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管理職の仕事を減らす法

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 どの組織でも納期がタイトな上業務量が増え、さらに、ワークスタイル変革のしわ寄せが管理職に集中。管理職の多くが余裕をなくしている模様。その姿を見た若手社員からは「管理職になっても何もいいことなんてない」と、「管理職になりたくない予備軍を増殖させている」。こんな話をあっちこっちで見聞きする昨今、管理職の皆様はどのようにお感じになっているでしょうか。

 研修で管理職の皆様に接すると、その責任感の強さからか愚痴や不満の声をお聞きすることはそう多くはありません。しかし、休憩時間もメールや電話で連絡を取っている姿を見ていると、やらなければならないことが多い・・・ことは容易に推測できます。
 ちなみに、モバイルが普及しきる前は、研修の休憩時間といえば管理職同士の交流の場。お互いの近況を伝えあったり、趣味の話で盛り上がったりと、それは賑やかで楽しげな会話が飛び交っていました。そんな管理職の姿を見た20代の私は「知識豊富で余裕があって、管理職ってカッコいい・・・」と、密かに憧れを抱いたものでした。

 管理職の多くは自分なりの「管理職像」というものがありその像を目指していらっしゃると思います。しかし、理想と現実のギャップに少なからず(こんなはずではなかった・・・)と思われている方もおいでになるのでは。

 それでは「どうしたら自分が描いた理想の管理職像に近づける」でしょうか。

 今回は、マネジメントの原理原則を確認することで、管理職の仕事を減らすことにつながる視点を紹介します。

マネジメントの原理原則

人を通じて成果を上げる

 誰もがこの言葉を目にしたことがあり、理解もされていることでしょう。

 しかし、次のような経験をされたことはないでしょうか。
  「彼(または彼女)に任せて大丈夫かな。うーんちょっと心配かもしれない。仕方ない、今回は自分でやるか」と思って自分で仕事を引き受けているうちに、次から次へと仕事が増えていく。そして気がつくと誰よりも仕事をこなしている自分がいた。

 このような状況に陥っている管理職も「メンバーに任せなければならない」ことはよくわかっています。しかし「知らず知らずのうちに仕事が増えている」のです。そして「気がつくと仕事が山積みになり、余裕をなくしている自分」に愕然とし、あらためて業務を見直し・・・の繰り返し。かくいう私もこの状態が続いた時期がありました。

 こうなる人の特徴として、気がつく→反省する→気がつく→反省する、を繰り返し、その状況を循環し続けること。さらに、年齢とともに気づくタイミングが遅くなる傾向にあるようです。

 では、こうした状況から脱するためにはどうしたらいいのか。こんな状況下にあった私が教わった方法、それは「自己対話」による改善です。

 その取り組み方はいたって簡単。

 「彼(または彼女)に任せて大丈夫かな」

 こういう考えが浮かんできたら、まずはそのことに気づきます。
 そして、「自分は何を心配しているのか?」と、自分に問い返します。

 すると、例えば...
 ・背景を説明し、それを理解してもらう時間が今はない
 ・彼(彼女)は、まだ知識やスキルが十分でない
 ・彼(彼女)に任せている業務の優先度が高い
 ・彼(彼女)とその業務の相性に不安がある
 ・彼(彼女)は仕事に時間がかかる
 ・彼(彼女)は適切にコミュニケーションをとってくれない
 など、状況や相手による様々な理由が思い浮かぶはずです。
 その様々な理由を自分でキャッチする。そして、そこからさらに対応策を考える
 ここがポイントです。

 例えば、
 「知識やスキルが十分ではない」と思った場合
 →そのときは自分でやる。
  後日、同様のケースに対応できるよう、知識やスキルを習得する機会を作る。
 「コミュニケーションをとってくれない」と思った場合
 →「自分はどんなコミュニケーションをとってほしいのか?」を問い直す。
   例えば、「ラフ案の段階で見せに来てほしい」
   というのが自分の望みであったとしたら、仕事を依頼するときに、
   そのことを合わせて伝え、すり合わせるタイミングを明確にし、
   引き受けてもらえるかどうかを確認する。

 こんな風に自分の思考をキャッチして、そこから対応策を考えるようにしていくと、他者に任せられる割合が増えていきます。つまり、「大丈夫かな?」は、今後につながるヒントやアイデアの入り口なのです。それを意識して継続していくと、「人を通じて成果を上げる」ことにつながっていき、管理職がやらなければならない仕事に集中できるようになります。

 誰かに仕事を任せようかどうしようか悩んだとき、試してみてはいかがでしょうか。

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