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税金に悩んで悟ったこと

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「どうしたら環境に左右されずに成果を上げ続けられるだろうか」

その問いに対するポイントが、「自分を観る」、「自分を知る」ことにある、と、前のブログに書きました。

では、なぜ「自分を観る」、「自分を知る」が、成果につながるのでしょうか。

「思考は現実化する」―ナポレオン・ヒル
「自分自身の内面を変えることから全てが始まる、インサイド・アウト」―スティーブン・R・コヴィー
「自分の周囲にある物、いる人、これすべて、わが心の反映である。わが心の鏡である。すべての物がわが心を映し、すべての人が、わが心につながっているのである」―『道をひらく』松下幸之助氏
「人生方程式 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」―フィロソフィ稲盛 和夫氏

このような言葉は誰しも目にしたことがあるし、多くの人が「大事な考え方だ」と思っていることでしょう。
また人によっては、上記に関連したセミナーや研修など実際にプログラムを受講されている方もいらっしゃるかもしれません。

たとえば、松下幸之助氏著書の『道をひらく』は500万部以上発行されています。

しかし、これを読んだ人の中で、「この本が人生を変えた」といえるほどの体験をした人はどのぐらいいるでしょうか。「いい本だった」、「素晴らしい本だった」という以上の結果を得られている人はそれほど多くなさそうです。

実際私は、「(そういうことは大事っぽいという)知識」を得ることができましたが、その先に大きくつなげることはできていませんでした。

一方で、こうしたメッセージから大きなヒントを得て、大きく飛躍した人が私の身近にいます。
私と、この人たちの違いは何か・・・この部分を観察し続けること数年。

ようやくその違いが、「私を観る」、「私を知る」ことにあることが、わかってきました。

では「私を観る」、「私を知る」とはどういうことでしょうか。

そこで、松下幸之助氏のとても興味深い事例をご紹介します。
「税金に悩んで悟ったこと」(1921年 大正10年)

当時、税金の査定期になると、近くのお寺に税務署員が出張して来るので、個人経営の町工場や店の主人は、そこで申告し、査定を受けた。いつも申告通りですむので、所主も毎年ありのままに申告していた。ところが、松下電気器具製作所の収益が年々増えていくのに驚いたのか、大正10年ごろになって、「ずいぶんもうけているなあ。1度調査に行こう」と言われた。

所主は正直に申告していたので、何ら動じることなく調査に臨んだ。ところが、見解の相違があって、申告以上に利益が上がっていると言う。そうなると所主は心配になった。2晩ほど眠れぬままに思案しているうちに、ふと「自分の金だと思うから、悩みも起きるのだ」と悟った。翌日、3日目の調査の時に、所主はすっきりした気持ちで「よく考えてみると、このお金は全部国家のものです。必要なだけ取って下さい」と申し出た。すると、「そんなにまでしなくても」ということになり、調査は簡単にすんでしまった。

以後、税金に対してガラス張りで臨んだが、この体験で、所主は1つの企業観を得た。
パナソニック 松下幸之助の生涯 28.税金に悩んで悟ったこと

ここで注目したいのは、
 「申告以上に利益があがっていて、心配になった」
 ↓
 「2晩眠れぬままに思案」
 ↓
 ふと「自分の金だと思うから、悩みもおきるのだ」と悟った。

自分が松下幸之助氏と同じ状況に置かれたら、どんな風に心配するか、考えてみると・・・
・どのぐらいもっていかれるだろうか
・あのお金は、他のあのことに使おうと思っていたのに
・せっかく苦労して貯めたのに
・どうせもっていかれるんだったら、もっと使っておけばよかった
・こんなに小さな会社からもぎ取らなくてもいいのに、嫌な存在だ
・何とか持っていかれなくても済む方法はないだろうか
などなど、いろんなことをグルグルと考え続けるでしょう。

ここで焦点をあてているのは、
「これ以上税金を取られたくない」
「税金を払いたくない」
ということだと思います。

そのとき私だったら、
「どうしたら、税金を払わなくて済むか」
「どうしたら、できるだけ少ない額で抑えられるか」
と、「今後の対策」に意識を向けるでしょう。

しかし、松下幸之助さんは、ずっと考え続ける中で、
「自分はなぜ、税金を払いたくないのだろうか」
と、「わが心」に目を向けて考えたのではないでしょうか。
「わが心」に目を向けたからこそ、

ふと「自分の金だと思うから、悩みも起きるのだ」と悟った

「後はお任せ」といった心境になったのではないかと推察します。

「わが心に目を向ける」こと=「自分をありのままにみる」。

これが「自分を観る」「自分を知る」ことなのだと思います。
しかし、これが日常的にはとても難しい。その理由を次回ご紹介します。

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