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ワークプレース変革の好機「未来志向のWindows XPサポート切れ対応」(4)

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10月に入った今、東京はすっかり秋めいていますが、9月末の沖縄はまだまだ蝉が鳴いていました。東京の蝉とは違う鳴き声、音が高いように感じます。

夏の終わりには、蝉が歩道にじっとしていて、時々踏みそうになるのですが、以前、踏まれそうになっている蝉をそっと掴んで、脇の植え込みに避難させている若い女性を出勤途中に目撃しました。心優しく、勇気のある女性。そう、あれはナウシカガール。そんな女性にはなかなか出逢えません。

Okinawa_sea4

それ以降、死にかけの蝉を見るたびに、あのナウシカガールを思い出します。次こそは声をかけよう。

さて、前回は、XPサポート切れに向けて企業が現在位置する対応段階を見てきました。今回は、特に重要な移行対象のアプリケーションを選定する話です。

アプリ選定前に必要な資産管理

移行対象アプリの選定。こういう作業は、本来、システム部主導で実施していくものです。普段からソフトウェアの資産管理を行っていれば、少なくともどのようなソフトウェアが社内に存在するかはわかるはずです。
しかしながら、ツールだけを使った資産管理では、ソフトウェアの重要度や、本当に使っているユーザーや部門は、通常は見えてきません。
そもそも、普段からソフトウェアの資産管理を行っていない企業もあるようです。地味な作業ではありますが、このような機会のためにも普段から資産管理は実施しておくべきです(ライセンス管理もしなければなりませんし)。端末の標準化が前提ですが...。

アプリケーションの調査は、ビジネスの観点、テクニカルな観点から実施する必要があります。その観点の情報を得るために、次の二者を対象に調査を実施します。その際、「調査シート」を利用すると効率的です。
  • 各アプリケーションの担当者
  • ユーザー代表者(例:部署単位)

移行対象アプリ調査の観点

アプリ調査の観点と調査内容の例を以下に挙げます。調査シートを活用し、不明点があれば直接、ヒアリングを実施します。このような調査は、自社内のユーザー部門を横断して実施する必要があるため、基本的にシステム部が実施します。

ビジネスビューテクニカルビュー
移行によるビジネス効果の観点 移行に関する技術的な実現性の観点
  • アプリケーション名(ドライバ含む)/ バージョン
  • 提供元
  • 導入端末数
  • 業務重要度(例:移行しなかった場合の影響度)
  • 利用ユーザー数
  • 利用場所
  • 利用組織
  • 利用部署
  • 更改予定有無/時期
  • 導入されているマスターイメージの種類
  • etc.
  • Webアプリケーションの場合、サポートするブサウザ/バージョン
  • 前提となる利用言語やバージョン等(JRE / VBA etc.)
  • 利用している周辺機器(プリンターやスキャナーなど)
  • 画面解像度の指定有無
  • マルチウィンドウ利用有無
  • ライセンス形態(ユーザー数課金/デバイス数課金 etc.)
  • Windows 7対応可否(既知の場合)
  • etc.

移行対象アプリの優先度付け

調査した結果、移行対象のアプリケーションを選定します。このうち、次の回答が返ってきたアプリケーションは、対応方針が明らかです。

  • 廃止予定のアプリ
  • 更改予定のアプリ

廃止予定のアプリは当然、移行の対象外。更改予定とされたものは当然移行するアプリケーションです。さらに、更改予定であれば、その更改時期を確認し、OSの移行とスケジュールが合うかを確認する必要があります。全ユーザーが利用する標準アプリだとしたら、この更改スケジュールにOSの移行スケジュールが引っ張られる可能性があります。

その他のアプリについては、「ビジネスビュー」によるビジネス効果と「テクニカルビュー」による実現性の2軸における分析を行って、4象限に整理し、移行の優先度高、優先度中、優先度低、要精査などと区分して、アプリケーションを選定していきます。

選定されたアプリが抱える課題

選定した結果、移行が必須とされたアプリケーションにおいて、次期OSへの移行可否が不明な場合や、移行のための改修が困難な場合があります。移行可否が不明な場合は、やはり次期OS上で稼働させてみる検証を実施するのが手っ取り早いと思います。

一つずつアプリケーションの稼働検証を実施することになるため、仮想マシン上に次期OSを導入し、スナップショット機能を活用して、いつでもOSの状態をリセットできるようにしておくと効率的です。 また、改修困難だと判断できる場合は、アプリケーションを次期OSで稼働させるために、仮想化を含めた対応手段を検討することになります。

Migration

次回は、選定した移行対象のアプリケーションの稼働環境に関する内容に入っていきます。

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