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地方都市のおじさんが思う「家族と仕事とお勉強のワークライフバランス」

知らぬ間に食いつぶされてしまう貴重な利益・・・ 〜オープンワークショップの続き〜

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 またまた、オープンワークショップで触れた部分を綴りたいと思います。


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 前回は、ビジネスゲームを通じて、利益といってもいくつかあり、また、それらは、徐々に目減りしてしまっていることについて、触れてみました。

 比較的小規模なソフトハウス系では、売上総利益(粗利)相当に関心が集まる傾向がありますが、経営層は 営業利益、また、経常利益(無論、その後には、税引前当期純利益、当期純利益と続きますが・・・)をも関心を持っていることを、お金に馴染みのないエンジニアは、知っておくといいかもしれません。

 損益計算書(P/L)ですが、例えば、例を挙げると次のような感じです。

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 お金の話になると、とたんに引いてしまう方のために、ちょっと、色をつけて、なんとなく、食いつきやすいようにもしてみました。

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 今回のビジネスゲームで最優秀経営者となったTさんに、ある質問をしてみました。

 稲川:「今回、最優秀経営者となりましたが、経営にあたって留意したポイントはなんでしょうか?」
 Tさん:「在庫管理は気を配りました。ベストとは言えませんが、悪くはないはずです。」

とのことでした。

 そこで、ある期について、損益計算書を見てみます(下図・右側)。すると・・・

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 売上総利益は、$4000近くあるのですが、営業利益では$1400弱になってしまっています。折角の利益は、約1/3になってしまっています。その要因は、販管費にあります。このゲームでは、期を跨ぐ在庫には$12/個の管理が発生します。過剰な在庫は、販売費及び一般管理費を押し上げ、結果的に、営業利益を圧縮してしまいます。
 在庫管理に自信をもっていたTさんでしたが、ある期においては、利益の2/3を失っている事態がおきていました。実際のビジネスに照らし合わせると、それはそれは、恐ろしいことでしょう・・・(売っても売っても、儲かっているように感じるが、全然、給料/ボーナスがもらえない・・・なんて、生々しい事態に至るかもしれません・・・)

 現場、特に営業部門にて、比較的馴染みのある○○利益率についても、見てみました。多くして、分母に売上、分子に利益とする収益性の評価を、普段から口にすることも多いかと思います。
 前段でも触れたように、売上はどんどん目減りします。分子に、売上総利益と経常利益の両方で見てみるとこんな感じです。

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 ゲーム終盤の第11期以降に注目すると、donku社の収益性が高く出ています。売上に対する経常利益の割合が高かったと言えます。果たして、この期(第11期〜第15期)に限ると、donku社の経営は優秀だったと言えるのでしょうか?

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 ここまでは、主に損益計算書、つまり、期間業績における収益性の観点で議論を進めました。事業を行う期間において、収益として獲得した売上において、得られた利益の割合の大きさは、結果として、利益獲得能力の高さを示すといってもいいかもしれません。

 つまり、分母に対する分子の大きさのお話です。

 しかしながら、そもそも、収益を獲得するの能力の高さについては、触れられていません。このあたりから、ビジネスゲーム(Business Game)を通じた経営分析のお話の後半となります。

 また、次回(もしくは、次々回)あたりで、綴ります。

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