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プレゼンではシンボリックなフレーズを活用すべし

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本職はドキュメント・コンサルタントですが、今回もプレゼンテーションの話をします。

ある研究者さんへの、プレゼンテーション用スライド改善提案シリーズの3つめです。(1つめは→「表紙に「目的」がわかる情報を含めておこう、2つめは→「「目的-思想-具体策」のパターン」)

前回は、「目的-思想-具体策」のパターンを使ってこんなスライドを作ったところで終わっていました。

2015-0521-msg-4.png

↑ここで赤線部分に何か、その下の評価・管理の内容をシンボリックに短く表すような言葉を書けると、話しやすくなるはずです。

開米:・・・というわけですが、どうでしょう、何かありませんか?
本人:うーん、そうですねえ、「不確実なリスクを管理する思想」・・・とか? 「不確実性を考慮する思想」とか?
開米:あ、いいですね、そういう感じの短いフレーズを作ると、説明しやすくなるはずです。あとはそうですねえ・・・これって確か、「問題が起きてから解決するのではなく、そもそも問題が起きないように、起きる前に対処しよう」 という考え方でしたよね?
本人:そうです。その通り。
開米:であればそういう意味あいの言葉が入っていて欲しいかな・・・「管理」だけだとそのニュアンスが弱い感じです。
本人:あ、それなら・・・「予防原則」とか
開米:おお! それ、いいと思います!
本人:じゃあ、「不確実なリスクを管理する、予防原則の思想」とか
開米:いいですね!

というような議論を経て、最終的にもう少し縮めてこう書きました。

2015-0527-sf-1.png

「不確実なリスクを予防する思想」です。

「予防」という一言は、「評価」と「管理」の双方を含めてしまえる象徴的な、シンボリックなキーワードとして働くわけですね。

こういう「言いたいことをシンボリックに表す短いフレーズ」を見つけると、それをプレゼンの間に何度も言えるので、その分、印象に残ります。

なお、こういう「シンボリックなフレーズを作る」時には、自分1人で考えずに、「ボキャブラリーの豊富な人」と、「テーマとなっている問題に詳しくない人」と一緒に考えるのがお勧めです。

ボキャブラリーが豊富でないと、ピッタリくる言葉を見つけられません。
また、「問題について詳しい人」は、どうせ聴衆には伝わりっこない細かい情報であっても、削ることに不安を覚えてしまうことが多いものです。あまり詳しくない人のほうがその点では思い切ってバッサリ削れたりします。ぜひ、自分1人で背負い込まずに、立場の違う人を呼んで議論してみてください。

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