オルタナティブ・ブログ > C'est la vie >

デジタルとアナログの間を行ったり来たり

落としたアイスに人生を見る

»

「はじめまして!お会いできてうれしいです」、いま、そんなわくわくした気持ちでいる。今回は初回なので、タイトルを選んだ経緯などを話そうと思う。

 今年くらいから「そろそろ加山恵美のブログを持つのはどうだろう」と考えていた。そして構想を思いめぐらせていたところだった。それまでは遠慮があった。仕事名で仕事の話はやりづらい。また芸能人でもないので日常をつづっても面白味はないだろう。そう、考えていた。しかし少し考えが変わってきた。そんな時にちょうどオルタナティブブログが始まると聞いて早速「興味あります。オーディションはありますか?」と冗談交じりに飛びついた。

 まず先にタイトルの話をしよう。タイトルはフランス語である。英語に直訳すると "it's a life" のようになる。日本語なら「それが人生」だ。

 数年前にフランス映画「アメリ」を見て、すっかりフランス文化のファンになってしまった。ある時、たまたま乗ったタクシーでフランス語と文化に詳しい運転士に会った。フランス滞在が長く、フランス料理のシェフもしたそうだ(彼のドラマチックな身の上話は今回は割愛する)。

 会話でいろいろと日本文化とフランス文化を比較するうち、私は「フランス人ってオトナという印象です。どこか冷淡に感じることも」と漠然と思うことを伝えた。するとこう話してくれた。

「フランス人はね、よく"C'est la vie"と言うのですよ。前にフランス人親子が日本を訪問したとき、子どもが食べていたアイスを落としてしまったのです。そんな時でも親は"C'est la vie"と言いますから」

 なんてことだ、と私は驚いた。日本なら子どもがアイスを落としたら親は「かわいそうに」と同情したり、慌てふためいて服や周辺を汚していないか気にするだろう。しかし「それが人生さ」とは。もし自分がそばにいたら「いや、それはアイス…ですけど」と言ってしまうかもしれない(これは冗談)。

 ここで二つ。一つめは"C'est la vie"とは「人生ってそんなもん」とか慰めの言葉にも使うようだ。日本語の「しょうがないね」に近いかもしれない。もう一つは人生観の違いである。

 日本なら人生という言葉からは大河ドラマのような壮大なスケールの物語を想像する。決してアイスを落とすような日常から人生を語ることはめったにない。だがフランスでは日常も人生というか、少なくとも"vie"のうちに入るようだ。人生という言葉の範囲が広いというか。それとも常に人生に向かい合っているのだろうか。

 まだ咀嚼(そしゃく)しきれていないが、これをきっかけに"C'est la vie"という言葉が好きになった。便利な表現のようだ。

 そしてブログという日記に近い文章表現のタイトルを考えるうち、この"C'est la vie"を思いついた。「今日はこんなことがあった、こんなことを考えた」、それもこれも私の"C'est la vie"である。また同時に世の中にはいろんな人の人生や日常もある。それもまた"C'est la vie"になるのではないか。

 私は普段からおしゃべりだ。ITな人たちに話したいことはたくさんある。さほど重要な話ではないが、興味をもったことなどを話していけたらと思う。

Comment(4)