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今までの経験から、マーケティング戦略を考えるにあたって「時間」という概念は切っても切れないものであると思います。そこで、先人の残した言葉「時は金なり(Time is money)という言葉を再度心に留め、時間とマーケティングの関係について考察します。

いいガクチカとは・・・?

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今年も就活シーズンが本格的に始まった。もう約18年も前になった私の就活の時を思い出しながら、真新しいリクルートスーツに身を包んだ学生たちを見ながら「初心を忘れてはいけないな」と感じつつ次のような記事を見つけた。

 

  • 平成25年12月2日日経新聞朝刊「春秋」より

「ぼくの場合、いいガクチカがないんで弱ってます」。就職活動を控えた大学生から、耳慣れぬ言葉を聞いた。(中略)「学生時代に力を入れたこと」です。略して学力(ガクチカ)。どこの企業だって面接とかで聞いてきますから~。

今年も就活シーズンが本格的に始まった。景気回復の兆しはあれど内定争奪戦がさほど楽になるわけではない。ガクチカはどうしようかと悩み、ガクチカ自慢の友人をうらやむ不安な顔が目に浮かぶ。けれども考えてみてもいい。採用側はそういう「いかにも」な答えばかり期待しているのかどうか。まあ、お見通しのはずだ。

なるほど、就活が厳しければ厳しいほど、面接やエントリーシートなどで話したり書いたりする、「人目を引くような経験」が必要になると考える学生が多いということなのだろうと思った。

さて、日経新聞の記事でも触れられているが、採用側は「人目を引くような経験」を求めているのだろうか。確かに被災地に行ってボランティアをしたとか、海外に留学して現地の文化に触れたといった経験は、いわゆる普通の学生生活を送った学生よりは人目を引くかもしれない。

 

  • 就活は自分自身を買ってもらうためのセールス

約18年前の僕の就活の時にある会社の人事担当の方から伺った言葉でいまでも覚えていることがある。

企業が新入社員を一人採用するということは4億円の投資を意味する。だから、私も真剣に皆さんのことを見るので、皆さんも真剣に自分自身と向き合ってください

確かに大卒で定年まで約40年間勤務した場合、給与に加えて、社会保険、労働保険、教育費、退職金等を含めれば約4億円の投資になるかもしれない。つまり、少々乱暴な言い方かもしれないが採用側は人材を4億円で購入しているということになる。逆にいえば、就活は自分自身を4億円で買ってもらうためのセールスということになるかもしれない。

 

  • 購入側(=採用側)が購入(=採用)するポイントは?

採用経験のない学生が、採用側の気持ちになるというのは難しいかもしれないが、「モノを購入する人」の気持ちになることはできるであろう。
同じ商品やサービスでも、他店より高い価格で売れるケースを想像してほしい。それは、例えば店員さんがその商品のことを熟知していて、非常にわかりやすくその商品の使用方法を教えてくれたり、買う人の状況に応じて最適な利用方法を教えてくれたり、他店よりもアフターフォローが充実していたり・・・といったことが考えられる。

つまり、商品(=自分自身)のことを熟知して、お客様(=採用側)にその良さを説明できるということがなにより大切なのではないか。お客様はその商品を理解し、信頼することで購入の意思決定をする。まず「人目を引くこと」を重視するあまり、その良さや利用方法を説明できなければ、人目を引いただけで終わってしまう。「人目を引くような経験」をしてきた人はもちろんその行動力は尊敬に値するが、就活ではその経験が自分にとってどのような影響があって、どのような長所につながったのか説明できなければ、「なんかスペックは高そうだけど、今はどういう使い方をしたらいいのかわからない(使いこなせないかもしれない)"商品"」ということになってしまう。

インターネットの存在により、私が就活をしていたころとは、ずいぶん就活の方法も変わってきたように思われるが、その本質は「いかに自分自身と向き合うか」だと思う。仕事とは、『誰かのためになることをしてその対価として給料をいただくこと』と定義するならば、『自分は誰のためにどのようなことをして喜んでもらうことに満足感を感じるのか』を、自分自身に問いかけ続けることになる。そして、「それを実現できるのが御社だと考えるのでこんな特性のある商品(=自分)を購入(=採用)してほしい」と伝え、信頼をして購入(=採用)してもらう活動が就活なのであろう。
この問いかけに対する答えは、働きだしたら変わることも多いだろうが、いったん就活の時点で答えを出さなければならない。

学生の皆さんが、自分自身と向き合い、自分自身を説明するガクチカを見つけ出せることを願っている。

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