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DaaSの使い途を考える(前編)[ソリューション・デザインの現場より]

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前回の投稿から3ヶ月ほど空きました。その間、次男が生まれたり、その前後2ヶ月は4歳の長男とシングルファーザー生活を送ったりで、慌ただしい日々でした...。その間のことはまた機会を改めて触れたいと思います。

さて、この3ヶ月の間、クライアント仮想化(デスクトップ仮想化)分野では、DaaS、いわゆるDesktop as a Serviceのニュースを多く見かけました。その中でも特に外資系クラウドベンダーがこのサービス分野に新たに進出してきているニュースが目立ちました。

私は新しくサービスが開発され、クライアント仮想化業界全体が盛り上がることは歓迎したいと思います。しかしながら、3年ほど前に登場したDaaSを日本企業はこれまで活用できなかったという印象を持っており、今もDaaSは難しいビジネスだと捉えています。

結局、ユーザーに利用されないと、まだ時期尚早なのでは、というイメージが蔓延し、却って業界全体に悪影響を及ぼすことを懸念しています。

私自身も日本アイ・ビー・エム(株)でDaaSのプリセールスを担当していたので、その経験も活かしながら、今回から3回に分けて、DaaSの基本的な特徴と企業が利用する際に考慮すべき事項を挙げ、DaaSの今後を予想します。

DaaSの特徴

前述した通り、DaaSはDesktop as a Serviceの略であり、リモートのサーバーHW環境で動作するデスクトップやアプリケーション画面をユーザーの端末に転送する仕組みをプロバイダー事業者が提供します。多くの企業に向けて、サービスメニューや価格が予め体系化されおり、企業は提供されているサービスにおいて自社に必要なものを選択します。利用者側はシステムの実装面を意識する必要が少ない、いわゆるクラウド型のサービスです(本記事では、プロバイダー事業者のデータセンターに特定の企業固有のシステム環境を用意するサービスとは区別して取り扱います)。

特徴を確認するために、以下でDaaSと、企業固有のシステム環境を構築するケース(プライベート・クラウドと呼ばれます。ユーザー側のデータセンターに構築する場合は、特にオンプレミス型と表現されます)とを比較します。

比較項目DaaSオンプレミス型
(プライベート・クラウド)
企業内におけるガバナンスの確保 クラウド型のサービスであり、システム構築作業を伴わない場合があり、利用開始までのハードルが低い。そのため、システム部によるITガバナンスが弱い企業では、ユーザー部が独自に利用を始める状況も予想され、ガバナンス確保が難しい場合がある。 通常はシステム部が情報システムを管理しているため、きちんと管理方法を確立すれば、一定のガバナンス確保が可能である。
セキュリティ強度 データセンターの設備やシステム基盤のセキュリティは、サービスを提供するプロバイダー側の対策に依存する。OSより上位のコンポーネントは利用者側でセキュリティ対策を実装する必要のあることが多く、その内容に依存する。 自社にて実施しているセキュリティ対策に依存する。
システム利用開始までの期間 設備やハードウェアの調達を伴わなく、また構築作業が大幅に削減されるため、システム利用開始までの期間は短い。 システム利用開始までに基本設計やテストなどの伝統的なプロジェクトフェーズが必要となるため、システム利用開始までの期間は長い。
コスト 初期投資は低いが、ランニング・コストが長期にわたって必要となる。利用デスクトップ数、利用期間など利用量に応じた課金となることが一般的である。利用期間が長いと総コストは増大する。 設備やHWの調達により、初期投資は大きくなるが、利用期間が長ければDaaSより総コストが低くなる可能性がある。
運用負荷 インフラ(主にHW)の運用は規定のサービスを利用可能なことが多く、負荷は抑えられるが、デスクトップの運用(マスターイメージの更新など)は利用者側で実施する必要がある。 利用者側ですべての運用基盤・体制を検討し、構成する必要がある。
既存システムとの連携可否 既存のデータセンターにおける業務システムとの連携を行う場合には、ネットワーク通信などを追加設計し、実装する必要がある。 物理端末のデスクトップがデータセンター内へ移動した点が主な変更点となるが、既存システムとの連携はしやすい。
カスタマイズ可否 通常、オプションメニューが用意されており、カスタマイズは可能であるが、自由度は低い。 要件に合わせたカスタマイズが可能である。

私がこれまでに接してきたDaaSを検討されていたお客様では、ハードウェア資産を持ちたくない、その運用を軽くしたい、利用量に応じてコストを最適化したいという要望を持たれていました。

さぁ、果たして、新しく出てきたDaaSは以前よりも使えるようになってきたのか。 次回は、DaaSを企業が利用する際に事前に考慮すべき事項を見ていきます。

※2014/4/21, タイトルを変更しました。

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