<国民年金納付率、4年ぶり60%台 加入者1805万人 ~13年度、景気持ち直し・督促強化で~ >

(2014年6月23日付 日本経済新聞)

『厚生労働省は23日、2013年度の国民年金保険料の納付率が60.9%と前年度より1.9ポイント改善したと発表した。上昇は2年連続で4年ぶりに60%台を回復した。雇用や所得が持ち直しているほか、未納者への督促も強化したため。ただ水準はなお低く、将来に年金を十分もらえない人が増えれば、生活保護の支給増など国民負担につながる可能性がある。』

 

最近の景気回復と未納者への督促を強化した効果があったようですが...、

それでもまだ40%近くが未納です。

 

ちなみに、この納付率60%には納付免除や猶予の申請をした未納者は計算上の分母から外されています。分母を小さくすれば納付率は上がりますよね。

本来払うべきである保険料納付の免除や猶予の対象者を分母から外さずに計算した「実質的な納付率」も公表されていますが、それでみると納付率は全国平均で約40%になります。

この「実質的な納付率」でみると特に低いのは若者で、20~24歳が21.4%、25~29歳:31.7%です。

若い人たちには「月額約1万5000円の保険料を納める余裕がない非正規労働者が多いほか、年金制度に不信感を持つ人が多いため」(日本経済新聞同記事)とみられています。とは言うもののいくらなんでも納付率が2~3割というのはちょっとどうなのかと思います。

 

■国民年金の魅力度はどれくらい?

「年金制度に不信感を持つ人が多い」というのは何となくわかる気はします。

 

「自分たちが貰う時には年金制度は崩壊している」

「払った額ほどもらえない」

 

こんな話がよく巷に出回っているからですね。

でも、「国民年金」は日本が国として存在する限りなくならないし、支払った額ほどもらえないなんていうことは、今もこれからも「ない」と思います。

 

なぜなら、国民年金は国民の自発的納付を前提にしている制度だからです。もし、本当に国民年金が明らかに損するということになったら誰も払わなくなります。だから受け取り倍率を落とすことができないのです。

 

国民年金は、所得にかかわらず60歳まで定額を積み立てて、65歳から定額の年金を受け取るというシンプルな仕組みなので簡単に計算ができます。

ざっと計算してみましょう。

 

国民保険料は今、月額15,250円。年間約18万円程度の負担になります。

20歳から60歳まで、40年間支払うと総支払額はおよそ720万円。

65歳から受け取りが始まりますが、満額で年間772,800円もらえます。

ですので、受け取りから10年くらい、75歳くらいまでに支払った額程度はもらうことができます。

その先は亡くなるまで、終身でもらうことができます。

平均寿命(男性80.2歳、女性86.6歳)で計算すると受け取る総額は、

男性で、1,236万円(16年間) 掛け金の1.7倍

女性で、1,700万円(22年間) 掛け金の2.3倍

になります。(以上条件は平成26年時点)

 

利回りに換算すると、1.5~2%程度にもなりますから、金融商品としてもまずまずです。

さらに、支払う年金保険料は全額所得控除です。

当然ながら、自分の貯蓄には所得控除はありませんね。課税された所得の中から貯蓄をしています。生命保険でも控除額は年間最大4万円までです。

もし途中で、万が一のことがあった時には遺族年金もあるし、障害年金もついています。

 

国民年金加入は義務ではありますが、普通の金融商品や保険商品としてみてもかなり良いと思いますけどね。

 

■「国民年金を補う厚生年金」の構図

この先、掛け金や受給額などが変わるかもしれないと心配される方もいるかもしれませんが、それでも損をするようなレベルにはならないと思います。

 

「制度がもたないかも」とか「払った額ほどもらえないかも」などと心配されているのは、それは「国民年金」のことではなく、「厚生年金」のことだと思います。

 

日本の公的年金制度は、自営業者などが加入する国民年金とサラリーマンが加入する厚生年金(公務員の共済年金も含む)がありますね。

少子高齢化で年金財政そのものの収支が厳しくなっていく中、国民年金を損しない制度として維持するためのツケを厚生年金が埋めている構図になっています。

 

そんなことができるのも厚生年金が給与天引きという強制納付だからです。自発的納付の国民年金が納付率60%なのに対して、厚生年金は納付率98%です。

 

給与天引きなので意識していない方もいらっしゃるのではないかと思いますが、厚生年金保険料は年々上がっています。

平成16年の13.934%から毎年0.354%ずつ上げていって、平成29年には18.30%にすることが決まっています。(現在は17.120%)。16年間で4.366%も上がるわけです。

 

厚生年金は会社が半分負担してくれているので、自分が支払った分よりはプラスになる、という説明がよくありますが、会社が負担している分だって自分たちが稼いだ額だと考えると・・・微妙ですね。

 

■制度への理解を深め、国民年金は払いましょう

国民年金は払った人だけが受け取れる制度ですから、払っていない人は老後に無年金になります。年金がなくても老後生活ができるならまだいいでしょうが、もし生活が苦しくなった時に生活保護を受ける、というのはすっきりしませんね。行政としては、もっと国民年金の制度理解を進めて、しっかり徴収をしてもらいたいと思います。

「督促を強化」といっていますがその徴収業務にも税金がかかっていますからね。

みんなが自発的に払うのが一番いいのです(義務なんですけどね)。

 

4月に消費税を上げて以降、消費が落ちました。その気分はよくわかります。

でも本筋的なことを言えば、消費税は高齢世代への社会保障や年金制度の安定のために使われるわけですから、私たちの老後への不安は軽減されるわけです。本来なら安心して今必要なことにお金を使えるようになるはずです。

そうならないのは、根強く将来不安があるからですよね。

年金制度への不信と、加えて理解不足もあるからですよね。

行政側はわかりやすく、理解促進をするべきですし、私たちも私たちの負担がどれだけの安心につながっているのかをできるだけ正しく認識するべきですね。

 

今回は以上です。

もっと日本がよくなりますように。

 

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Comment(3)

コメント

みとみと

きっと今の若者で年金を払っていない世代は、生活保護で受ける苦悩を知らないと思います。また、年金をもらえなくても生活保護がもらえるなら実質生活できるのと同義ととらえていると思いますので、そのあたりを詳しく講義いただいて若者に知らしめてもらえないでしょうか。損得勘定で物を考える世の中になっていますから、そういうことだと思います。モラルも低下していますので、もっと現実的に困ることが分からないと また年金の納付率は下がる一方だと思います。

怒る人

また若者をだまそうとするのですね。
厚労省や政府からお金をいくらもらったのかといいたいです。

問題とされるべきは今の高齢者との格差のはずですが
それを気にしないで相互扶助を主題にしてごり押ししようとするから
若者はますます白けていくのがわからないようですね。
朝日にも日経にもそのような無理やり論理で若者に負担を押し付けようという方々がいるのは理解しますが(政府に媚を売らないと税免除や優遇されませんしね)
それで今や未来の若者に苦難を押し付けるのは明らかに公正を排していませんか?
保険制度と違い解約できない、強制加入、貰えるときの保障が行われない(ここらへんを国が消滅しない限りといいますが国が消えないというのは弁護として究極のものであってあまりにも幼稚です)
貰えた時の額も政府や官僚によって決まってしまう、そんな制度が信用されるわけがないでしょう。
若者の無知に原因を求めるのではなく、確実な契約を行わないという現代社会の基本原則の欠如に問題を求めるべきです。

tanuki

「国民年金は国民の自発的納付を前提にしている制度だからです。もし、本当に国民年金が明らかに損するということになったら誰も払わなくなります」とあるが、この論理に従うのなら年金支払率が実際に低いのは何らかの「損」が見込まれてる証左になるのではないだろうか。現実の状況を理解不足だけで説明するのは筋が通らないだろう。あるいは、「自発的納付」を前提としながら、支払い率アップの理由に「催促の強化」を挙げているのも、論理としておかしいと思う。つまり、催促強化して上がってるのなら、「損」も何もなく義務として支払われているだけであって、前段の「誰も支払わなくなります」という論理と繋がらない。

 若い内は60・70代になったときのための投資(正確に現在の高齢者世代を中心とした社会保障制度維持するためとしても)より、20代の頃なら単純に30代になったときの自分のための投資だの、今いい仕事にありつくための投資だの、他の投資すべき宛先が多く考えられると思う。例えば毎月1万5千円あれば語学教室にでもなんでも通える。
 
 筆者の論理にあらためて従うのならば、支払いに対する「自発性」の低下(催促されなきゃ払わない)は、年金を支払うことがなんらかの損になりうる状況が存在する可能性を示唆している。若年世代の状況に合わせた柔軟な年金支払の方法なり、社会保障システムをこそ整えるべきではないだろうか。単純に支払期限を2ヶ月から納付書の利用期限の2年とか、それ以降に伸ばすだけでも率は変わるだろうし。

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