HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

「介護・看護」と「仕事」の両立について考える

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 40代も半ばを過ぎると「遠い先のこと」と思っていたことが、身近な問題になってきます。その1つが「介護と看護」。先日のブログで2025年の人口動態図をご紹介しましたが、あと10年もすると総人口の約1/3が65歳以上。更に、年々国からの介護の助成金は減額が予測されます。その時にいったい職場はどうなっているでしょうか?この問題は、私の専門分野から離れますが、30代が活躍できる社会と組織づくりには、欠かせない問題なので取り上げます。

40代半ばに入り増えつつある「介護・看護」についての会話
 ある日、お世話になっていたご担当者様から「もうすぐ会社を辞めるのでご挨拶です」という連絡をいただきました。事情をお聞きすると、ご家族の介護のためとのこと。今までは社内制度や有給消化、スケジュールを調整しながら、なんとかやりくりしてきたそう。しかし、業務における立場や性質上、長引く介護でこれ以上職場に迷惑をかけられない。そのため離職し介護をしながら、将来的にコンサルタントとして独立するための準備をするつもりであるというお話でした。

 また、別のケースとしては、お仕事上のかかわりのある人たちのご家族が体調を崩され、遠方に様子を見に行くことや、私の場合は「体調を崩して入院した」という親戚からの連絡も頻度が増えています。
 このような話は、40代半ばを迎えた頃から、急に増えてきたように感じています。そこで、一般的な状況についても調べてみました。

働き手層の約7%が「介護」または「看護」で離職という現状
 総務省発表の『平成24年度就業構造基本調査結果』 によると、平成24年10月の調査で、有業者は6442万1千人。うち、全体の7%にあたる、48万7千人が介護または看護のために、平成19年10月~24年9月までの5年間のいずれかの時期に離職しています。

 また、離職のきかっけを見ると「労働時間の長さ」、「出退社時刻」、「介護休業の取得のしづらさ」というデータもあります。

3-2-12.gif データからは「フレキシブルな労働形態」があれば離職せずに済んだかもしれないという実態が読み取れます。

離職後の状況
 
私がこの問題を取り上げたいと考えた最も大きな理由は、介護離職後の負担を目のあたりにしたからです。
 以下のデータは『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』(平成24年度 厚生労働省委託調査 三菱UFJリサーチ&コンサルティング実施)です。データがその負担について物語っています。図表23「就業継続の意向」では、半数以上の人が「仕事を続けたかった」とし、「離職後の変化」では「精神面」、「肉体面」、「経済面」の全てで、半数以上の人が「負担が増した」と回答しています。
2015年2月5日 誠ブログ.png データ元:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf
 離職により、生活や人間関係は大きく変わります。介護に加え、自分の生活基盤が変わることは、想像以上に負荷がかかります。恐らく、辞める前に想像していない、目に見えないものが多くあるように思います。

「介護」と「仕事」が両立できる環境づくりに向けて
 
その負担を軽くしていくための施策として、国は法改正を進めています。現在の育児・介護休業法(介護関係制度)は、次のように定められています。詳細は厚生労働省の下記サイトからPDFをご覧いただきたいのですが、ポイントを抜粋します。
(1)介護休業(法第11条~第15条)
  労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族1人につき、要介護状態に至るごとに1回、通算して93日まで、介護休業をすることができます。
※「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。
<対象となる労働者>
  期間雇用者(パート、派遣、契約社員など雇用期間の定めのある労働者)でも、一定の要件を満たす場合は、介護休業をすることができます
(2)介護のための短時間勤務制度等の措置(法第23条第3項)
  事業主は、要介護状態にある対象家族を介護する労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度その他の措置(短時間勤務制度等の措置)を講じなければなりません。
(3)介護休暇(法第16条の5~第16条の6)
  要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、事業主に申し出ることにより、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
(4)法定時間外労働の制限(法第18条)
  要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が申し出た場合には、事業主は、1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはいけません。
(5)深夜業の制限(法第20条)
  要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が申し出た場合には、事業主は、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはなりません。
(6)転勤に対する配慮(法第26条)
  事業主は、労働者に就業場所の変更を伴う配置の変更を行おうとする場合に、その就業場所の変更によって介護が困難になる労働者がいるときは、当該労働者の介護の状況に配慮しなければなりません。
(7)不利益取り扱いの禁止(法第16条、第16条の7、第18条の2、第20条の2、第23条の2)
  事業主は、介護休業など(1)~(5)までの制度の申出や取得を理由として、解雇などの不利益な取り扱いをしてはなりません。
PDF:厚生労働省 育児・介護休業法(介護関係制度)の概要   
    http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/ryouritsu04/dl/ikuji_kaigo_kyugyou.pdf

「介護」だけでなく「看護」の制度の充実と、進めておきたい職場の理解と+α
 
現在の法制度では、「介護」に重点がおかれていますが、高齢化が進むと「看護」の割合が増すように思います。その場合、突発的に複数回の休業といった対応も必要となってくるでしょう。ただ10年後までには、「看護ニーズ」に適応した様々な仕組みやサービスが生まれ、現在問題だと感じていることの多くは、安心できるものへとなっていくように思います。
 しかし、過渡期において、一番大事なのが「職場の理解」です。一方で、理解を示したくても示せないほど、時間的、人員的ゆとりがないという職場も多いかもしれません。また、理解がある職場でも、過度に配慮しすぎることが問題となるケースもあります。どちらにしても、自分が抱える問題を相談しやすい関係性というのが、最初に必要なのかもしれません。その上で、職場で「状況対応がしやすい仕事の進め方」をテーマに、話し合っておくだけでも理解が進み、対応のアイデアが生まれるかもしれません。

(参考情報)厚生労働省統計資料
 『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』   http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/dl/h24_itakuchousa05.pdf

 
 
 『仕事と介護の両立支援対応モデル』http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/model.html

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