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技術力を活かすためにも、書く力を身につけよう

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こんにちは。技術屋のためのドキュメント相談所長、開米瑞浩です。

来月末に技術評論社からSEのための文章と図解の技術の本を出す予定なのですが、その中の原稿の一部を紹介します。せっかくの技術力が認められないのは悲しい・悔しいですから、活かすための手は打とうよ、という話です。

***以下、1章末尾より引用****************************

■技術力を活かすためにも、書く力を身につけよう

 そうは言っても自分はコードを扱う技術者であって、「紙を書く」ことに力を入れるのは気が乗らない、という方も少なからずいることと思います。そんな方は以下の2つの質問を自問自答してみてください。

質問1:あなたがあらかじめ予想して警告していたにも関わらず、それを会社が聞いてくれなかったために予想通り「困った事態」が起きてしまい、残念な思いをしたことはありませんか?

質問2:自分が過去にあれこれ調べて理解した技術に関して、同僚がさんざん悩んで失敗していたことを後で知り、「相談してくればよかったのに」と思ったことはありませんか?

 この2例はどちらも、「せっかくの技術力が活かされていない」というケースになります。「技術力」は人の役に立ってナンボです。

1つ目の例ではもし自分が危険性を「わかりやすく説明する」ことが出来ていたら、困った事態は避けられたかもしれません。

2つ目の例ではもし自分が調べたことを簡単なレポートにして社内ポータルにでも載せていれば、相談してくれていたかもしれません。ちなみにこれは実際に私の知人が実践していた方法です。30年以上前に高卒で大手電機メーカーに就職した彼は、業務から得られた知見を技術レポートにまとめて報告し続けた結果、その能力が認められて高卒ながら新分野の重要な新製品開発に抜擢されたそうです。

 「技術力」を活かすためには、

  • あなたの技術的知見からどんなことが言えるのかを周囲に理解してもらわなければなりません。

また、

  • あなたが技術を持っていることを他の人に知らせることが必要です。

それができないと、せっかくの技術力が活かされずに埋もれてしまいます。そのために役に立つのが「わかりやすく書く力」なのです。そしてその力は毎日数分ずつでかまわないので、意識してトレーニングすることで意外に短期間で向上します。食わず嫌いにならずに、ぜひチャレンジしてみてください。そのためのやさしい手引き書になるように、ということを意図して私はこの本を書きました。

  (以上)

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