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今までの経験から、マーケティング戦略を考えるにあたって「時間」という概念は切っても切れないものであると思います。そこで、先人の残した言葉「時は金なり(Time is money)という言葉を再度心に留め、時間とマーケティングの関係について考察します。

POSデータではわからないこと

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今は、様々な業種で技術が発達し、過去の販売データの分析が容易にできるようになりました。いわゆる、POSデータといわれるものです。

おかげで、コンビニ・100円ショップなどの小売業でも、ファミレス・居酒屋などの飲食店でも、売れた瞬間から「売れ筋トップ10」などが把握できるようになっています。

ここで質問ですが、POSデータでできることを一言でいうと何だと思いますか?

もちろん答えはいろいろとあるので、どれも正解だとは思いますが、一度考えていただきたいのです。

「分析」ですか?「商品管理」ですか?

「単品管理」と考えた方、さすがです。

欠品による機会ロスと売れ残りによる廃棄ロスを単品管理によって最小化するために1982年にセブンイレブンによって導入されたのがPOSシステムなのです。

僕は、この単品管理に加えて、POSデータには、もうひとつの機能があると考えています。

それは、「売上を分解」することです。

例えば、会計時や注文時に客層を入力することにより「客層分析」ができるようになります。おかげで、

売上=男性売上+女性売上に分解することができます。

例えば、ABC分析(売れ筋順に並べたもの)であれば、

売上=1位商品売上+2位商品売上+3位商品売上+・・・に分解することができます。

例えば、『時間帯分析」であれば、

売上=朝の売上+昼の売上+夜の売上に分解することができます。

例えば、「カテゴリー分析」であれば、

売上=アルコール飲料売上+ソフトドリンク売上+料理売上(居酒屋)

売上=カット売上+カラー売上+パーマ売上+付随商品売上(美容室)

例えば、天候データを組み合わせて、

売上=晴れの日売上+雨の日売上ということもできるかもしれません。

そして、どの業種にも使える一番の公式

売上=客数×客単価(×リピート率)

どれも、売上が何で構成されているかを表すことができるのです。

一日の売上が50万円でしたという情報だけでは、昨日と比べてどうかということしかわかりませんが、上記のように分解したものを比べると、なぜ売上が増えたのか減ったのかを考えるヒントになります。

そして、何より売上を分解すると、自社の強い部分、弱い部分が見えてきます。

こういう販促をすると、若い男性が反応するのかとか、雨の日は一気に売上が下がるとか、売上が高い日は夜の売上が高かったのかとか。。。

このように、POSデータを駆使すると、無限に分析ができます。

しかし、経営とは面白いもので、例えば、次のようなことはPOSデータを駆使してもわかりません。

  • その商品をもし10円値上げしたら販売量はどうなるか?
  • 締めの雑炊セットに卵やチーズなどのトッピングメニューを増やしたらどうなるか?(居酒屋)
  • 追加オーダーが少ない日は、実はアルバイトが料理をメニューの上に置いて提供していた、、、(飲食)
  • お客様がそれを購入したのは、たくさんの商品から選んで購入したのか、他が売り切れていたから購入したのか(小売)
  • そのとき、お客様は疲れていたのか、ウキウキしていたのか、誕生日だったのか、テストが終わった日だったのか

現場に出ているからわかること、また、現場を見慣れているから気づかないことがあるという意識を忘れず、時には第三者に訊いてみたり、お客様の声を大切にすることが必要だと思います。

POSデータをおそらく日本で一番有しているであろう、セブンイレブンの鈴木会長の書籍「商売の原点」ではPOSデータではわからないことばかりが書かれています(もちろんPOSデータの裏付けが背景にはあると思いますが)。2003年の本ですが、今でも読み返すと新しい発見があります。商売の原理原則は変わらないということですね。

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