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共創でマーケティングを変える!

デンマークでエンゲージメントを学ぶ 第1回 森の幼稚園

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随分とご無沙汰してしまったこのブログ、今期(4月〜)は毎週書きます。

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そのノルマ化(汗)開始第一弾はデンマーク出張報告、名付けて「デンマークでエンゲージメントを学ぶ」の第一回です。

株式会社メンバーズはデジタル・マーケティング支援の会社なのですが、デンマークをベンチマークして企業経営を実践してます。何故か?これはいくつか理由はあるのですが、基本はミッションで「メンバーシップでマーケティングを変え、心豊かな社会を創る」を掲げており、この心豊かな社会を創っている国をベンチマークする中でデンマークをはじめとする北欧に出会いました。これは国連が毎年発表する世界幸福度報告書でデンマークは2016年1位、2017年は2位、2018年は3位と常に上位をキープしており、その秘密を探ろうというのがきっかけでした。ちなみに日本は2018年は54位です。

デンマークの凄さは下記の記事をご覧いただければと思います。

【世界一幸せな国】世界ランキングに見る、デンマークの驚くべき「20の真実」

  • 労働時間の少なさ4位
  • 国際競争力13位
  • 社会寛容度10位
  • コーヒー消費量7位
  • 民主主義指数3位
  • 貧困率の少なさ1位
  • 報道の自由度3位
  • 汚職の少なさ1位
  • 男女平均度5位
  • 技術革新度8位

日本はどれをとっても後塵を拝しています。そんなデンマークに弊社では毎年役員が交代で視察に行き、現地での体験を通じて得たヒントを経営に生かしているのですが、今年は私と同僚役員の順番でした。

今回のテーマは教育とデザイン・シンキングです。我が社も1000名近くの社員になり、教育のあり方を大きく変えようというきっかけもあり、教育機関を中心に一週間をコペンハーゲンとその周辺で視察、体験してきました。三回くらいのレポートにしようと思いますが、今回はその第一弾です。

成田を昼に出発、SAS便で直行、約11時間のフライトでその日の夕方にコペンハーゲンに着きました。その日は街をぶらつきイタリアンを食べた後就寝、次の日の早朝コペンハーゲンから車で3時間のところにあるロラン島に向かいました。

ここは自然エネルギー自給率700%の島で、エネルギーをコペンガーゲンやドイツに輸出しています。ロラン島は以前は造船業で成り立っていたのですが不況で造船業が廃れ、失業者が溢れ、国のお荷物にもなった島でしたが、その時に市長となった人のリーダーシップと市民の決断で、この自然に溢れた環境を生かしたエネルギー創造にシフトし、以後再生エネルギーで多くのイノベーションを生み出し、世界でも有数の再生エネルギー企業ベスタス社(三菱重工が出資している)も工場を構えるようになりました。

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さて、このロラン島で最初に訪問したのが森の幼稚園です。ここは校舎が「森」なのです。園児はどんな日でもほぼこの森で遊んで時間を過ごします。雪でも?そうです。ただ、食事をするためのテント(手作り)はあるので、強い雨や雪の場合はそこで食事を取ることもあるそうですが、原則外で食べます。園児は自分たちが好きなことを好きなだけ好きな人と遊んで過ごします。ルールはわずかに3つ、この森から出てはいけない、声が聞こえる所にいること、名前を呼ばれたら来ること、です。デンマークではあまり多くのルールを作らないそうです。理由は多ければ多いほど守れないし、行動を萎縮させるからということだそうです。ただし、その数少ないルールは絶対に守らなければならないことだそうです。森には先生たちと作ったおもちゃや遊ぶ道具がいっぱいあります。一人で遊んでいる子、グループで遊んでいる子、先生と一緒に大工仕事をしている子など様々でした。先生は、子供達に目配りをしながらも、大工仕事をしたり、一緒に遊んだりしていますが、かなり子供の自主性に任せています。のみやノコギリを使っている子もいましたが、それも自由です。

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この光景を見ながら日本の幼稚園を思い浮かべました。幼稚園からすでに管理教育が主流で、怪我をさせないように様々な制約の中で子供を「教育」しています。小学校受験に備える幼稚園も多く、そういう幼稚園は親の人気も高くお受験もあります。果たしてそのような子供に将来想像力豊かな大人になり得るのでしょうか?ここでは大人から与えられるものは一切ありません。森、自然から得るもので遊び、遊びを通じて多くのことを学んでいます。自然との接し方、他人との距離の置き方、道具の使い方、集団生活、自らが想像してものを創造すること、民主主義などなどです。「遊び(Play)」から学ぶことは別の回でも触れますがデンマークでは非常に重要視しており、デザインスクールやデザイン会社でも同様の話が出ました。そう、レゴの国なのです、ここデンマークは。いきなりデンマークの凄さを園児たちから学んだようなものです。

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デンマークが国民幸福度ランキングで常に上位なのは、幼少の頃から身につく自然や社会との接し方にその理由があったのです。エンゲージメント・マーケティングはオーガニックなマーケティングを目指しており、人々が本当の幸せを企業と共創する手法としてのマーケティングを目指していますが、いきなりその秘訣を学んだようなものです。次回はロラン島の小中学校の訪問記の予定です。

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