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HRD(人材の育成、教育研修)の現場から、気づいたこと、アイデアを発信します。初めて人材育成や教育担当になった方でも、わかりやすく、取り組みやすい情報提供を目指します。特に、20代~30代を元気にしたいご担当者様、是非このブログにご参加ください。

満足させるべき「相手」は誰?

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GWは、インターネット予約サイトを活用し、お得に旅行を楽しんだ私ですが、その一方で提供者の立場に立ってみると、私が支払った費用は「採算ぎりぎりでは?」と思えるほどでした。利用者として今だけのことを考えれば、費用が安いことはありがたいことですが、提供者の皆さんにとっての利益が薄ければ、今の商品やサービスを維持していくことは難しいでしょう。そうなれば、せっかくご縁が出来ても、次の機会に利用することができなくなってしまいます。

ご縁が出来た先に長くビジネスを続けてほしいという思いと、別の視点としては、研修に参加される多くの人達から、「取引先からコストダウン要請ばかりを受ける」という話を頻繁にお聞きするので、今一度、自社の商品やサービスをご利用いただく人達に、継続して安定的に良い商品・サービスを提供していくために必要な、提供者としての考え方を整理しておきたいと思います。

「顧客満足」という言葉に振り回されないために

「顧客満足」という言葉があります。顧客満足の考え方には、「自分が何をしたか」よりも「相手がどう感じたか」が大事であると言っています。しかし、その手前にある概念を忘れていることが意外と多いようです。それは、「自社にとって大事にしたいお客様をしっかり定義する」ことです。

「自社にとって大事にしたいお客様」とは、自社が提供する商品やサービスの価値をしっかり認識し、その上で、対価を払ってくれる人です。そしてその人達こそが、「満足させるべき相手」です。

しかし、その定義が曖昧なまま、商品やサービスを提供していることが多いようです。

ビジネスホテルを例に考える

ある地域の昔からあるAビジネスホテルと、その近くに最近できた全国チェーンのBビジネスホテルを例に挙げます。

Aビジネスホテルは、その地域を利用する方を対象に、1泊素泊まりの料金で5500円です。Bビジネスホテルができるまでは、駅に近いビジネスホテルはAビジネスホテルしかなかったため、安定的に利用がありました。

Bビジネスホテルは、ビジネスマンを対象に、1泊あたり4000円で朝食付きのプランを打ち出しています。そして、新しいホテルですので、設備も新しく、清潔感もあります。全室インターネットが利用できます。また先着順ではありますが、加湿器やズボンプレッサーなどの貸し出しなどもしています。価格設定とサービス内容の良さから、非常に評判が良いようです。

Aビジネスホテルは、Bビジネスホテルが出来てからというもの、売り上げが大幅に減少しています。インターネットの予約サイトなども活用していますが、利用者の多くがBホテルが満室のためにやむを得ずAホテルを選ぶらしく、厳しいコメントや評価が寄せられます。設備の見直しも要求されているうえ、価格を下げれば経営はより逼迫します。

Q:Aビジネスホテルを経営する立場でしたら、あなただったらどうしますか?

今回はビジネスホテルを例に挙げて考えてみましたが、設定を変えると、多くの組織で似たようなことが起きているのではないでしょうか?

次回は、このような状況に直面した場合の、アプローチの考え方をご紹介します。 

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