世界最高峰のモータースポーツであるフォーミュラ1を「斜め45度」から見ると、ビジネスや世の中が見えてくる!?まったり気ままに、時には真面目に。世界を駆け巡るF1ビジネスの仕組みから、F1でわかる経済学、エコとF1まで。フォーミュラ・コモンズがお届けします。

F1は「走る広告塔」ではない (4) ― 塗りつぶしてみるとわかること

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※前回の記事:F1は「走る広告塔」ではない (3) ― ホンダF1の「走るアオカビ」を再評価するの続きです。

『「走る広告塔」ではない』シリーズでは、これまでにザウバーとホンダF1 について取り上げてきました。

ザウバーが真っ白だったり, ホンダF1 が地球色だったのは決して思いつきではなく, どうやらいろいろな理由がありそうです。さて、それでは他のチームはいったいどうなっているのでしょうか?スポンサーを使った資金調達ではなく、別の新たなビジネスモデルを模索しているのは他のチームも同様なのではないでしょうか?

そこで、昨年の日本グランプリで撮影されたF1 マシンの写真を使って、あることを確認してみることにしました。
何をしたかというと、「F1 マシンに掲載されているロゴのうち、自社広告をモザイク処理する」です。ここでの自社広告とは、"チームの所有者が資本的な支配権を持つ企業によるスポンサー" としました。

・レッドブル/トロロッソの場合

まず、昨年度コンストラクターズチャンピオンを獲得したレッドブルについて自社広告のロゴをモザイク処理してみました。

redbull_masked.jpg

走る赤牛! (※. クリックすると元画像が確認できます)

姉妹チームのトロロッソも同じように、親会社であるレッドブルのロゴを消すと随分寂しくなってしまうことがわかります。
tororosso_masked.jpg

レッドブルとトロロッソの2チームは、自社製品 (レッドブル) を宣伝するためにF1 チームを運営しています。エナジードリンクの売上にすべてを頼る、単純明快なビジネスモデルの上に成り立っていることがわかります。

・フォースインディアの場合

続いて、2010年には中堅チームとなったフォースインディアの自社ロゴをモザイク処理してみました。

forceindia_masked.jpg

インド国旗になってしまいました。フォースインディアの Web サイトに掲載されているパートナーページを見ると、ほとんどのスポンサーがフォースインディアの所有者であるビジェイマリアさんが所有する企業であることがわかります。こちらのチームも、自社に関連する製品、企業ブランドを宣伝するためにF1 チームを保有しているようです。

・新チーム (ロータス)の場合

さて、それでは、2010年新たにF1 に参入したチームの場合はどうでしょうか?
ロータスの自社ロゴをモザイク処理してみると、フォースインディアと同じように緑色のマシンになってしまいます。

lotus_masked.jpg

ヴァージンやヒスパニア・レーシング・チームも同じように、自社広告でF1 マシンを埋め尽くしていることがわかります。どうやら、中堅から新興チームにとって、F1 は「自社あるいは自社ブランドを宣伝するための舞台」であるようです。

・老舗チーム (フェラーリやマクラーレン) の場合

最後に、古くからF1 に参戦するフェラーリやマクラーレンの場合はどうでしょうか?フェラーリから自社広告を消してみると...あれ、あまり変わりません。

ferrari_masked.jpg

続いて、マクラーレンを見てみましょう。
mclaren.jpg

モザイク処理する場所がありません!

どうやら、フェラーリやマクラーレンなどといった強豪チームは、自社あるいは自社関連企業から資金調達をせずとも、外部からスポンサーを募りチームを運営することが出来ているようです。

・わかったこと

こうして2010年のF1 マシンについて「お絵かき」をしてみると、次のことがわかります。

  1. 新規チームや中堅チームは、自社、あるいは自社関連企業のロゴを掲載するためにF1 チームを運営している。つまり、外部の資本関係のない企業からの資金調達を得ることが出来ていない。
  2. 対して、フェラーリやマクラーレンなどといった老舗チームは外部から資金調達を行うことで、F1 チームを運営することに成功している。

どうやら昔ながらの「走る広告塔」モデルが成立しているのは、今では上位3-4チームに限られてしまっているようです。しかも、これらの強豪チームに投資しているのはボーダフォン、ペトロナスなどといった強い資本基盤を持つ大企業ばかりです。それでは、もはやF1 で「イケてる企業」を探すのは難しくなってしまったのでしょうか?

というところで次回からの新シリーズ『F1 はやっぱり「走る広告塔」である』をお楽しみに(^_^;)

by blog.formula.commons (原泰史, quzy)

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