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なるほど、と思わされた翻訳管理システム:YarakuZen

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こんにちは。技術屋のためのドキュメント相談所長の開米です。

先週、東京ビッグサイトで開催されたITproExpoの見学レポート第2弾。
今回はITと人知を高度に統合したインテリジェント翻訳サービスとでも言うべきシステムです。

カテゴリ:翻訳管理システム
名称:YarakuZen
提供会社:八楽株式会社

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ビジネスシーンで「翻訳」が必要な場面として、たとえば英語で書かれたPowerPointやWord形式の書類を受け取ってそれを日本人向けに日本語に翻訳する場面を考えましょう。理想的なのは、英語で書かれたファイルを受け取ったら、その原本のレイアウトを維持したまま、テキストのみ日本語に翻訳されたファイルを得ることですね。

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その際、できる限り「高品質」な翻訳結果が「低コスト」で「迅速」に得られればそれに越したことはありませんが、なかなかそうは行きません。翻訳の効率化(具体的には、品質向上・コスト削減・迅速化)を阻む3つの壁があるからです。簡単に言うと、機械翻訳は安いが品質が悪い、自力でやると作業工数が必要(そもそも通常の業務担当者が翻訳に割ける時間はあまりない・・・)な上に、プロではないためにわからない部分も出てきます。かといってプロに頼むと高くなります。

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機械翻訳、自力、プロの三者三様それぞれにこうした弱点があるわけですが、逆に言えばその弱点を改良できればいいわけです。
ということは、もしも「機械翻訳の品質を上げること」、「自力での翻訳作業を簡略化できる仕組みを作ること」、「プロに頼む範囲を最小限にすること」が出来れば「翻訳の効率化を阻む3つの壁」は解消できます。

そのためにYarakuZenが出した答えは、

成長する例文データベース
翻訳管理システム
柔軟な人力翻訳サービス

の合わせ技でした。

「翻訳管理システム」というのは「原本」に含まれるテキストを分割し、分割した小単位で翻訳作業の進行を管理し、最終的な成果を原本と同形式のファイルに出力するシステムです。

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「分割した小単位で翻訳作業の進行を管理する」というのは下記のようなイメージです。分割された未翻訳テキストは、下翻訳、人力修正の2段階を経て翻訳完了になります。

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「下翻訳」というのは機械翻訳または例文DB参照(後で説明します)によって自動的に得られる訳文で、どうしても自動ですから品質には限界があります。それを人力で修正して翻訳完了となるわけですが、文単位で「ここは自分で直す」「ここはプロ翻訳者に依頼」のように切り分けることができ、またプロ翻訳者への依頼もグレードを選んで手軽にできるようになっています(=柔軟な人力翻訳サービス)。その結果、

作業を簡略化できる仕組み
プロに頼む範囲を最小限にする

ことが実現できるわけです。

そして「例文DB参照」ですが、これは「作業を簡略化」するとともに「機械翻訳の品質を上げる」ために大きな役割を果たすもので、要するに「一度翻訳した例文をストックしておいて、一致したら自動的に候補として出すデータベース」です。

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だいたい、ビジネス実務において翻訳が必要なシーンを考えてみると、業界・会社・対象業務に特有の、よく似た表現が何度も出てくるのが普通です。ということは、「既に翻訳した例文のデータベース」の利用価値が高いわけです。この例文DBはYarakuZenから提供されるものの他に、自社単位および翻訳担当者個人単位でもアップデートすることができるため、「使えば使うほど充実していく、成長する例文データベース」になるわけです。ちなみに「アップデート」には特別な操作は必要なく、「翻訳完了」の操作をすると同時に例文DBへの登録が行われるため、手間もかかりません。

このあたりの機能をITproExpo会場で説明いただき、デモを見せてもらって私は思わず「おおっ!! これはすごい!!」と感心してしまいました。

YarakuZenは翻訳管理のシステム/サービスですが、翻訳に限らず、どんな業務でもその性質に応じて分解し、弱点を見極めてそれを補えるようにITを活かしてシステム化すれば、いろいろなところに改善のタネは見つかるものなんだなあ、ということを改めて感じた次第です。

ご説明いただいたYarakuZenの松本様、小中島様、ありがとうございました。

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