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中高生に起業の刺激を 「女子高生社長、経営を学ぶ」椎木里佳・椎木隆太著

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昨日のNHK『金曜eye「若輩者ではございますが...~アラウンド20歳のリアル~」』をみてると、「とちぎアントレプレナー・コンテスト」で二年余り前の高校一年生のとき優勝して起業した小堀詩(うた)さんが報じられていた。
参考記事「高校生缶詰会社を起業/「家庭の味」詰め提供目指す/宇都宮北高3年/小堀詩さん(宇都宮市)」読売新聞

今は大学一年生で、勉学の傍ら、スタートアップに取組んでいる詩さんだが、起業するには苦闘と葛藤があったそうだ。それをコンテストの主催者の会社経営者がメンターとなり、乗り越えていった。ただの思いつきでなく、コレだというパッションとサポートがあったから、1年もの商品開発を経てスタートアップしたのだ。逆に言えば、きっかけとサポートがあれば、活躍できる卵はゴロゴロ転がっているのではなかろうか?

もちろん、高校生起業の成功率は高くないだろう。高校生でなくても起業は大多数が上手くいかないものだ。しかし、若くして起業を経験した人材は世の財産となる。若きチャレンジを尊ぼうではないか。

中学生の心の中をのぞいてみると72%の生徒が「何もやる気が起こらない」と感じているといういま、コレがやりたいという学生、自立した人生を進もうとする若者をもっと育もうではないか。

先日、椎木里佳さんの本をいただいたが、この本もそういうきっかけになればよいと思う。今まで、中高生に起業家精神を説く本は無かった。しかし、起業家精神は、教育の視点からは、小中高生から刺激し・育むのが理想的だ。大学生でも意義はあるがもっと早い方がよい。

また、お父さんとの共著だが、起業で壁となるのが親だ。本書は、親の起業についての理解を促す意義もある。もちろん起業家教育志向のある親御さんにも良いだろう。

アマゾンの書評などでは、低評価が目立つが、それは本書のターゲット以外の方の感想かもしれない。ビジネスの戦略的な基本は、ターゲット顧客を設定し、その顧客への価値提供に集中することだ。よって、それ以外の方に刺さらなくても仕方ない。もちろん言論は自由だが、的外れ。なお、起業は周囲の反対や無理解と戦わねばならず、それと同様な環境だとみることもできよう。

たくさん売れているようだが、アマゾンの中古では1,000円からの出品と値崩れしていないので、買ってすぐ売られることにはまだなっていないだろう。

大先輩起業家のお父さんが、駆け出し起業家の娘に、チャレンジやチャンスなど色々と話しをするスタイルも、ベテランにとってはまどろっこしいかもしれないが、本書をわかりやすくしている。

社会的に意義ある一冊だと言えよう。こういう本も欲しかった。連休でおひまならどうぞ。
amazon → 「女子高生社長、経営を学ぶ」椎木 里佳、 椎木 隆太 著 ¥ 1,404

なお、子供と起業家精神については次のような本がある。本書ほどとっつきやすいスタイルではないが、ご参考。

子どもを伸ばす5つの遊び―小学生からの「起業家教育」のすすめ」 大江 建(中古のみ)

「起業家教育」で子供が変わる!―「ビジネスの楽しさ」を教え、独創性と行動力を育てる」 大江 建(中古のみ)

未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの」 トニー ワグナー ¥ 2,052

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