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Another Story of Xbox360

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 前回の掲載は8月ですから、ずいぶん長い間、ブログをホッタラカシにしていたものです。そろそろブログ担当者に入口を提供するだけ無駄といわれそうなのと、やっと年末進行の第一波が落ち着きそうなので、久々に簡単なエントリーを上げようと思います。


 インプレスのPC Watchに連載されているAnother Story of PS3というシリーズ記事に、たくさんの感想をいただきました。ほとんどの人には返事を書いたのですが、読者向けメールアドレスはスパムが非常に多いため、もしかすると見逃していることもあるかもしれません。この場でお礼させていただきます。


 さまざまな用途に使えるよう、汎用コンピュータであることを考慮しながら作られたと思われるPS3ですが、しかしPS3というコンピュータの所属は、世間一般的にはやはりゲーム機という位置づけです。こうした分類というのは、最終的にはメーカーが決められるものではなく(誘導はできるでしょうが)、エンドユーザーです。そうした意味において、PS3がゲームコンソールであることは現時点において否定できません。


 ただ、これだけのコンピューティングパワーがあるなら、ゲーム機以外の用途もあるだろう。何か面白いことがあるに違いないと思って、いくつかの取材をまとめて行ったのがシリーズ連載につながっています。まだすべてを書いているわけではありませんので、この先も飛び石になるかもしれませんが、いくつかのテーマでの執筆を予定しています。


 もっとも、Another StoryはPS3にだけあるのではありません。ライバルのXbox 360にも、Another Storyがあります。特にWindows Vistaがマスターアップした今のタイミングで取材をすると、とても面白そうなテーマです。というのも、.NET Framework 3.0とも少なからぬ関係があるから。Xbox 360はゲーム機ですが、しかしその中身はパソコンとたいして変わりはありません。

 たとえば、先日、マイクロソフトが発表したXNA Game Studio Expressという無償配布の開発ツール。これはVisual StudioのXbox版みたいなもの(というか、それそのもの)の簡易バージョンです。来週、その正式発表がありますが、伝え聞くところによると、以下のような特徴があるようです。


・VS.NETと同様の統合開発環境

・Xbox 360上で動作する.NET Compact Frameworkを用いたプログラミング

・バイナリはもちろんCLR(ただしC#で書いたコードのみしか動かないとか)

・DirectXを操作するクラスはプリミティブなものが多く、高機能なクラスは省かれている


などですが、何分にも最近はゲーム関連のイベントに出張しておらず、インタビューなどもしていませんから、あくまで伝聞です。


 これを使えばXbox上で簡単なゲームを、Windows上で誰もが簡単かつ安価に開発できるわけです。もちろん、大手デベロッパーと同じようなゲームは作れないでしょうが、必要十分な機能があるため、クラシカルなゲームはたくさん登場するんじゃないでしょうか。日本ではXbox 360の不振もあってあまり話題になっていないようですが、欧米ではかなり注目度が高いようです。


 で、ここからは推測・・・というより、妄想に近いかもしれませんが、Xbox 360でグラフィックに大量のテクスチャを必要としない場合なら(Xbox 360は512MバイトのメモリをCPUとGPUが共有している)、結構な規模のソフトウェアを動かせるはず。グラフィックス部分のWindows Presentation Foundationも、ほぼフル機能を実装できると思います。


 Vista世代では、CLRでコアロジックを書き、XAMLでユーザーインターフェイスのデザインや操作あるいは処理シーケンスを制御する形が徐々に増えていくでしょうが、そんな.NETアプリケーションの高性能かつ低価格な端末として、Xbox 360が活躍することも増えてくるんじゃないかなと。


 そうすれば自宅のWindowsパソコン、あるいはネット上のサーバと接続し、ゲームとは違った面白いアプローチでの応用ができそうな気がします。


 この話を記事にしていないのは、きちんと一次情報にアクセスしていないため(ゲーム関連の人たちには直接取材をしていないので)ですが、ちゃんと一次情報を取って確信をもって記事が書けるようならば、どんなことをマイクロソフトが考えているのか、きちんと問うてみたいですね。

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