人事・組織領域を専門とする、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティング担当です。欧米の人事・組織・マネジメント関連情報をお伝えします。人事やマネジメントの方々にとって、未来の組織を作り出す一助になれば大変うれしいです。

好奇心はIQやEQと同じくらい大事

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。


Harvard Business ReviewのHBR Blog Networkに、好奇心についての興味深いエントリーがありましたのでご紹介。著者はTomas Chamorro-Premuzicという方で、University College Londonのビジネス心理学の教授の方。


Curiosity Is as Important as Intelligence
http://blogs.hbr.org/2014/08/curiosity-is-as-important-as-intelligence/



複雑性の時代


現代は複雑性の時代、ともよく言われます。特に大きいのが技術の急速な進歩と、生み出される情報の多さに起因するもの(著者によるとこの2つは相関関係にあるとのこと)。しかし面白いことに、後者の情報のオーバーロードについては、17世紀のライプニッツもその旨の発言をしていたとのこと。万国どころじゃなく昔から共通の悩みだったんですね。


さて、そのような複雑性の時代に対して著者は、


"Why are some people more able to manage complexity?"

「なぜ人によって複雑性に対するマネジメントの巧拙が分かれるのか?」

と問うています。そして、


Although complexity is context-dependent, it is also determined by a person's disposition.

複雑性は文脈に依存するものではあるが、同時に個々人の資質によっても決定づけられる。

つまり、一人一人の素質・性質といったものの違いが、複雑な状況を解きほぐしていくのに役立つ、ということなんですね。以下3つの資質を簡単に見ていきましょう。



なんだかんだIQはとても重要


以前EQ(こころの知能指数)が入って概念として入ってきた時に、「これからはIQよりEQの時代だ」といったようなコピーが喧伝されたのを覚えていますが、そんなことはない、ということですね。


IQとは、


IQ stands for intellectual quotient and refers to mental ability. What fewer people know, or like to accept, is that IQ does affect a wide range of real-world outcomes, such as job performance and objective career success.

IQは知能指数を意味し、知的能力を取り扱う。ほとんどの人が知らない、または受け入れようとしないのだが、IQは現実世界において、非常に広範な結果に実際に影響を及ぼすものであり、例えば仕事上の成果や出世といった成功をもたらしてくれる。

とあるように、まさに頭の良さ端的に計測するものですが、複雑性をマネジメントしていく上で重要なのは、


higher levels of IQ enable people to learn and solve novel problems faster

高いレベルのIQは、人が新しい問題について学び、そして解決するのをスピードアップしてくれる


点にあるとのこと。これはまさにコンピュータのCPUの性能と同じ、と説明しています。そして、単純な問題ではなく複雑な問題になればなるほど、IQがそのパフォーマンスを予測する強い指標になるのだそうです。



EQで感情を制御しうまく生き抜く


日本ではこころの知能指数と言われるEQですが、


EQ stands for emotional quotient and concerns our ability to perceive, control, and express emotions

EQとは感情の指数を意味し、感情を知覚し、コントロールし、そして表現する能力を取り扱う。

という定義になり、このエントリの著者コメント欄にあるように、


it's the ability to manage (a) yourself, and (b) other people

(a)自分自身と、(b)他人とをマネジメントする能力

となります。


このEQがどのように複雑性のマネジメントに役立つのかというと、


First, individuals with higher EQ are less susceptible to stress and anxiety.

まず第一に、高いEQを持つ人はストレスや心配事に影響を受けにくい。

EQがストレスなどの緩衝材になってくれる、というイメージ。


Second, EQ is a key ingredient of interpersonal skills, which means that people with higher EQ are better equipped to navigate complex organizational politics and advance in their careers.

第二に、EQは対人関係のスキルにおける大切な潤滑油であり、高いEQを持つ人々は複雑な組織内政治をうまく操作し、自身のキャリアを前に進めていくことに長けている。

これがいわゆる「ソフト・スキル」と呼ばれるもので、技術偏重なアメリカにおいても管理職やリーダーにおいてこのEQ的な要素が多く求められるようになってきた経緯があります。


Third, people with higher EQ tend to be more entrepreneurial, so they are more proactive at exploiting opportunities, taking risks, and turning creative ideas into actual innovations.

第三に、高いEQを持つ人はより起業家精神を持ちやすく、積極的に機会を探索し、リスクを取り、創造性あふれるアイデアを実際のイノベーションへと転換していくことが多い。

このIQとEQは、概念としても広く知られているので、理解しやすいかと思われます。



好奇心の指数、CQ


最後にCQですが、このCは好奇心を意味するCuriosityから来ています。


CQ stands for curiosity quotient and concerns having a hungry mind.

CQとは好奇心の指数を意味し、飢えた気持ちを取り扱う。

hungry mind、というと、ハングリー精神を思い浮かべそうですが、明日のジョーのような苦しい境遇からの脱出、というわけではなく、深く渇望する心、というくらいの理解のほうが良いと思います。


さて、その心はというと、


People with higher CQ are more inquisitive and open to new experiences. They find novelty exciting and are quickly bored with routine.

高いCQを持つ人は、より情報の取得にどん欲で、新しい経験に進んで取り組む。新しいことにワクワクし、ルーティンに対してはすぐに飽きてしまう。

ということで、主に次の2点において、複雑性をマネジメントする上で重要とのこと。


First, individuals with higher CQ are generally more tolerant of ambiguity.

第一に、高いCQを持つ人は、曖昧さに対して一般的に寛容な傾向にある。

白黒がハッキリつけられないのが複雑な問題を最初に見た時の印象になりますが、それをきちんと受け入れることが出来る点が、まず好奇心の利点だと。


Second, CQ leads to higher levels of intellectual investment and knowledge acquisition over time, especially in formal domains of education, such as science and art.

第二に、CQは長期にわたる高いレベルの知的投資と能力の獲得を可能にする。特に科学や芸術といった伝統的な教育分野においてその傾向が著しい。

experience(経験)がexpertise(専門知識)へと変わっていく、その長い営みをサポートしていくのが、好奇心だということです。


著者も認めるように、CQ自体はIQやEQと比べてまだそれほど研究が進んでいる分野では無いのですが、これまでのIQやEQでは不十分だった領域を埋めるものとして、好奇心は興味深い仮説となるのではないでしょうか。


お読みいただきありがとうございます!



アメリカにおいてはこのCQのように、心理学的な研究から体系化をして、それを人事制度のような枠組みに落とし込んでいく動きが活発な印象があります。当社では働く上でのモチベーションについて、過去の理論などを整理した著書を以前出版しました。現在当社サイトにて全文がお読みいただけます。是非ご照覧ください。



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