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プロセス、戦略、人間学の視点からプロジェクトを眺めます。

粉薬を水なしでは飲めない

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プロセスデザインエージェントの芝本秀徳です。

先日、私のことを昔からよく知る人と呑み行った。
私の師の一人だ。きょうはそのときの話。

■ 方法論は役に立つのか

その人は、私に仕事のイロハを叩き込んだとも言える人で、いつも痛いところを、確実についてくる。このあいだ、一緒に呑んだときは、こう言われた。

「お前なぁ。マネジメントなんてものが方法論だけでいかんこと、お前がいちばんよう知っとるやろ。マネジメントはもっと人間臭いもんや。それを方法論や、理屈だけ教えてるのは、片手落ちやないか」

セミナーや講演でも、方法論だけをお話しているのではなく、人間に関わる部分の話もする。しかし、呼んでいただくテーマの関係上、どうしても方法論、メソドロジー、理論の部分が主になりがちだ。

ブログに書くことも、知識の大切さ、方法論、考え方がほとんどだ。そこを指摘されたのだ。

■ 理屈くささは邪魔になる
方法論や、理論をチームや組織のなかで機能させようと思うと、実はその「方法論」臭さ、「理論」臭さが邪魔になる。私が組織の中で取り組んだことも、いかにその「臭い」をなくして、みなに動いてもらうかということだった。

理論や理屈は、いわば粉薬のようなものだ。そのままでは、飲みこめない。抵抗なく飲み込むためには、カプセルに入れたり、オブラートに包んだりする。そして水の勢いをかりて、流し込むのだ。

このカプセルやオブラート、水にあたるものが、人情であり、感情なのだ。

私がよく講演でお話する「論理の上に人情をのせるんです。逆ではありません」というのは、このことを言っているのだ。

クスリはなくてはならない。カプセルやオブラートだけ飲んでも、身体はよくならない。しかし、ただ「クスリを飲め」と言われても、なかなか飲めないのだ。


<お知らせ>

年明けにラウンドテーブルの第2弾が始まります。人と組織を動かす、この「オブラート」の部分。どうすれば人のヤル気を引き出し、組織を動かすことができるのか。経験に裏打ちされた知恵と、方法論。そして、議論を通して学んだいただきます。
セミナー&ラウンドテーブル<ヒューマンスキル編>

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