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今までの経験から、マーケティング戦略を考えるにあたって「時間」という概念は切っても切れないものであると思います。そこで、先人の残した言葉「時は金なり(Time is money)という言葉を再度心に留め、時間とマーケティングの関係について考察します。

小商圏化の実態から何を学ぶか・・・

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コンビニの出店が加速している。
12月27日の日経新聞によると、10月に5万店を超えたコンビニ大手5社は2013年度、4,000店を出店、閉店を引いた純増数は2,300店となる見込みとのこと。

女性や高齢者に客層が広がり、まだまだ出店余地があるとの判断からのことだとも思われるが、コンビニの競合度合いは想像を絶するものだ。


日本の人口は、約1億2千万人であるのに対して、コンビニは5万店。一店舗あたりの商圏は、約2,400人ということになる。
コンビニ各社の平均日販(コンビニでは、年中無休であることもあり、一日あたりの平均売上で前年比などを比較することが多い)はセブンイレブンが突出して高く60万円を超えているものの、他チェーンでは50万円前後となっている。
日販50万円を売り上げようとすると、客単価が700円あったとしても一日約700人※の客数が必要ということになる。

※売上=客数×客単価

さて、商圏が2,400人の中で毎日700人の人が来店し、平均700円の買い物をしてくれてようやく平均的なお店の売上となる...
この2,400人の中には、寝たきりのお年寄り、赤ちゃんも含まれることから、いかに競争が厳しく小商圏化していることがわかると思う。

ところで、私は過去、コンビニ本部の社員をしていたが、今は税理士業界に身をおいている。
上記のことを踏まえると、税理士業界に転職した私の選択は、マーケット(市場)の面からすると正しかったといえるのであろうか。

国税庁の資料によると、我が国の法人の申告件数は約270万社ある一方で、税理士の登録者数は約73,000人にものぼる。
税理士の顧客は法人だけではないが、簡便的に法人だけで計算してみると、税理士一人当たりの商圏は約37社ということになる。
もちろん、税理士に頼まなくても申告をしている法人もあるので商圏はさらに小さいと考えてもいいだろう。つまり、税理士一人当たり約37社の商圏中、どれだけをクライアントにし、平均いくらの顧問報酬をいただければ食べていけるのかを考えたら、決して楽なことではないことは容易にわかる。

コンビニ業界と税理士業界、ともに競争が厳しいことがわかったが、これは私がたまたま競争の厳しい業界を選択してるのであろうか。

答えはNoであろう。仮にYesだとしたら、商圏の観点からは私の職業選択がことごとく間違っていたことになってしまうし、実際間違っていたとは思わない。なぜなら、いまやほとんどの業界において小商圏化がおこっており、結果として客単価も減少しデフレがいっこうに解消していないのだと思うからである。

しかし、もうひとつ言えることは、コンビニ業界も税理士業界もその他の業界も、必ずといっていいほどその業界内に勝ち組が存在するということである。
コンビニであれば従来の客層に加えて女性・老人が利用しやすい品揃えにしたり、税理士であればプラスαの付加価値を加えたりすることによって競争に強い勝ち組が存在している。

いまの時代、だまっていても売れていくような商品・サービスは存在しないのであるから、小商圏となった顧客と向き合ってきめ細かくニーズを把握し、自社の商品・サービスに反映するスピードをどんどん上げていくことが大切なのだと思う。

改めて、鈴木敏文氏の言葉が思い起こされる。「ライバルは競合店ではない。顧客のニーズの変化である」と。税理士としてもこのことを意識していかなければと思う。

【参考記事】

http://blogs.bizmakoto.jp/four-leaf_clover/entry/5155.html

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