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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

有明にて事件発生(前)

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 私はエミーシオ・ケイン、科学捜査官だ。有明で事件が起きたというので、現場に駆けつけた。

 なになに。別荘のベランダにて男性が頭か血を出して倒れているだと?まずは現場の状況確認だ。倒れた男性の輪郭が白い線で描かれている。頭部近くにピアス、足元近くにギターのピックが落ちている。人間と犬の足跡もある。

 隣の部屋にはゴミ箱にメモ用紙が落ちている。前に何を書いたのか、紙の凹凸を調べれば分かりそうだ。押収しろ。それからバスルーム、ブラシには毛がついている。DNA鑑定に回そう。タオルには香水の残り香がある。これもラボ行きだ。

 警部が現場にいた人から話を聞いてくれた。よし、時間の経過ごとにまとめてみよう。最初から別荘にいたのは被害者ハルト。ハルトは友達を別荘に招待した。最初に到着したのはヒナタ。次にユウトとアヤネが到着、最後はカイトと犬のペペだ。

 全員到着後、カイトはペペを連れて散歩、アヤネはヒナタに頼まれて買い出しに出掛けた。ハルトとヒナタはテニス、ユウトはずっとベランダで読書をしていた。少ししてハルトとヒナタはテニスを終えて戻り、ヒナタはバスルームに行きシャワーを浴びた。汗だくのハルトはユウトのいるベランダに行き、コーラを飲み始めた。そこに電話が鳴り、家主のハルトが取りに行くと、電話はユウト宛てだったという。ユウトが部屋に電話を取りに行き、交代でハルトがベランダに戻った。

 ユウトは「他人の別荘にいるのに自分宛の電話が来るなんて」と不審に思いながら受話器を取ると、電話口からは何も聞こえてこない。無言電話だったので電話を切り、ベランダに戻った。するとハルトが頭から血を出して倒れていた、ということらしい。

 じゃあ証拠物品の調査に入ろう。すると仲間のキャサリンが大慌てでラボに入ってきた。分析結果の紙を握り、かなり怒っている。

 「騙されたわ!ハルトの頭についていたのは血なんかじゃない!成分はコーンスターチと食紅よ。甘く見られたわね。こんな安っぽいもので血を作ったなんて」

 なんだと?じゃあハルトは頭に染料をつけて倒れていたというのか?

※本投稿はパナソニックセンター東京にて開催されたミステリーフェスティバルを元に、脚色して作ったものです。事件から登場人物まですべて架空のものです。

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