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Facebookを活用したソーシャルリクルーティングの利点と限界【前編】

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 リクルート社のリクナビ会員に対する最新の調査で4月度の内定率(内々定率)は25.3%で、就職活動終了率は11.5%であるという報告がされました。これは昨年の同時期の35.3%と比較し、10%減少したことになります。まさに就職氷河期であり、就活戦線は激しさを増すばかりです。

 そんな中、このブログでは当面、一般的なソーシャルリクルーティングの動向とソーシャルリクルーティングを実践した私の実体験を記述し、考察した記事をお送りしていきたいと思います。 
 最初のシリーズとして、2回に分けてソーシャルリクルーティングを実践した実体験を記述し、学生の視点からソーシャルメディア就活の利点と限界や課題について考えます。
 私は約半年ほどではありますが、Blog/Twitter/Facebookを3本柱としてソーシャルメディア就活を行って来ました。特にFacebookに関しては自分の履歴書を公開したFacebookページを作成し、ソーシャル・ネットワークで拡散したり、企業へのESに記載することで活用してきました。

 最初に強調しておきたいのは私は従来型の就活の方法を全面的に否定はしないということです。もちろん、従来型の就職活動で重要視されてきたもので、自分も重要だと判断するものは踏襲している、という前提があります。
 一般的に言われることではありますが、やはりソーシャルメディアは万能では決してなく、従来のメディアを補完する役割を果たすのは就活においても同様だと思われます。

■今まで私が実践してきたこと

ソーシャルメディアを利用して行ったことです。大きく2つあります。

①露出すること
<ブログ執筆/Twitterのつぶやき/サムスンのインターンでの活動と個人メディアの連携/社会人の勉強会に参加>
②会いに行くこと/繋がること 

③自分のFacebookページの開設/運営

とてもシンプルだと思いますが、これらが大きな役割を果たすということを述べていきます。
特に私のソーシャルリクルーティングでは特にFacebookのファンページを新しい要素として考えています。

■Facebookを利用した就活の利点

①人事と自分、及び就活生同士のコネクション構築スピードが早い
②中には予めFacebookページを見ておいてくれる面接官や人事がいて、面接が明らかに他の就活生と異なる
③自分のFacebookページにファンが表示されるため、「応援団」が可視化される


■第二の履歴書

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 私のFacebookページは「新しいエントリーシートの形」といったような位置づけです。今まで自分が取り組んできたことをまとめたり、従来のエントリーシートでは表せなかった自分のスキルなどを可視化します。私の場合は実際の履歴書にかなり近いものをそのまま公開しています。少し勇気のいることではありますが、このように自分をオープンにしていくことでより多くの企業へ自分をアピールすることができます。
 そうしていく中で実際に私の経験としてこのページによって起きた就活の変化が2つあります。

①このページを見て採用に関して特別の案内を数社の企業からいただいた
②一般の就活生と同じ様に受けた企業も、ESにFacebookページのURLを載せておいたら面接官が予め見ておいてくれた

 ①については前述の【今まで実践してきたこと】のTwitterのつぶやきやソーシャルメディアを活用して出会った方々によって自らのFacebookページへと企業の関係者の方を誘導することに成功した例です。特に私はIT/メディア関連の情報を発信していたことや、業界としてソーシャルリクルーティングに親和性が高いことからWeb系の企業の方々からは多くお声かけいただきました。

 ①と比較し、②の方が幅広い業界に期待できる効果であると考えられます。
 企業へのエントリーシートの特記事項の部分に自分のFacebookページを貼ることを繰り返していました。すると、面接の時に「じゃあ、あのブログに書いてあったウェブサービスについて話しようか。何が問題だと思う?」というように、面接前から面接官が自分のことを他の就活生よりも相対的に良く理解してくれている状態が何度かありました。
 個人的にはこれは就職活動における重要な変化だと思っています。というのも、面接やグループディスカッションなど長くとも一人1時間しかかけることのできなかった仕組みに多少の変化が見られているためです。
 就職活動の大きな問題として、一人の学生にかけられる時間が少ないため、学生と企業のマッチングの誤差、つまり本来内定すべき人がせず、内定してはならない人が内定してしまうことが挙げられます。これを解決する上でも予め私のFacebookページのようなある個人に関して可視化された情報が集積した場(私はこれを「ウェブ上に積分された自分」と呼んでいます)をチェックしておくことが役立つのではないかと考えています。

■可視化される応援団

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 もともと、Facebookページはファンページという名前でしたが、まさにいいね!をしてくれている人たちは自分のファンのような感覚を覚えます。言い換えれば、「自分に関与してくれる」ということを可視化する機能であると言えます。
 ですから、時にはアドバイスをいただくこともありますし、自分の意見に対して積極的に議論をしてくれる方々です。また、ファンである彼らに一番助けられたと思ったことはより多くの人達を自分のFacebookページへ誘導していただいたことです。
 ループス・コミュニケーションズの加藤さん(@takeshi_kato)やイケダハヤトさん(@IHayato)さんなどが様々なシチュエーションで自分のFacebookページを紹介してくださっていることにより、より多くの方々に自分自身のことを知っていただいています。もちろん、同じファンの中でも関与度のレベルはかなりの幅がありますが、このように中にはかなり深く関与してくださる方もいらっしゃいます。
 
 この経験を通じ、これからの就活のカタチを考える上で、このように一般の社会人の方が自分が出会った学生のFacebookページを紹介してく、LinkedInで言えば推薦状のような機能を利用した文化が生まれても良いのではないかと考えています。

 次回はこの利点と対照的に、どのような制限や限界があるのかということについてお話したいと思います。


参考文献:Careerzine「就活内定率、25.3% 前年比10ポイント減【リクナビ】」http://careerzine.jp/article/detail/1864

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