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身の回りに後継機症候群はありませんか?

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 「後継機症候群」という言葉が、メーカーと話をしていると頻繁に聞かれるようになってきた。メーカーというのはデジタルカメラであったり、パソコンであったり、携帯電話であったり、色々な機器のメーカー。
 一度、ビジネス的に成功してラインナップを完成させると、その後継機種、そのまた後継機種と、成功パターンを踏襲して同じ価格帯に同じテイストの機種が繰り返し投入される。もちろん、これは常套手段だし、うまく行くケースの方が多いけれど、あまり長い間、このパターンを続けていると、メーカー側が気付かないうちにユーザー意識の変化を見逃してしまう場合がある。
 ユーザー意識とラインナップのズレが起き始めても、スグに売れなくなるというものでもない。ハードウェアにしろ、ソフトウェアにしろ、企画段階から製品発売までにはある程度の時間が必要だから、気付いた時には泥沼……とまでは言わないものの、方向転換が難しくなっている事はよくあるものだ。
 こうした事を指して、一部の人と「後継機症候群」なんて以前から話していたのだけど、ググってみても出てこないので、あまり一般的な言葉ではないようです。が、どんな業種、メーカーでも、なりえる病ではなないでしょうか。

 後継機症候群は(ダジャレというわけじゃありませんが)たいていの場合、好景気な時期に感染し、長い潜伏期間を経て景気後退期に発症することが多いと思います。好景気な中、成功事例があると製品やサービスをアップデートする際には、その成功事例を引き継ぐ義務を負うからです。どうでしょう?後継機症候群にかかってるかも?と思う製品やサービスは身の回りにないでしょうか?

 後継機症候群を避ける手段は、各メーカーとも自然と身につけていたりするのでっすが、それらの対策がいまひとつ上手に機能しない場合もあります。もっとも良いのは、製品やサービスの企画・開発現場から一歩引いた立場にいる、しかしその業界に詳しい人と自社の製品やサービスについて定期的に議論することです。

 意外と思うかもしれませんが、意外に製品やサービスの開発を行っている現場の人たちは、ライバル他社の製品や関連デバイスの技術動向、それに自分たちの開発ペースとライバルの開発ペースがどのような関係にあるのか、といった客観的な視点を失っていることが多くて驚きます。だからこそ、働くはずの自浄作用がうまく機能しない場合があるのでしょう。

 テクノロジ記号の地方の開発拠点で講演やコンサルティングなどの仕事で行くと、各拠点のトップの人たちと議論しながら日本もまだまだ捨てたものではない、素晴らしいと思うことがしばしばなのですが、特に大きな会社の地方開発拠点となると、ちょっとズレていることがままあります。決して技術者のレベルが低いわけではないのですが。

 このあたりの感じた事は、また別の機会に書くことにします。

本田雅一

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