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デジタルでBtoBセールスはできるのか!?

工場のWatsonも地味なWatsonか

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皆さんはWatsonというと、どんなことをイメージしますか。

IBM Watsonは「人口知能(AI)」というフレーズと一緒に聞くことが多いのではないでしょうか(IBMではWatsonをコグニティブ・コンピューティングと位置づけていますが)。
人工知能、この言葉は様々な捉えられ方をするキーワードですね。IT業界の中で、最もホットなキーワードの一つといっていいのではないでしょうか。
少し前までは、クラウドがよく使われるワードでしたが、もはや一般的になりすぎているように私自身は感じています(普及はまだまだこれからですが)。

人工知能というと、人間より優れた判断を行えるというイメージを持っている方も多いと思います。つい先日も、日本製のAIが囲碁の名誉名人に挑んだものの、僅差で名誉名人に軍配が上がったというニュースを目にしました。多くの対局をAIに読み込ませ、そこから学習することでより強い手を選択できるようになっているのだということです。囲碁ということでは、AlphaGoは人間に勝利していますし、将棋はもはやAIの方が優勢という状況は変えられない、なんて解説記事を読んだこともあります。
また、医学の世界でも、AIが患者の生命を救った、といったトーンの記事が出てきています。東京大学医科学研究所や海外の病院での事例を見ると、膨大な論文を読み込んでいるWatsonが、患者のデータを解析することで治療方法の候補を示してくれる、というケースのようです。人間ではとても読み切れない、数千万本もの論文を解析することでこうしたことが可能になっています。

こうしたWatsonの事例は、多くのデータを読み込ませることで新たな選択肢、候補を示すというものであり、人間の頭脳ではカバーしきれないものをAIが見つけてくる、という文脈で書かれることが多く、その明晰な「頭脳」への賞賛とともに、AIを恐怖の対象であるとするような読み物も見受けられます。

AIが恐怖の対象であるかどうかはさておき、AIは新しいことを見つける以外にも多くの使われ方をしています。

AIの対象は、リレーショナル・データベースに格納できるような定型情報だけではありません。テキスト文書や画像データといった非定型情報も対象となります。
画像データは静止画だけでなく、動画も対象です。
最近、セキュリティソリューションの一環として、施設内などで歩いている人物の画像を瞬時に解析し、不審者リストに載っていないかどうかを照合して即時にアラートを上げる、なんてケースをメディアでよく目にします。こうしたソリューションのバックにも、データ解析技術としてのAIがあることが多いのは想像が容易かと思います。

画像系のAIは、高性能なハードウェアありきではありません。普通のカメラをベースにしていても、ディープラーニングの要素を組み合わせることで、比較的容易に実現できるソリューションもあります。

一例として、工場などの製造現場において、それぞれの工程での作業を撮影し、事前に収めておいた模範作業と比較して改善点がないかどうかをチェックする、というソリューションがあります。手本となる画像を学習させておくことで、それとの差異を検出できるようにし、さらには作業者へのアドバイスを適切なタイミングで出すことで改善を促すというものです。

これによって、熟練作業者と一般作業者との技術平準化、底上げが図れるほか、管理者側のビューでは、何が作業を遅らせるポイントなのかを分析することで、根本的な作業内容の見直しをしたり、作業者の配置計画に役立たせたりすることが可能になります。

このようなことが、事前のアルゴリズム作成をせずにできるようにするために、IBMではWatsonを活用した仕組みを提案しています。
私は以前、コールセンターを支えるWatsonは地味だけど凄いWatsonとここに書きましたが、工場の現場を支えるこのWatsonも地味だけど、非常に有用なWatsonといえるのではないでしょうか。

「Cognitive Work Analysis」というこのソリューションに興味のある方は、12月8日開催のWebセミナーにご参加ください。私からご紹介する予定です。


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IBM 中山貴之のWeb Page (平日は毎日更新中)

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