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決められない、変われないのを未熟さとして認識してみる ~『日本史の終わり』を読んで

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私たちが歴史を顧みるのはどういう時だろうか。普段ビジネスをしていても歴史の知識のお世話になることはあまりないが、何か商売上の勝ち負けの分析になると「日本はどうして・・・」「日本人はどうして・・・」と、日本のルーツを辿るような話が出てくる。

こうして、仕事には関係なくても、時代小説を読むようになり、日本の歴史を勉強し直すようになった人は案外多いのではないか。私は受験の時期に歴史の勉強が好きになれず、受験対策以上の知識は持たなかったが、独立してから時代小説を読むようになり、ようやく「日本人はどうして・・・」といったルーツ論みたいな話に参加できるようになったほうだ。

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「日本史」の終わり ~変わる世界、変われない日本人~
池田 信夫(著)、與那覇 潤(著)


さて、つい少し前まで日本はアジアの中で最も進んだ国で、何において進んでいたかというと「西洋化」という時間軸においてだった。つまり西洋史が刻む時間軸の中で、日本の経済力や、日本人の意識がどの程度進んできたかを意識することが多かったように思う。

ところが、最近は中国の、経済面、政治面、軍事面など様々な分野での台頭が著しくなり、日本が劣勢に立たされる状況が目立つようになった。国際社会での中国の存在感が大きくなるにつれ、本書は、日本は今、西洋化よりむしろ「中国化」という新しい時間軸を意識せざるをえない状況にきているのではないか、と提起している。

本書は、池田氏と與那覇氏の二人の対談がベースになっている。対談の趣旨は、日本がめざしてきた「西洋化」を見直し、「中国化」という時間軸をセットし直すことで、「日本はいったい何において未熟なのか」を別の視点から考え直そうというものだ。


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端的には本書に登場したこの図にそれが現れているように思われた。解釈に私見が入るが、縦軸は地域の多様性の大きさを、横軸は戦争経験の多さを示していると考えれば良いだろうか。様々な国の国家の形態をこの2つを決定要因として説明するのは面白い。(赤い手書きはメモなので無視いただいてかまいません。)

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両著者の話を一部だけかいつまんで紹介したい。この図で左下にある日本は、これまでドイツやフランスにコンプレックスを抱いて法治国家をめざしてきた。しかし法律や宗教が力を持つようになるのは、やはりその国が置かれた地域の多様性や戦争経験の多さに由来している部分もあるからだ。日本がこうした国の姿をめざしたところで中途半端なものにしかならないことがよく分かる。

中国はというと、ドイツやフランスとは少し違って、地域の多様性を認めず大国化してきた。従って他国の主権や対等外交のような概念を持ち得ないことも想像がつく。こんな国をベンチマークにして良いのかどうか分からないが、中国と日本との間には重要な共通点もあった。それを二人の著者は「徳治(とくち)」と示唆している。

徳治とは、法ではなく人の徳によって治めるという考え方だ。皮肉な話だが、日本の政治が政争と道徳的糾弾を繰り返している実態を裏返して見れば分かるような気もしてくる。


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さて、日本が「決められない政治」や「変われない企業」から抜けきれず、何十年も足踏みが続いているという状況について、世間ではややもすると日本は特殊に出来ているのだと、煙に巻くような説明がされることが多い。

しかし本書は、日本は特殊なのではなくて、未熟なのだという観点から反省しようとしている点で新鮮であった。先進国入りを果たしたつもりになっているのに、西洋化や中国化のいずれにおいても未熟であったというこの視点は、日本の現状認識を深める上でとても重要なものではないだろうか。




Comment(1)

コメント

ardbeg32

事務のトップからも経営のトップからも、また私の情シス部門から見ても
「結果も出せてないのに『自分達の立場は特殊だから』と真剣に信じていて排他的になっていて、十年一日のように変われない部署」
というのがありまして。
内部からその部門が成長するのを待っていられないものだから、外部から人を投入していくのですが入れる端から人が辞めていく始末。
使っているITシステムにしても、常に被害者意識で
「自分達が希望して導入してもらったことがない」から、
ITシステムを使いこなせなくて非効率な仕事に終始していても
「それは自分達のせいじゃない」と真顔で訴え、
あげく情シスから改善提案かけても「自分達に相談無しに提案などしてくれるな」と頭から拒否。
そらまあ一般事務職でないのは認めますが、
全国レベルで見たら何万と同業者がいてる職種なんで、今の仕事が変えようがない、外から来た人には自分達の仕事は解らないってのは、単なる仕事的にも人間的にも未熟なだけではないかと思う次第。

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