これからの時代を生き抜いていくには、自分のアタマで人とは違うことを考える能力が必要になると考えています。人とは違うことを考えるためには、多様なインプットが必要です。人間は「人から学ぶ、本から学ぶ、旅から学ぶ」以外に学ぶことができない動物です。このブログでは、特に若いビジネスマンに向けて、わたしが今読んでいる本やオススメの旅について紹介します。

書評:『ティラノサウルスはすごい』

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第108回.jpgティラノサウルスはすごい』 
土屋健(著)

 僕たちが子どもの頃、男の子はみんなカブトムシやクワガタムシ、それに何故かティラノサウルスが大好きだった。この表紙を見たら、昔の男の子はみんな、この本を買わずにはいられないだろう。本書は、この世界中のみんなに愛された史上最強の恐竜のすべてを最新の研究成果を踏まえ、徹底解剖したものである。

 ところでティラノサウルスは、いつどこにいたのか?6600万年前までの600万年間、ララミディア(北米大陸の西)に住んでいた。最初の化石が発見されたのは1900年。そしてこれまでに50体弱が発掘されている(第1章)。ティラノサウルスはどのように描かれてきたか。最初はゴジラ型(僕の子どもの頃)。そして最近は水平型(第2章)。では、覇者の身体能力はどうか。圧倒的な嗅覚で獲物を探し、走るのもけっこう早く、あごの凄まじい破壊力で、獲物を骨ごと噛み砕き、飲みこんでいたようだ。体温はヒトとほぼ同じ。面白いのは、7キログラムを超える糞の化石(コプロライト)が残っていることだ(第3章)。

 次は、覇者の生態。ティラノサウルスがいた森は、実は現在の森林とそう変わらない(イネ科の植物はないが)。食べ物は、大型の植物食恐竜で共食いもあったようだ(第4章)。最後は進化のプロセス。全長12メートル体重6トンの巨体の祖先は、3.5メートル125キログラムほどの小型の恐竜。そして、祖先には羽毛が生えていたようだ。そして、6600年前、ララミディアの恐竜たちの王国は、唐突に終末を迎える。直径10キロメートルの小惑星が、ユカタン半島付近に衝突して、衝突の冬(寒冷期、10℃ほど気温が低下)が訪れ、ティラノサウルスなどの恐竜はほぼ死に絶えてしまったのである。その後に、哺乳類の天下が訪れる(第5章)。

 本書にはたくさんのイラストや図版が描かれ、とても面白くてあっという間に読み終えてしまった。大人も子どもも心の底から楽しめる本だ。夏休みにぜひ親子で読んでほしい。きっと博物館に行きたくなるだろう。

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