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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

アップルが条件を緩和?これでいよいよ本当のマルチプラットフォームサービスが実現する。

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MacRumorsが報じたところによると、アップルはアプリ内課金の条件を緩和したらしい。これまであった「独自ストアでコンテンツを利用する場合も同条件かApp Storeが有利なかたちにするよう」という条件が無くなったらしい。「らしい」と言うのは、これまでのアップルのやり方にさんざん翻弄されてきた我々としては実際にそういった事例がたくさん出てこないと簡単に信じることはできないと言うことだ。今後、出版社や新聞社はApp Store内での価格に拘らず、自由な価格で独自ストアを運営できる。ただし、アプリから独自ストアへのリンクは従来通り許されていない。

今年の春、IPAD2の発売に合わせて鳴物入りで始まったマードックのIPAD専用新聞「The Daily」も、他の主要電子雑誌も苦戦が伝えられている。Financial Timesのようにウェブアプリ化を進めていくのが一つの有力なオプションだし、手数料10%を打ち出しているGoogleのOne Passや、Amazonが計画しているというタブレットKindleと合わせてこれからしばらく目が離せない。

もう一つの注目すべき変更点は、外部で購入されたコンテンツをアプリ内で閲覧できるようになる。以下、正確にMacRumorsが入手したというApp Store Review Guidelinesの11.14から引用する。アイドックはbookendをマルチプラットフォームに提供しているが、これまでAppStoreで課金したコンテンツしかIOSで見ることができなかったが、これからは本来のマルチプラットフォームによるコンテンツサービスが実現できるようになる。

IPADの発売から一年余り経った現在、電子出版系のコンテンツについてようやく方向性が見えてきたように思う。当初はAppleやAmazonの30%以上という料率のみが問題になったが、我々が直面している課題を整理すると次の5つに集約される。

1)販売業者が受け取る手数料率
2)小売価格を誰が決めるか
3)ユーザー情報を出版社が受け取れるか
4)アプリの機能をタイムリーに変更できるか
5)コンテンツの良否を誰がどのような基準で判断するか

まだ結論を出すには早いし、単純に白黒を付けられない問題もある。Amazon、Apple、Googleの三社をメインとした販売業者と多くの出版社の間で大いに競ってより良いサービスを確立して欲しい。

11.14 Apps can read or play approved content (specifically magazines, newspapers, books, audio, music, and video) that is subscribed to or purchased outside of the app, as long as there is no button or external link in the app to purchase the approved content. Apple will not receive any portion of the revenues for approved content that is subscribed to or purchased outside of the app.
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