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「無性に腹が立つコミュニケーション」を分析して見えてきた「やってはいけない鉄の6か条」

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とある会社の代表取締役社長とお話する機会があった。50各国70支店を展開するグローバル企業の日本法人の社長だ。

エグゼクティブを対象としたコンサルティングなどをやっているらしく、年中いろいろなエグゼクティブと会っているらしい。

「日経情報ストラテジー」か何かで私の記事を見てくださったようで「彼とちょっと話してみたい」と声を掛けていただいたので、お会いしてみた。
その時の会話でとても気付きがあったので「ブレイクスルー備忘録」として言語化してみようと思う。

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結構長い時間会話したが、その時のやり取りの一部がこんな感じだ。

~~
社長「お仕事はコンサルタントなんでしょ?」

私「そうなんです」

社長「前職はダイワハウス?どうして転職しようと思ったんですか?」

私「新入社員の頃から設計業務と社内の業務改革を両方やらせてもらっていて・・・うんぬんかんぬん」

社長「そうなんですか、いや私は色んな人に合うですけどね・・・今は時代の変化点でしょ?うんぬんかんぬん」

社長「しかし、会社がグローバルだとアレでしょう・・」

私「いえ、元々グローバルファームだったんですが、今は日本法人だけ独立して活動しているんです」

社長「え?そうなんですか?ケンブリッジテクノロジーさんでしょ?グローバルファームだと思ってましたが」

私「正確にはケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズです。たぶんケンブリッジテクノロジーという会社は他にはないと思いますので・・・」

社長「そうですか。えっと、サカキバラさん英語はどうなんですか?」

私「あ、サカマキです。ちょっと読み辛い漢字ですよね。いや・・・、英語は得意じゃないですね・・・、仕事上もそれほど使わないんです」

社長「え?そうですか・・・。ダメだよ、英語は必須でしょ。勉強しないと。どこの大きな会社に行っても必ず英語を求められるよ。大きな企業は上の方にいくと大抵外国人が出てきますからね。ましてコンサルタントでしょ?」

私「そうですよね。でも英語の勉強に時間を割いて弱みを補強するより、専門領域を伸ばすことに時間を割きたくて。セミナーで喋ったり、本を執筆するのもその1つです。最近はそっちに目一杯時間を使うようにてしているんです」

社長「若いんだから勉強しないと・・・。古典は読みます?ギリシャ神話は?」

私「いえ。読みませんね」

社長「ドストエフスキーは?」

私「いえ」

社長「戦争と平和は?」

私「いいえ。全然面白いと思えないので」

社長「なんだ、話になんねーな」

私「そうなんですか?」

社長「話になりませんよ。それじゃ外国人と会話できないでしょ・・古典も読んでないなんて・・・ヨーロッパでもなんでも、海外ではジョークとして会話に出てくるんですよ。うんぬんかんぬん」

私「なるほど、では古典読んでみます。どれを読めばいいですか?お勧めを教えてください」

社長「いや、お勧めって言われてもね。色々あるでしょ」

私「ありますね。英語が大事ってお話もありましたけど、原文を読まないといけませんか?」

社長「いや訳書でいいですよ。私も訳書しか読みませんから」

私「そうですか。まず何から読むのがいいですか?」

社長「色々あるからね」

私「教えてはくれないんですね・・・。古典を読んだ方がいいっていうのはなぜなんですか?」

社長「いや、人生は仕事だけじゃないでしょ?そう考えると自然と古典や哲学にたどり着くでしょ?生き方の源流なんだから」

私「うーん。たどり着きませんでしたけど・・・。なんで読まないとダメなんですか?」

社長「ダメでしょ。普通読みますよ。古典はね、思春期なんですよ」

私「え?思春期?」

社長「本来思春期に古典を読んで、造詣を深めるべきなんだけど、そういう思春期を過ごしてないでしょうからね」

私「・・・なるほど、確かにそんな思春期は過ごしてませんが・・・。で、結局、なんで古典を読まないと話にならないんですか?」

社長「・・・」

私「面白さがわからないので、なぜ大事か理解したいんです」

社長「一言で言えないよ。"生きる意味ってなんですか?"って聞かれても一言で答えられないでしょ?」

私「そうですか。ますます古典に触れてみたくなりました。・・・やっぱりお勧めはしてくれませんか?」

社長「・・・だからいっぱいあるからね」

私「いっぱいあるから悩んでしまうんですが・・・これから読みなさい、というのを教えてもらえませんか?」

社長「だからね・・・。好きなのを読めばいいんですよ。あなたも頑固ですね」

・・・
~~

コンサルタントという職業柄、会話を記憶する力はかなり高いので、ほぼ当時のやり取りを脚色なく再現出来ていると思う。

他にも
「ファシリテーションが専門領域です」と話したら、
「ファシリテーションの源流はアメリカですよ?そこを押さえるに英語がないとダメでしょ?勉強してないでしょ?うんぬんかんぬん。私、4大戦略ファームのエグゼクティブとも沢山知り合いで、有名な◯◯さんとも知り合いなんですが、相当勉強されてますよ?」とコメントをいただき、
「いやー。訳書しか読んでませんが最低限は押さえているつもりです。実はファシリテーションの発祥はビジネスの現場ではなくて・・・」

となぜかファシリテーションの起源を解説する羽目になったり。なかなかな刺激的な時間を過ごした。


正直、このやり取りで「この人ホント失礼な人だな」と無性に腹が立った。
でも、なぜ腹が立ったのか、冷静に考えてみると幾つか大事な教訓を見出すことができた。これを裏返せば人と接する時にしてはいけないことが言語化できるはずだ。


腹が立つ理由① 相手に対してリスペクトがない

一対一の会話で、しかも呼び出しておいて、相手の名前すら覚えてないってのはどうよ?と・・・。リスペクトの心があればそうはならないはず。全ての根っこはここにある気がする。
しかし「相手に敬意を払う」ってのは、どういうことなんだろう?なぜこの人から敬意を感じなかったのだろう?いくつか挙げてみる。



腹がたつ理由②「異なる価値観」を理解しようとしない

敬意を感じない筆頭はこれだと思う。60過ぎだと言うその社長は、たくさんの経験をしてて、自分の価値観が確固たるものになっているのだろう。でも、異なる価値観(私の意見)を全然理解しようとしてなかった。「なぜそう考えたのか?」「xxのケースはどう考えているのか?」という感じで話を聴く姿勢がなかったのだ。年配の上司が部下の話を聞かずに、俺の若い頃は!と説教する構図に似ている。
「理解してから理解される」という言葉をこのブログでも紹介したが、、、うーん。まさにそれだ。

腹が立つ理由③「自分の考え方の背景にあるもの」を伝えようとしない

さらに輪をかけたのが、why?を全く説明してくれなかった点だ。自分の価値観を主張するまでよいが、なぜそう考えたかのか、がほとんど語られていない。強いて言うと「外国人と会話できないから」だが。あまりに脆弱だ。リベラルアーツっぽい話にも聞こえなくはなくはないが、それにしても「外国人と会話する」ことはリベラルアーツの目的ではないし・・・

私の価値観を変える気なら、価値観が変えられるだけの説得力のある話が必要ではないだろうか。
彼の経験談を踏まえて、心理的にも論理的にも「確かに!」と思える話をしてくれなければ、こちらの心は動かない。彼の場合は見事に主張だけだった。
伝統的な師弟関係なら「パダワンよ。言われたことを黙ってやりなさい。今はまだわからなくていい。そのうち理解できる。」が通用するが、ビジネスの世界でそうはいかない。



腹が立つ理由④ 質問にストレートに答えない

以前ブログでも書いたが(ケンブリッジ語録#1)、やっぱり質問に答えないのはダメだと改めて実感した。会話のキャチボールにならず、都合の悪いことはぐらかされているように感じるからだ。「なぜ古典?」と聞かれたら「一言では言えない」とストレートに答えて欲しいものだ。

腹が立つ理由⑤ 決めつける

言葉の端々に見え隠れする「決めつけ」の雰囲気がどうにもよくない。

「(どうせ)勉強してないでしょ?」
「専門領域だとかいってるけど(どうせ)源流を理解してないんでしょ?」「あなたが身につけているファシリテーションのノウハウだって(どうせ)先輩から受け継いだものでしょ?」
という風に端々に(どうせ)を感じた。本人がどういうつもりだったかは分からないが、受け手がそう感じていることがマズイ。
ここはおそらく、強烈な先入観(バイアス)が掛かっているのだと思う。「古典も英語も勉強してない若造」という情報に引っ張られているのだと推察する。

腹が立つ理由⑥ この場の目的(榊巻にとってのこの場の価値)を説明しない

私は最後までこの打ち合わせの狙いがわからなかった。私にとってどんな価値を見出す場のなのかわからないまま、時間を消費するのはかなり苦痛だ。
「相手に時間を作ってもらってる」という感覚があれば、自然と場の目的、終了条件、期待値の確認がされるはずなのだが。「相手の時間は貴重なもの」と捉えているようには感じられなかった。以前紹介した会議ファシリテーションの7つの基本動作は、こういうシーンでも効いてくるのだと痛感した。
やはり終了状態を明確にして、合意するのは大事だなと・・・。

まとめ

このあたりが原因になって、無性に腹が立ったのだと思う。
コミュニケーションの上で、絶対にやってはいけない鉄の6か条と言ってもいいのではないか。
だが、意図せずやってしまう事も多いだろう。自分がそうなってないか常に気を付けるくらいでちょうどいい。

そして、これは非常に根深い問題だ。上っ面だけリスペクトしようとしても、根っこに黒いがモノがあるとにじみ出てしまう。
異なる価値観を尊び、理解しようとする姿勢を常日頃から持っていないとダメだ。それが自然体になっていないと、必ず見透かされる。

多くの人が、互いの価値観を理解しようとするマインドを持つようになれば、コミュニケーションの質はガラッと変わり、企業変革はずっと加速するだろう。

それを支えるファリシテーターであり、コンサルタントでありたいものだ。

・・・と、ここまで書いて、私もこれで腹を立てているようでは、まだまだリスペクトの心が足りないと気が付いた・・・。
彼の行動もまた、1つの価値観の上に成り立っているのだから・・・。尊重して理解しなくては・・・。

あなたのコミュニケーションマインドは大丈夫だろうか?

念のため補足

この社長の話の成否や、主張のまっとうさ、的確さについてどうこう言うつもりはない。この話はこの話で気付きも多かったし、僕が勉強不足なのも間違いない(汗
まぁ、それは置いといて、「コミニュケーションのあり方について」というお話だ。


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