プロジェクト、笑い、学び、心に響いた一言。 成長のキッカケ書き留めます。

成長を加速させる~学びの欲求がない学習は、むしろ成長を阻害する

»

学びの欲求がない学習は、むしろ成長を阻害する


変革コンサルタントをしていると社内外問わず、人材育成に携わることが多い。研修やトレーニング、プロジェクトでのOJTなど、コンサルティング会社では人の育成が極めて重要になるし、お客さんのプロジェクトで人材育成スキームの構築支援をすることもある。

長く育成に携わっていると、ハッキリわかることがある。

「欲求と学習効率は完全比例する」ということだ。

多くの人が何となく感じていることではあると思うが、研究でも、世界の学習方式の変化トレンドでも、自分の経験則でも、いよいよはっきりしてきている。もっと言うと、欲求のない状態で勉強することは単なる作業でしかなく、意味がないばかりか、逆効果だとすら感じる。

20160302183337.jpg
プロジェクトの現場で成長速度を決定付けるもの

変革プロジェクトをお手伝いすると、同じような立場で、同じように仕事を任されていても、全く成長速度が異なる人をたくさん見てきた。
・・・違いはなんなのか、色々あるが最も顕著なのは「責任感」だ。
責任感を持っている人は、責務を果たすために、より良いやり方、より有効な知恵・知識を渇望する傾向にある。
良い仕事をするために学びを欲している。必要性に駆られている。そういう人は些細なことから勝手に学ぶし、トレーニングなどをやっても吸収力が半端じゃない。

面白いことに、同じ研修に出た人を比較しても、必要性に駆られている人は「めちゃくちゃ勉強になった。明日から試したいことが沢山ある」といい、そうでない人は「学ぶことはなかった」というのだ。これは実に興味深い傾向である。そして、例外なく「学ぶことはなかった」という人ほど「学ぶ必要がある人」なのだ


「学習の欲求」をどう引き出すかが肝

古い格言に「弟子の準備ができた時に、師が現れる」とあるが、まさに真理だと思う。準備=危機感・渇望感・必要性の実感、なのである。
人は必要性に駆られなければ変われない。学ばない。
だから、「何を教えるか・どう教えるか」なんかどうでもよくて、「どうやって危機感、渇望感、必要の実感を引き出すか」に腐心するべきなのだ。


例えば、僕らが新しいプロジェクトにメンバーをアサインする時には、必ずノーミングセッションをやる。
・どんな活躍を期待してるのか
・あなたのキャリアにどんな意味のあるプロジェクトなのか
・プロジェクトが終わった時にどうなっていてもらいたいのか
・お客さんにとってどれだけ大事なプロジェクトなのか
丁寧に伝えるし、本人にも考えてもらう場をノーミングと呼んでいる。メンバーの状態を整える、つまり、学ぶ準備を整えるための工夫の一つだ。これがあるのとないのとでその後が全く違う。

ノーミングセッションについてはこちらにのブログでも書きました。

「研修を整える」より「学ぶ準備を整える」

そう考えると大企業が研修メニューを整えて、社員に強制的に研修を受けさせているのがいかに非効率的かわかる。
研修の前にニーズを喚起する仕掛けがいる。欲求のない学びは作業になってしまうからだ。

じゃあ、ニーズ喚起ってどうすりゃいいのよ?

一つの例でしかないが、例えばケンブリッジはコンピテンシー評価を取り入れること、日々のフィードバックを徹底することで、これを担保している。コンピテンシー評価がされると自分の能力のどこがどんな状態になっているのかよく分かるようになる。そこから渇望が生まれる。弱い部分を補強したいと思うことだけじゃない。強い部分をもっと伸ばしたい!と思うのも渇望だ。
研修をやるにしても、やり方やスキルを一方的に伝えるのではなく、必要性が実感できる仕掛けを大事にするべきだろう。
一般的な研修や人材育成スキームは全部逆を行っている。

※コンピテンシー評価については、僕の評価シート公開~で随分書いたのでこちらもどうぞ。


別の例を紹介すると、アメリカ・マサチューセッツのサドベリーバレー校には決まったカリキュラムがないそうだ。子供が学びたくなるまで、教えてくれと言い出すまで何も教えない。
子供たちは学校で何をしていてもいい。遊びたい子はずっと遊んでおけばいい。学びたくなったら先生に頼んで教えてもらう。
学ぶ準備ができるまでひたすらに待つパターンだ。子供たちはそれぞれのペースで必要なことを学んでいくらしい。6歳でかけ算をマスターする子もいれば、12歳でようやく足し算に興味を持つ子もいる。でも不思議なことに、皆、卒業までに自然と必要なことを学ぶようだ。人間の本能なのかもしれない。わざわざカリキュラムなど用意しなくても自然と学ぶということ。
学ぶ準備が出来た子はすごいスピードで学習する。3年かけて学ぶ数学を1週間でマスターする子もいるとか。この学校業界では有名な学校。立ち上がった時はめちゃくちゃ批判されたそう。新しいことやる時は大体そうなるよね。

ベルトコンベア型の学びから、寺子屋型の学びへ

つまり、義務教育の、ベルトコンベアに乗せられて学習が自動で降ってくるような学び方はもはや前時代的なものなのだろう。
「学びたい」という欲求が発現するタイミングは人それぞれであり、同じことを学ぶにしても人によって最適な時期は異なる。
かつての寺子屋のように年代の違う子達が集まり、それぞれ最も興味があることを学び、お互いに教え合う。時には年下に教えてもらう。そんな環境が本来あるべき学びの姿なのだろう。

そう考えると、自然と生涯学習の姿が見えてくる。知的好奇心を持ったらバリバリ学ぶ。興味がなくなったらやめる。また何かに興味を持つ。そして自然と誰かに教えを請う。

本来学ぶことは楽しいはずなのに、ベルトコンベアに乗せられて強制的に学ぶことで拒絶反応が出るとマズイ。「俺は知ってる。十分勉強した」がもらす弊害。
渇望とともに学び、学ぶ楽しさを知り、謙虚に誰からも学ぶ姿勢を作りたいものだ。

まとめ

ダラダラ書いてしまったが、「次世代の人材育成」や、「人の能力の解放」「イキイキと生きる人生」を考える時には

①まず、渇望感、必要性、危機感、知的好奇心が醸成されること
②その時に、最適な学びがすぐに手に入ること

この2つがのキーワードなのだと思う。

自分の心に耳を傾ける。今何が学びたいのか?
相手に心を重ねる。この人は学ぶ準備ができているのだろうか?




「成長を加速させる」シーリーズの他の記事はこちら
①4つの成長スタイル
②羊と狼あなたはどっち?
③変化は是か非か、あるいは「変化の習慣を持つ」ということ
④学びの欲求がない学習は、むしろ成長を阻害する
⑤成長の分水嶺を超えろ
⑥おまけ:ドーラとナウシカのリーダーシップ


ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに所属するコンサルタント榊巻(さかまき)がお送りするブロク。
Havefun!(楽しもうぜ!)を合言葉に日々仕事をしています。ケンブリッジはお仕事の依頼も、一緒に働く仲間も絶賛募集中。

ケンブリッジのホームページにも記事が沢山載ってます。ブログだけでなく、何冊か本も書いています。

世界で一番やさしい会議の教科書 抵抗勢力との向き合い方 

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する