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デジタルコンテンツ流通の潮流を見据えて

大日本印刷が仕掛ける書籍流通の変革とは?

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先週のニュースで大日本印刷がブックオフの筆頭株主になったそうだ。ITmediaからの引用をする

ブックオフ筆頭株主にDNP 講談社、小学館、集英社も株式取得 ブックオフ株式を大日本印刷と講談社、小学館、集英社が取得。中古書店は出版社の収益を圧迫してきたが、今後は「中古も含めた出版業界全体の協力・共存関係を構築」していくという。

2009年05月13日 11時32分 更新
 ブックオフコーポレーションは5月13日、大日本印刷(DNP)が同社株式を取得して筆頭株主になったと発表した。講談社、小学館、集英社の出版大手3社らも株式を取得、6社合計で約30%の議決権を保有する。中古書籍を安価に販売するブックオフは出版各社の収益を圧迫してきたが、今後はブックオフが開拓した中古市場と販路を活用する方針に転換すると見られる。

 DNPは丸善、図書館流通センター、ジュンク堂を傘下にしたほか、今月には主婦の友社との資本・業務提携を発表するなど、出版事業の強化を矢継ぎ早に進めている。

 各社はブックオフの現筆頭株主である日本政策投資銀行系ファンドからブックオフ株式を取得。DNPは議決権の7.17%を取得して筆頭株主に、丸善は6.62%で第2位株主に、講談社、小学館、集英社は各4.66%、図書館流通センターは4.19%を取得する。株式譲渡は5月20日付け。

 DNPは「二次流通(中古)も含めた出版業界全体の協力・共存関係を構築し、業界の持続的な成長を実現させていくために、今回の株式取得に至った」と説明。出版3社は「著者・著作権者の創作的基盤を尊重し、関係各位の立場を配慮しつつ、より効果的かつ有機的な市場の構築を図っていきたいと考えている」という。6社とブックオフは近く協議を始める予定。

 ブックオフは07年に不正経理問題が発覚して経営不振に陥り、政策投資銀系ファンドが株式を取得して経営再建を進めていた

記事にあるように、大日本印刷はこれまでに丸善、図書館流通センター、ジュンク堂、主婦の友社など出版社や出版流通に関わる有力な会社への資本参加や提携を積極的に進めている。その真意はどこにあるのだろうか?出版業界がいろいろな意味で瀬戸際にたたされていることは誰もが認めるところだが、DNPの目指すところは不透明だ。今回のブックオフへの資本参加も含めて出版流通での地位確立を目指しているようだが、単に既存の会社に資本参加しただけで何かが変わる分けでもなかろう。仮にそれらの会社を再編成して新しい書籍流通のシステムを構築しようとしているのだろうか?だとしたらそれも見当違いだろう。現在の出版業界とくに流通の仕組みの破綻はそういった既存の会社の再編だけでどうにもなるものではない。

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